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17、斎藤 道三 ~カワセミの唄~
男が一人、清州の町を歩いている。
顔は、うまくごまかしているようだが。あの歩き方には、見覚えがある。
那古野にいたころから、屋敷の周辺で見かけたことがあった。
おそらく、美濃から送られてきた、火鳥への使者。
もとは守護の屋敷だったこの家は、周りを水堀に囲まれている。出入口は二か所のみ。
夜中に刺客が送られたあの日以降、屋敷の警護は厳重になっていて、屋敷の入り口には夜中でも見張りがいる。
使者は、困り切った様子で、水堀の外側をうろうろとさまよっている。
火鳥は――気付いていないはずがねぇ。
あいつ……。
わざと――避けているな……。
使者はやや焦りの滲む顔で、困惑したように清州の屋敷を見上げた。
那古野の信光叔父さんが亡くなり、代わりに貞じいが那古野に入る。
尾張と美濃の国境は、木曽川という、大きな川。
和颯の屋敷は清州
斎藤道三の屋敷は稲葉山
(稲葉山・鶴山の北の緑色の部分は、山を表しています)




