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~陽の巻~
地面が揺れるかと思うほどの笑い声が、屋敷の庭に響いた。
那古野村の皆は、腹がよじれるほどに笑っている。
俺は、おそるおそる火鳥を見た。
火鳥が縁側から立ち上がり、こちらを見た。
色黒の華奢な体が、小刻みに震えている。
――ヤバい!!
俺はさあっと血の気が引くのを感じた。
火鳥の顔は真っ赤だ。
その顔がひくひくと動き、口元が、ゆっくりと、歪んで……
―――笑った!!―――
火鳥が笑っている。
萌の目が、火鳥を見上げ、信じられないものを見た時のように大きく見開いた。
萌の体が小さく揺らぎ、自分の口を両手で押さえた。
萌の目が潤んでいく。
赤くなった目に、みるみるうちに涙がもりあがる。
目の中におさまりきらなくなった涙が、せきを切ったように次々と溢れ出し、萌の頬を濡らした。
萌が立ち上がり、火鳥に駆け寄り、抱きついた。
萌は自分の顔を火鳥にこすりつけるようにして、人目もはばからず、大声で泣きじゃくった。




