第五話「虐げられた魔族と生まれ変わり」
こんばんわ、今夜も投稿します。
さて、ベルメルを倒したルイン…
外に出ると…現れる敵…どうする…
空中を見渡す…そこにいたのはワイバーンの群れ…しかも、乗っているのは…魔人族だ。
どうやってここまで来た…俺は思考を巡らせる。
しかし、敵はそんな時間を与えてくれない。
「殺せ!殺せ!フォーネストの子息だ。」
「殺したら大金持ちだ!」
ワイバーンで突撃してくる…だが、俺には生憎ナイトがいるもんでな…食らわない…
「炎斬!!!」
ゼノンがこちらに来ながら突撃してくるワイバーン達を一刀両断する。
そして、俺の元まで駆け付けてくる。
「ルイン様、どうなさいますか?」
そして、こんな質問を投げ掛けてきた…愚問だ。答えなど決まっている。
「全て斬り捨てろ…生け捕りも必要ない。」
そう言うと俺は頭を引き寄せる。これも時空間魔法だ。
その頭とはベルメル…こいつみたいな魔族の幹部クラスは部位が残っていれば生存する。
だから、面倒臭い…幹部クラスが『寿命を待つしかない災害』と言われる所以だ。
俺と比べて、生命力だけは逸脱している。
「ベルメル…死人のフリなんて辞めろ…命令だ。俺の下に付け、そうすれば完全に殺さないでやるよ。」
「…貴方にはお見通しですか…化け物ですね。ワタクシを戦場に送り込んだイリゼルを恨むばかりですよ。」
なるほど、この襲撃はイリゼルが仕掛けたことか…何故早急に戦を仕掛けたのか…アイツは慎重な男だというのに…
そう考えているうちにワイバーンの群れはゼノンが一掃していた。
「ルイン様、全て片付けました。」
そう言うとゼノンは皮膚についた返り血をハンカチで拭く。
その姿にベルメルも少し動揺する様子…当たり前だ。強いと思っていた自分より格上が二人もいきなり現れたからな。
「知りたい情報はなんですか?ワタクシの口から言えることには限度がありますので…」
すると、ベルメルは諦めたのか、顔に笑みを張り付ける…
そうか…何から聞くかな?
…いや、聞くことは一つだ。
「お前ら魔族の中に不幸な奴はいるか…幸せにしてやるから教えろ。」
戦争なんてどうでもいい…俺は不幸な奴を救うために生きている…今回みたいにいきなり非戦闘員を襲ってるんだったら暴れるが、兵士同士が殺しあっているなら、間に入るつもりはない。
俺は熱い眼差しをベルメルに向ける。
ベルメルは目を点にすると、笑い出す。
「ククク…産まれて初めてですよ。貴方みたいな人に出会うのは…」
そりゃそうだろ。魔族からしたら人間族なんて敵だし、逆も然り、俺達は敵対関係にある。基本的には争い合い、喧嘩し合う…そんな関係だ。
「クフフ…死ぬ前に面白い情報を一つ授けましょう。ワタクシ達はマルタ帝国から奇襲を仕掛けました。」
なるほどな、マルタ帝国と魔族領は密接している。魔族領から直接ワイバーンで襲撃するとすれば、飛行距離が長過ぎる。途中で休憩地点が必要だ。それがマルタ帝国…しかも、その口ぶりから、マルタ帝国と繋がっていると言うことだろう…まぁ、そんな情報、死ぬ程どうでもいい…と言い切れない。また奇襲を仕掛けてくる可能性がある。そうすれば市民にも被害が出る…できるだけ被害を減らす方法…それは…
「ベルメルさんよぉ、不幸な魔族を集めてくれないかい?」
…数日後…ベルメルが我が領土に降り立った。数名の魔族を連れて…
「ルイン様、貴方様の願い通り、不幸な魔族を連れてきましたよ。」
ベルメルは口角を上げる。…卑しい笑いだ。何かあるか?俺は鑑定眼を使う。
すると、そこには魔力量が微弱しかない弱い者ばかりだった。
…なるほどな。
「ベルメル…自分の兄妹を捨ててもよかったのか?」
「いえいえ、貴方様のような似非平和主義者なら安全と判断したまでです。それに、妹が生まれ変わる姿を見たいですしね。」
なるほどな、そこまで予測を立てれたか…頭は強いようだな…
俺が笑みを溢すと、メルベルが話し出す。
「それで、どんなカラクリを見せてくれるんですか?ルイン様…いえ、次期魔王様…」
「おいおい、俺は魔王になるつもりなんてねぇぞ。ただ、困ってる奴等を助けるだけだ。」
「平等に助ける…それを生物の頂点を言わず何と言うのですか?」
こいつ…
「お前さ、生かして貰ったから勘違いしてるかもだけどさ。敵だぜ。俺は…利害が違えば即死させてやる。」
俺はベルメルを睨みつける。
すると、ベルメルはまた笑い声を上げた。
「そうですか…敵っていうのは予めそんなことは言わないのですよ。それに敵でもいいです…妹を救ってくれるのなら…」
…色々苦労したんだな…妹の方を見ると俺を睨んでいる…兄妹仲はいいようだな…兄妹を引き剥がして殺すなんてできない…
「お前には負けたよ。メルベル。」
俺はそう呟くとメルベル以外に魔方陣を展開する。
「人化変形!!」
俺がそう唱えると今日来たベルメル以外の魔族達を人間の姿に変える…
ついでにステータスもシステム設定というスキルで弄らせて貰った。
今のコイツらは魔王軍兵士以上の実力がある。ベルメルが連れてきたのは六人…コイツらを各街に置く、そして、何か問題があったら伝わるように設定した。ちなみに逃げ出すという思考はシステムを弄らせて消させて貰う。
居てもらわないと困るからね。
それと、目に写った情報が瞬時に俺の脳まで届くようになっている。明らかに可笑しい点があったら、分かるようにシステム化している。
「よし、君達はそれぞれ別の街に行ってね。」
そう言うと俺は彼等の足元に転移の魔方陣を展開し、俺の独断でそれぞれの街に移動させた。残ったのはベルメルとその妹だ。
確か名前は…
「ベルメールだっけ?君はこの街だ。フォーネスト領で居て貰うよ。情報を逐一俺に伝えてね。それじゃあ、俺は学校に行かなくてはならないから、じゃあね。」
メルベルとメルベールを置いて、その場を去った。残った二人は涙を流し、抱き合ったという…
「よし、王都へ行くか!」
今回も長めになってしまいました。次回は短めになると思います。