陽の巻
「……――正体を知られたくのいちに、待ち受けているのは『拷問』だと、理解していたが」
「まあ、わたくしを拷問にかけるつもり?
上等! すればいいわ。
どのような拷問にも、耐えてみせます」
確固たる裏付けを持った者だけが放てる、芯を持った言葉。
勢いや強がりだけで口にしたわけではないと分かる。
その言葉に嘘はないはずだ。
火鳥は本当に、きっとどんな拷問にも耐え抜くだろう。
火鳥は続けた。
「ですが、主は死にました。
あなたの知りたいような情報など、わたくしはもう、持っていないはず」
知りたいことなら、たくさんある。
――出会った瞬間から今まで、ずっとずっと、知りたいことだらけだったんだ。
「――一益は……。
知っていたのか――……?」
「わたしがくのいちだったことを?
ええ。知っているわ。
カワセミとは――古い、知り合いなの」
「――そう、だったのか……」
一益の行動の一つ一つが、意味を持って蘇る。
火鳥はふっと声をやわらげた。
「彼があなたに、私の正体を明かせなかったのは、忍びの掟よ。
彼のあなたへの忠誠心は本物だわ。
彼を責めないであげて」
――分かった。
俺は、頷いた。
――もう一つ、教えてくれるか?
「『カワセミ』とは、一益のもう一つの名だったな。
火鳥にも、別の名があるのか?」




