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陽の巻
明け方から始まった戦いは、夕方まで続いた。
村木砦の兵士達もよく戦ったが、俺たちも死力を尽くして戦った。
砦の中では死者が増え、これ以上戦えなくなったので降参してきた。
敵が降参した時、砦の周りには味方の死体が累々と転がっていた。
生きている者も、多くが酷い怪我をしていた。
俺たちは、葬儀と火葬のために、砦の中と外に散らばる死体を回収した。
俺は、死んだ仲間、全員の顔を見た。
甚助・清六・源介・伊予・久蔵・宗十郎………。
一人残らず、俺の、俺たちの、かけがえのない仲間だった。
一人一人に家族がいて、得技があった。好きな女がいて、嫌いなやつもいて、それぞれに夢があった。
晴六は魚を捕るのが上手かった。
宗十郎は毛虫が苦手だった。
甚助は文字の練習をしていた。
共に嵐の海を渡った。
共に美濃へ行った。
共に走った。
共に笑った。共に怒った。共に泣いた。
彼らがもう二度と、俺と共に笑うことがないという事実に、俺は愕然とした。
ひとり本陣に戻り、俺は号泣した。




