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~陰の巻~
盗賊たちも、百姓たちも、屋敷の使用人たちも。みんな一緒になって輪になって、やいのやいのと声援を送っている。
その輪の中心で踊るのは、天女に仮装した織口和颯。
――すごいひと。
一瞬で、みんなを仲間にした。
天女の踊りの途中から、那古野村の人がちらちらとこちらを見はじめた。
――ん?
なぜ?
盗賊団も、こちらを指さしてなにやらコソコソと耳打ちしている。
「火鳥姉さま――」
萌が、こちらを見た。
「火鳥さま……」
各務野も、ニタニタ笑いながら火鳥を見る。
「え?」
――なに??
優雅な舞を披露していた天女だったが、突然何かに気付いたようにはっとして動きを止めた。
無我夢中になって裸足で駆け出し――
髪を振り乱し、足を泥だらけにして叫んだ。
「盗賊だぁ――っ!」
地面が揺れるかと思うほどの笑い声が、屋敷の庭に響いた。
特に那古野村の村人は、腹がよじれるほどに笑っている。
ちょっと!
ちょっと待ってそれって――!
盗賊が来た、あの夜に、私が――――!!




