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〜斎藤 道三〜
「……火鳥……!」
再び振り下ろされる刀を、薙ぎ払う。
先ほどとは打って変わって、力がみなぎってくる。
「――何をしに、来た」
「父上を、お助けに」
「――何故だ?」
「父上の、娘ですから」
「愚か者め」
「……死ぬまで、父上の娘として生きると。そうお約束、致しましたので」
――そうか、儂には。
まだ、もう1人、娘が、いた。
「火鳥よ………。
お前にはもう、会えないかと思った」
「わたくしも、そう思いました」
「――これは、負け戦だ。生きては、帰れぬ」
「……覚悟の上でございます」
「――そうか」
ならば、心強い。
「行くぞ」
「はっ、」
道三と火鳥は背中と背中をつけ、使い込まれた、それぞれの武器を構えた。
道三は巨大な槍を。火鳥は細身の、短い刀を。
道三の槍が、正面と左右の敵を薙ぎ払う。
道三の死角となる場所は、火鳥が受け持った。
――ああ、若い頃に、戻ったようだ。
どれだけ動いても、疲れは感じなかった。
このまま、永遠に戦い続けることすらできそうだった。
2人の周りに、敵の死体が、累々と積み重なっていく。
動けば動くほど、体が軽くなるようにすら感じる。
「あっ!」
突然、背後から火鳥の声がして、ピーンという音が聞こえた。




