第八話「次元斬と助かった令嬢」
入学式当日…俺はある地点で待っていた…
それは…
「へへっ!動くんじゃねぇ!殺すぞ!テメェラ!」
「貴族の子息なんて全員殺してやる!女は犯してやるぜ!」
そう、貴族の目の敵にした市民が学校の前で暴れまわる。
この『ファンタジー・ドラグーン』チュートリアルイベントだ。
ここから物語が始まるのだ。
そして、このイベントでミランを王子が助ける。そこで惹かれ、王子に恋するという筋書きだ。
ここで俺は考えた…どうやったらミランはあんな末路を辿らないか考えた…そして、一つの答えを導きだした。
そう、それはここで王子が助けなければいい。
…つまり
「街中で武器など振り回すな…」
「グベッ!?」
俺が助ける…QED…それに俺は惚れられることはないだろう。だって、目隠れモブだぜ。簡単なことだった。俺の脳ミソをフル回転する必要すらなかったな。
俺は暴れる市民どもを血祭りにあげ、周りを見渡す…すると、やはりイベントは起こった。
「おい、暴れるんじゃねぇ。この女の命はねぇぞ。」
ミランはまた盾にされている。全く、スペックは高いのに、なんで肝心な時に役に立たないのだろうか…
俺は手を振り上げ、下ろす…ただ、それだけの行為をした…
「痛ェ!?」
だが、直後、斬り落とされる市民の腕…まぁ、次元斬を繰り出したら、そうもなるか…次元斬はその軸にいたことがある相手を任意で斬ることができる。つまり、この軸に現在、居なくても斬ることができる。ただ、万能ではない。未来には対応していないのだ。
それが俺の現在の力…もっと精進しなくてはな。
「痛…痛ぇよ…」
腕を斬られた市民は泣き喚く、可笑しいな…腕一本でそんなに泣くか?
俺はその男に近付くとにこりと笑う。
「おい、次俺の前で問題を起こしたら殺すからな。覚悟しろよ。」
俺が圧をかけていると警備兵が現れ、暴れた市民全員を連れて行った。
「あ、ありがと…」
ミランは助けてくれたことに礼を言う…ホント、こいつ意外と素直なんだよな…
ミランは作り込んだ気でいたんだが、設定が甘かったんだな…
「感謝は受け取っておく。」
俺はそう言うと校内へと入っていった。
今度は週末かそれ以前になるかと思います。どうぞ、宜しくお願い致します。