~柴田 勝家~
「和颯様は、鉄砲を何丁お持ちですか?」
「一益の鉄砲も入れて、504丁」
即答だった。
先ほどとは目つきも変わっている。
「一益殿。堀のこちら側からでは『弓矢も届かない』との事でしたが。
――鉄砲なら?」
一益は、面食らった顔をしている。
マジかよ……。
口元が、そう動いた。
「鉄砲の弾なら、確かに届きます。
ですが勝家殿――。
鉄砲は発砲してから2発目を撃つまでに数分はかかる上、命中率も高くありません」
知っている。
それが鉄砲の弱点だ。
だから、勝家の知る限り、実戦で鉄砲が使われたことはない。
「それでいい。
鉄砲は500丁ある。
たとえ弾込めに10分かかったとしても、1分に50発は撃てる。
一秒に一発弱。それだけ撃てれば十分だ。
仮に20回に1回しか命中しなかったとしても、命中した時の威力は、弓とは比べ物にならない。
絶えず銃声がしていて、いつ、どこに当たるか分からない。
――それはとんでもなく、敵の恐怖心をあおるはずだ」
勝家はおそるおそる二人を見た。
ふたりとも、ぽかんと口を開けて勝家を見ている。
――やはり、非常識……だったか……。
和颯の頬がみるみる上気し、瞳が輝いた。
「さすがだ!!」
大声が、部屋に響き渡る。
「そんなこと、思いつきもしなかった!!」
一益も頷いた。
「さすがは、尾張一の策士、柴田勝家殿」
いや、さすがにそれは言い過ぎだろう――だが、悪い気はしない。
自然と饒舌になる。
「鉄砲は、各自、発砲の準備でき次第、バラバラに撃って構いません。
ですが、最初の一発だけは、500丁、同時に撃つことをお勧めいたします。
――辺り一帯には、彼らが今まで、耳にしたこともないほどの大轟音がとどろくはず。
それを聞けば誰でも、和颯殿が恐ろしい新兵器を持って攻めてきたと思うでしょう。
驚き、慌てふためき、大混乱に陥るに違いありません。
その隙に、残りの兵士が東門と西門を同時に攻めます。
南からは鉄砲。東と西からは槍を持った兵士。
――大勝利、間違いありません!」




