第五話
本作品は
龍の生き血 ドラゴンスレイヤー族誕生秘話 (syosetu.com)
の後日譚にあたる連載小説です。
今回のあらすじ
ある日、大ババ様が亡くなった。マティアスは彼女の残した言葉、ナディの体にあるという「奇妙な傷」について探ろうとする。
宿営地の防衛強化にも力を入れたいマティアスたちだが、家畜の世話に追われる日々の中、思うようにはいかなかった。悩む彼を夢で経験した奇妙な感覚が再び襲う。
サシャはフレイヤたちの協力を得て、マティアスの能力の解明への糸口を見出した。
ララバイをスレイヤーズの戦士たちに紹介する席が宴会にかわり、余興を考えていなかったガスパルは頭を悩ます。
5
「大ババ様が亡くなった」
朝からの訃報にマティアスは驚いた。
「大往生だよ。昨夜も上機嫌で、ナイトキャップドリンク飲んでベッドに入ったそうだ」
モロウは悲しそうだが、マティアスほどは驚いていない。誰も彼女の本当の年も知らないほどの年寄りだった、と言う。
百歳はとうに超えていて、元気ではあったが、いつ死んでもおかしくない年だったのだ。
彼女の部屋に駆けつけてみると本当に安らかな死に顔だった。皆、泣いてはいるが、仕方ないことだ、と落ち着いていた。
マティアスにとっては、それほど馴染みのある人ではなかったが、皆に慕われているのは知っていた。温厚で物知りで、マティアスにもなんとなく彼女が皆の心の拠り所なのだ、とわかった。
特に大翼龍の攻撃はの後、皆の心ををまとめていたのは本当は彼女だったのではないか、と思う。
新参のスレイヤーの若者をリーダーになど迎えるものか、という年長者たちの反対意見を一喝したのは彼女だった。
これでますますやりづらくなる、、。
そういえば、ナディの傷についても聞いてなかった。
大切なことを聞き逃したような気がして、マティアスの心はますます沈んだ。
フレイヤはぐっすり眠り、朝早く目が覚めた。
館はまだ静かだ。
真っ直ぐ台所に行って昨夜の残り物のマフィンを手に取り、ホットミルクに蜂蜜をたっぷり入れて飲んだ。「青峰の民」の宿営地では蜂蜜も貴重品だったのだ。
ああ、美味しい、、。
「サシャたちはまだ館に戻ってないのね」
ミューズが現れた。赤ん坊を抱いている。
「パブロの子供よ。三人目。やっと女の子が生まれたって、サシャは大喜びよ」
そう言うミューズも嬉しそうだ。パブロはサシャとミューズの長男でマティアスの兄である。
「髪が真っ白だね」
「皆、雪ん子と呼んでるわ。ダイアナというのだけど。マティアスも赤ちゃんのときは真っ白な髪だった。少し大きくなったら砂色っぽくなって、、今もプラチナブロンド?」
「うん、目立つよ、どこ行っても」
フレイヤは赤ん坊の頬をそっとつつきながら言った。
プラチナブロンドの髪は一族の中でも珍しかったが、赤毛は少なくないので何とも思っていなかった。しかしフレイヤほどの赤い髪は人口の多い町なかでもいなかった。
旅を始めた当初は、ともかく目立つのを恐れてフレイヤは自分の力を隠した。髪もまとめてスカーフで包んだ。マティアスは短く切ってバンダナを巻いたりしていた。
そんなきれいな髪を隠すなんて勿体ない、といってフレイヤがバンダナに手をかけるのを嫌がったものだ。
台所にはカミーユも加わって、大きなバスケットにパンやハムを詰めている。
「サシャたちに持っていってあげて」と言う。
シャロンも現れて、自分が持ってやる、と言った。ありがた迷惑、と思ったが、まあ、仕方ない。ララバイをいずれは皆に引き会わせなければならない。
シャロンに気づかれないように、ララバイとサシャに、兄と朝食を持っていくよ、と心話で伝えた。
「その男、いくつだ?」
歩きながら、シャロンが聞いた。
「え?ガスパル?いくつだろう?」
実は知らないフレイヤだった。
「好きな男の年も知らないのか?」
「だから恋人なんかじゃないって言ってるじゃないか。頼れる同志だって」
