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第三章① キノコ狩り

YouTubeにて音声動画上げてます


OP「なりたい自分になればいい」


https://youtube.com/shorts/dFH4la04NC4


お手数ですがブラウザでコピペしてお聴きください

コンコン


(おはようございまーす)


コンコン


(おはようございます。ご主人様)

(おはよう、メルリちゃん。どったの?)

(ご主人様がまだ起きてらっしゃらないので)

(なーるほどー。よっしゃ。ミキお姉さんに任せなさい!)

(あ、待ってください。そんな)


バンッ


「おっはよー、カナっちー! おっきろー!」

「ん? なぁッ⁈」


バァッ


「うわぁぁぁ!」

「きゃぁっ」

「おー、起きたねぇ。カナっちのカナっちは元気にお目覚めみたいけどにぃ。うっしっし! いつまでも寝てると置いてっちゃうぞー」

 オレを起こしに来たメルリに代わり、パイセンに布団を剥ぎ取られた。同時にオレのオレが股間に立派なテントを張っているのを見られちゃった…もうお嫁に行けないよぉ…



「おはよう…」

 さて、朝食は宿屋では出ず、別で食べるのだそうだ。指定された店…昨日晩メシを食ったところだが、そちらへ向かうのに一旦廊下で全員集合。

「おはようございます、カナート。良いお目覚めでしたか?」

「…布団剥ぎ取られて悲鳴上げたさ…」

「ははは。これからは早く起きるべきですね。さもないともっと色々剥ぎ取られかねないですよ?」

「…経験者か?」

「鍛えられました」

 ユーリは引き攣った笑顔を見せる。被害者はオレだけじゃ無かったようだ…

「あれれ? カナっち、剣は? どったの?」

「ん? …あーっ! 部屋に忘れてきたっ!」

 うーん、やっぱ朝は苦手だ…ぼんやりしてて大事なモノを置いてきてしまった。

「あの、メルリが行ってきましょうか?」

「いや、そんくらい自分で行くさ。じゃ、ちょっち行ってくる!」

「あの、えっと、あの」

「ふふふ。メルリちゃんも行っておいで!」

「は、はい! すぐ戻りますっ!」

「元気だねぇ。 …あ、転んだ…」


「なんだ、パイセンたちと先に行ってればよかったのに」

「いや、あの、でも」

 まぁ昨日会ったばっかの人たちに混ざるってのは不安だろうから無理もない。けどな。



 エックスカリなーを無事回収、廊下を歩いている時、それは起こった。


ドォォォンッッッ


 何やらデカい音がした。宿のすぐ前に黒山の人だかりができている。なんだなんだ、ケンカかぁ?

 ワクワクと野次馬の一員となる…が、驚愕の光景が、そこにはあった。

 パイセンが…ヒミコが…ユーリまでもが倒れている。

「キャァァァァ」

 メルリが悲鳴を上げた。

 オレはパイセンの元へ駆け寄り、抱き起こすと

「カ、ナっち…逃げろ…」

「え?」

「待ち伏せ…された…」

「やだぁ。ヨワヨワジャコの仲間かしらぁ?」

 この舌足らずな喋り方、昨日のメスガキか。

(かじゅ)が増えてもジャコはジャコなのにねぇ?」

「来たな、オヌマー」

 キノコ、だ。

「逃げろ…カナっち…」

「パイセン…」

「ヤられれば【設定】を抜かれちゃう…キミは…逃げて…メルリちゃんと…」

「なんだぁ? やるつもりで出て来たんじゃないのかぁ?」

「ご主人様…」

 メルリが心配そうにオレの袖を掴む。

「大丈夫だ。オレよりもみんなを。お前の出番だ、【役目】を果たせ」

「は、はいっ!」

 うむ。元気な良いお返事だ。

「もうすぐソレもオレサマのものさァ」

「そのクセぇ口、閉じろってんだ。言葉が理解できるんなら今すぐ立ち去れ、毒キノコ」

「なんだとぉ? オマエェッ! 昨日も今もナマイキなんだよォッ!」

「ハルキ様」

「おデが」

 キノコの取り巻き(?)が、文字通りキノコを取り巻いた。

「委員長、ゴリ男、手を出すな。こんなのオレサマ一人で十分。ザコの仲間は所詮ザコさ。それに…随分とコケにしてくれたお礼をしなくっちゃねェッ!」

 委員長にゴリ男て…見たマンマかよ。

 昨日も見かけた長い髪の女、確かに委員長ルックだな。

 ゴリ男の方は申し開きができないくらいゴリ男だ。昔なら山のような大男、とでも形容するんだろうが。

 もう一人。異世界ファンタジーには不似合いな、ふりっふりのフリルでデコられたピンクのワンピースを着た女が後方待機。あっちは戦闘に参加しないのか。

 取り巻きの前に出たキノコが右掌をこちらに翳し、何やらブツブツと。ああ、これ、魔法の呪文詠唱ってヤツか。初めて見たぜ。

「早く逃げて…メルリちゃんも…」

 背中からパイセンの声。

「おもしれぇじゃん」

「まさかっ! カナっち、アナタあの男とヤる気っ?」

「ああ。パイセンたち、アイツにヤられたんだろ? ヤられた分はやり返さなくちゃなぁ!」

「そんな…無茶よ!」

「いえ、ミキ先輩」

「ユー君?」

「やらせてみましょう、彼に」

「でも」

「彼は、彼なら何か変えてくれるかもしれません」

「さてと。メルリ!」

「はい!」

「パイセンたちは頼んだ」

「はいっ! ミキミキさんっ!」

 メルリが皆の介抱するのを確認すると、オレは腰の剣に手を掛けた。

 やるぞ、エックスカリなー。何が来るんだか知らんが、オレはお前を信じる!

