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~陽の巻~
言い出しっぺは俺だ。
皆に、中途半端な仮装は許さないと言った。
既に、場は十分に盛り上がっている。
だから!
絶対に!
スベる訳にはいかないんだ!!!
俺は全身全霊で踊った。
たった今、ほんの気まぐれで地上に舞い降りた、天女になったつもりで。
こっそり、女の踊りの師匠を呼び、猛特訓をした。
女踊りなんて初めてだったから、最初はうまくいかなかった。
だけど、ある時を境に、急に筋がいいと褒められるようになった。
――どんなふうに踊ればいいのか、分かったんだ。
女踊りなんて知らない。
天女なんて、見たこともない。
だけど、俺は知っている。
まぶたの裏に焼き付いて離れない。
突然目の前に現れた。
この世のものとも思えないような。
決して手が届かない。
だけど、焦がれてやまない。
彼女はこんな風に歩いて、こんな風に振り向いて、こんな風に目を伏せる。
だからきっと、こんな風に踊るだろう――。