シャロンはう~ん、と唸った。彼の頭の中でチカチカと脳細胞のシグナルが行き来しているのが見えるようだ。心の障壁をはっているのに顔に出ている。彼にはポーカーフェイスという概念がないようで、呆れてしまう。
「男と二人だけで旅するなんて危ない」
と言われ、二人きりじゃないと、ついララバイのことを考えてしまった。しまった、と思ったがあとの祭り。それをシャロンは誤解して、再び疑い深そうな顔に戻った。
これはやりにくい、、。
暫く家族を離れてノンサイキックとの生活に慣れてしまっていた。
「私は子供じゃない!自分の身ぐらい自分で守る!」
開き直って怒鳴った。
「それよりミラルダってどんな人?」
と付け加えた。
シャロンは再び、う~ん、と唸って黙り込んだ。
それを見ながらフレイヤはさっさと歩いた。
彼は自分の考えに沈み込んで、ララバイの存在にまだ気づかないようだ。
ララバイは、地龍が普通の翼龍を警戒しないようにスレイヤーズも危険のない翼龍には無頓着だ、と言う。
フレイヤにはよくわからない。あまり意識したことがなかったのだ。確かに初めてララバイに会った時、彼がドラゴンとは違うことは直感でわかった。あれは、彼には危険がないことを意識せずに気づいていた、ということなのだろうか?
翼龍はずっと昔からいた。危険でもなんでもなかった。いつの間にか巨大化して、家畜どころか人を襲うようになった。大きな翼龍、つまり大翼龍は家畜や人を襲う害獣なのだ。中でも人を食べるドラゴンは必ず殺さなければならない恐ろしい敵。恐怖が先行して人々の頭の中に、大きな翼龍=大翼龍=ドラゴンという構図が焼き付いてしまったようだ。
幸いスレイヤーズには、意識しないにせよ、その区別が出来るのだ。この直感力がサイキックである最大の利点なのかもしれない。
シャロンはララバイを見つめて身動きもしない。固まってしまったようだ。
_お前を食うつもりなどない。
ララバイはぶっきら棒に言った。
「お前用の朝食は持ってきてない。腹、減ってないよな?」
_ない。昨日、大イカ取って食った。一週間は必要ない。
「大イカ?」
あんなモノ、食えるのか?と顔に書いてあった。
「炙ると結構、旨いよ。塩があればもっと美味しかったと思う」
シャロンの目はまだララバイに釘付けになっていて、とりなすようなガスパルの言葉は、完全には届いていないようだった。それどころかガスパルの存在すら認識してないようだ。
しかし彼の声に固まっていた体がほぐれて動けるようにはなったのか、木々の間にピクニックブランケットを広げてバスケットを置いた。
「人間の私たちは腹が減っている。君に出すものが何もなくて悪いが」
とサシャ。
_Bon Appetit
とララバイは言ってガスパルのそばに目を閉じて寝そべった。
「戦士たちを集めてララバイを紹介しよう」
食事をしながらサシャは言った。
「ミューズたちやカミーユには個人的に話す」
ミューズたちを除くのは乳幼児の世話をしている女性たちを不安にしたくない、という理由からだ。彼女らの感情が、小さな子どもたちに悪影響を与えるのを恐れてのことだが、カミーユは別の理由だ。彼女は夫を大翼龍に殺された痛手から立ち直ってない。一生、立ち直ることなどないのだろう。
「お母さんに言うときは、私も立ち会う。でもその前に、言っておきたいことがあるんだ、マティアスのこと」
何だ、というように皆が彼女を見た。
「ノンサイキックの中で暮らしてわかった。マティアスはノンサイキックでもないんだって。彼には力がある、表面には出ていない力が。彼自身も気がついてる」
「そうか、お前たちも気がついたのか」
サシャはため息をついた。
「気がついたかって、、知っていたの?」
まあ、父親なのだから知っていても不思議ではない。
「オディロンも知っていた。私が家長の座に収まった理由の一つだ」
「、、どんな力なの?」
「それがわからない。マティアスの精神エネルギーは不安定で、そのせいでサイキック能力が出せないのだ、と私は思っていた。だがオディロンは、その不安定さこそが力だ、と考えていた。
