盗賊団
手紙は届いていたようだった。
盗賊団は柴山の頂上で待ち構えていた。
鹿の皮の敷物の上に、ひげ面の男がふんぞり返るようにして座っている。
俺は前に進み出て大きく息を吸った。
「この前も話したが――」
ところが、俺が話し始めたとたん、一益が俺に軽く手を触れて制した。
一益は髭面の男を睨みつけ、ドスの利いた声で言った。
「下っ端じゃ話にならねぇ!!
手紙には『頭を連れてこい』と書いたはずだ!
この話は、無かったことにしてもらう!!」
――す……すごい迫力だ。
一益は、俺の方を向いた。
俺に向かって頭を下げ、先ほどとは打って変わった口調で静かに言う。
「申し訳ありません。わたくしの不手際でした。
――和颯様、参りましょう」
――すごい。本当にすごい……。
『デキる家臣』って感じだ!
一益、なんだか、かっこいいぞ!!
一益はくるりと踵を返した。
え? え? 帰るの?
俺も慌てて後を追う。
「これは申し訳なかった!
詫びを言う! 待たれよ!」
近くの草むらから、張りのある声が響いた。
声がしたとたん、盗賊たちの間にピリリとした緊張が走りぬけた。
髭面の男が弾かれたように立ち上がった。
さっきまでヘラヘラと笑っていた者たちが全員、直立している。
――さっきまでと、全然雰囲気が違う!!!
そうか……これが、頭……!
草むらがざわざわと揺れて、中から長身の男が現れた。
「――あっ! お前は……!」
盗賊の来た夜。
麦畑で助六を縛り上げ、俺に向かって剣を抜いた男だ。
だが、あの時とは雰囲気が違う。
なんというか。オーラが! 凄い!
「和颯殿、お知合いですか?」
一益が聞いた。
「――前に、麦畑で。会った――だが、頭だとは知らなった」
長身の男が言った。
「あの時は、頭じゃなかった。
あの後、頭が死んだ。俺が頭になった」
なるほどな、と興味がなさそうに一益が言った。
長身の男は続けた。
「自己紹介がまだだったな。
――俺は、梁田政綱だ」
梁田は俺を見た。
「アンタ、ずいぶんと有能な家臣を手に入れたな」
一益はふん、と鼻を鳴らした。
「梁田と言ったか。
多少、人を見る目はあるようじゃねぇか」




