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~陽の巻~
屋敷の縁側に座っていた火鳥が、体の重心を変えた。
「では。わたくしは部屋に戻らせていただきます」
火鳥は柱に手を添えて立ち上がろうとして。
わずかに眉根を寄せたように見えた。
もしかして。
――足が、痛むのか?
信勝は、こちらに背を向け、馬を連れた従者に向かって手を振っている。
「――ほら」
俺は右手を出した。
「掴まれよ。手、貸してやる」
火鳥は驚いた顔をして凍りついた。
ああもう!
やっぱりやめたっ!!
俺が出した手を引っ込めようとしたとき、小さな声が聞こえた。
「……ありがとうございます……」
細い、小さな手が、ためらいながら差し出された。
萌の、白くふっくらとした手とは違う。色黒の痩せた手だ。
俺は、その手を取る。ひんやりとした。折れそうな。左手。
「遠慮するな。俺の手に、お前の体重、全部かけていいから」
俺がそう言うと、前触れもなく、ガンっと手が重くなった。
おい。手加減なしかよ!
――まあ、いいけど。
右手にぐっと力を込めて、火鳥の体重を支えた。
火鳥の体は小鳥のように軽かった。