「後悔しても遅いからなァッ! 喰らえッ! 【凍結烈焼(コールドバーン)】ッ!」


バフォゥゥゥ


 身の前に開いたキノコの右掌から赤く、そして青く光る光球が発せられた。


「エックスカリなーッ!」


シュボゥッ


「消え…た?」

 (はた)からは柄だけに見える剣。

 それが横一閃に薙いだ先で、光球は消滅した。

 後ろではパイセンたちは唖然としているが、放った主が一番驚いているのだろう、口を酸欠の金魚のようにパクパクさせている。

「バカな…クソッ! そんなのマグレだ! マグレに決まってる! もう一発!」

 キノコはまたブツブツ言い出した。

「もう終わりか? それじゃあ今度はコッチの番だッ! 根こそぎ奪えッ! 【設定強盗(イーゴテイカー)】ッ!」

 ダッシュで近づき、キノコの横っ腹に一太刀。

「ゴェッ」

「もういっちょサービスだッ!」

 肩口からもう一太刀。

「グハァ」

 汚ねぇ呻き声を上げると、キノコは腰でも抜かしたようにヘタり込む。

「こんなもんか?」

「グゥ…そんな…詠唱中に攻撃するなんて…マナー違反だぞ…」

「何だそりゃ? むしろなんで待ってもらえると思ってんだ? そんなことより毒キノコの股からエノキが垂れてんぞ」

「な…あああッ⁈」

 つまりは衣服も【設定】で作ってたんだろうな、ぺたんと尻もちついたままのキノコがフルヌードだ。【設定強盗(イーゴテイカー)】で【設定】を根こそぎ抜き出したからな。しかしパンツまで【設定】って…こういうことになるのだな…

「ご主人様ぁっ!」

 介抱していたメルリがオレに抱きついた。ふんわり柔らかツインボムがオレの勝利を祝福して左腕を拘束する。

「メルリ、大丈夫か? みんなは?」

「メルリも皆さんも大丈夫です!」

「カナっち!」

「カナート!」

「パイセン! ユーリ! ヒミコも! 大丈夫か?」

「スゴイなキミは! 【凍結烈焼(コールドバーン)】を受け切るどころか反撃まで! で、なんでアイツ真っ裸になったん?」

「ヤツの【設定】、根こそぎブッコ抜いたからな」

「マジで?」

「マジで」

 パイセンはエックスカリなーの剣先があるであろうところを見る。まぁ刃は見えないんだが…

「すっげー! ホントに【設定】抜いたんだ!」

「え? 見えるの?」

「見えないの?」

「ああ…うん…」

 見えないの、オレだけなのか…

「あ、これこれ! アタシが抜かれちゃったヤツ! コッチはヒィちゃんの! ユー君のもあるよ!」

「よくわかんないけど、それって持ってけるもんなの?」

「持ってける、けど、なんで?」

「あ、いや、自分のものなら持ってけばいいんじゃないかなって」

「いいのっ? だってこれ、カナっちの『獲物』だよ?」

「でもオレ、他人の設定には興味ないし」

「マジか。じゃ遠慮なくもらっちゃうね。ヒィちゃんも! ユー君も!」

 エックスカリなーの剣先で3人が物色中。何をどうしてるやらオレにはわからないんだが。

「これって、他のも貰っちゃっていいのかな?」

「いや、それはダメだ」

「どうしてぇー?」

「それは」

 オレはエックスカリなーを担ぎ上げると

「【設定】たち! 元の持ち主へ帰れ!」


ブォン


 と一振り。

「わぁ!?」

 パイセンたちが声を上げる。後で聞いた話ではエックスカリなーから振り解かれた【設定】がパァッと散ると、それぞれ元の持ち主を目指して四方八方に光を放って飛び去った。…そうな。オレには見えなかったが…

 元の持ち主へ帰った、ということはキノコにも【設定】が戻ったってことなわけで、エノキ露出タイムもこれにて終了。お見苦しいものを見せてしまったがこれで安心だ。

「オマエーッ! これはどういうつもりだぁっ?」

 なんかキノコが吠えている。

「ん? 【設定】のことか? どうもこうも何も、オレはそんなモノ、要らねぇからなぁ」

「そんなモノ…そんなモノって…クッソォォォ!」

「ハルキ様。ここは一時退却を」

 委員長がキノコの腕を担ぎ上げる。

「クソォ! クソォ! クソォ! 憶えてろよォッ!」

「おおっと、そうはいかないな」

 逃げようとしたキノコ一味が屈強な男たちに囲まれた。無論、オレたちも。

 町の自警団、だそうだ。

「話を聞かせてもらうよ」



 連行された先であれこれ聞かれたもののコチラは言い掛かりつけられ巻き込まれた被害者の立場だぜ? その辺を汲んでもらえて無罪放免だ。

 アッチはまだ出てきていないところを見ると、コッテリ絞られてるんだろうな。

 容疑の争点は「市街地での強力な魔法使用の有無」。キノコのアレは確実にアウトなんだが、オレの【設定強盗(イーゴテイカー)】は魔法には当たらず、刃物扱いなんだそうだ。まぁ刃物ならOKというのも物騒な話なんだがな。

「さぁて朝ごはん食べ損なっちゃったわね。ちょっと早めだけどお昼にして、食べ終わったら出発よぉっ!」

 と、パイセンが拳を突き上げる。が。

「…?」

「ん? なんだー、みんな元気ないなー。出発よーっ⁈」

「お、おー」

 バラバラに声と拳が上がる。


ED「しょー⭐︎みー⭐︎せってー」


https://youtube.com/shorts/-xdiB2mkXBU

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