私はそれを知ったとき、なにか思い出した。詩のようなものだった気がするが、それすらはっきりしない。時が満ちて、というような言葉があった、、と思うが、そんな言葉は本の中には山程ある」
フレイヤの心で何かが弾けた。
「時満ちて、月満ちずに産まれた男の子?」
ララバイが片目を開けた。またすぐ閉じてしまったが耳を傾けているのがわかった。
「それだ!」
とサシャは言ったものの記憶は虚ろだ。多分、そうだ、、。
「知っているのか?その前後は何だ?誰が書いた?」
「それしか覚えていない。私は子供で、月満ちず、というのがわからなくて、、誰かに聞こう、と思ったけどそのまま忘れちゃった。セリーナが書いたものだったと思う」
「セリーナ?」
ミリアンとシュリンクの子供。ミューズの母親で、マティアスにとっては祖母だ。
「彼女の髪はマティアスのようなプラチナブロンドで、月の子と呼ばれていたな。未来が見えた、と言う」
いつも夢見ているようなひとだった、、サシャは叔母のことを思い起こした。父母の、半分血の繋がった妹であると同時にサシャの義母でもあった。
「彼女は予言を、人に聞かせることは殆どなかったが書き留めていた、、青月の書、あれは予言の書じゃなかったか?」
そう口にしてわかった。
あ、そうだ、青月の書だ。間違いない。
_未来を見た、というのは幽体が見た未来、ということだ。幽体には時はない。肉体を離れ空間だけでなく時も飛ぶことができる。
だが、時を超えて幽体が見たものを、現在の肉体が記憶として留めることは稀だ。大抵、忘れてしまう。そのほうがいいのだ。なぜならそれは危険なことだからだ。
今まで一言も口を挟まなかったララバイが言った。
「危険?」
_変えたくなるような未来が見えたらどうする?
俺たちが変えられるのは、そして変えていいのは今、だけだと覚えておくといい。
「未来を変えるために今を変える?」
_未来は流動的なものだ。幽体が見る未来は、一つの可能性に過ぎない。未来は、今、俺たちが何をするかによって決定される。
だが、過去は違う。過去は既に決定された。現在や未来が気に食わないからと言って、その決定された過去を変えてはならない。そんなことすればその世界は崩壊する。
「ちょっとでもダメなの?」
出来るものなら変えたい過去は山ほどある。
_少しでも変えれば、それは龍の羽ばたき。
「何?それ?」
_龍の羽ばたきで花が散る。実を結ぶべきだった花が散り、その実を食べて生き延びるはずだったリスが死に、そのリスを食べて生き延びるはずだったキツネが死に、、、。
「わかった!風が吹けば桶屋が儲かる!」とガスパル。
ララバイは怪訝そうに彼を見た。
_龍の羽ばたきで桶屋は儲からないが、予期せぬゆらぎが生じ、そのゆらぎが徐々に広がるということだ。そしてそのゆらぎが世界をゆする大きな力となり、いずれ世界は崩壊する。
「世界が壊れる?そんな事あるのか?」
_、、俺たちが今生きているこの世界は、一度壊れて新生したものだ、、そう云われている。幸い幽体は普通、時を彷徨うだけだ。未来や過去の行きたい時点に自由に飛ぶことは不可能に近い。
「近い、と言うのは不可能ではない、と言うことか?」
_わからない、ということだ。
ララバイはサシャをちらりと見て言った。
ね、お母さん、とフレイヤは話しかけた。
カミーユはフレイヤのために飾り紐を作っていた。水龍と一緒に水に消えてしまった紐の代わりだ。フレイヤはそばで水龍の鱗の選分けをしている。
他の人々は、久しぶりに一緒にくつろぐ母娘の邪魔はするまい、と隣の台所でお茶の支度などをしていた。その中に男の子が一人、ムッツリとジャガイモを剥いている。ザルいっぱいのジャガイモ。なにか悪さしてバツを食らったのだ。
変わってない、とフレイヤは微笑みながら言葉を続けた。
「私の刺青って何で入れてあるの?」
「なんでって?どうしてっていうこと?それは、、子どもの成長を祝う、習慣よ」
「そうじゃなくて、、インクというか、何の染料なの?」
カミーユは何故そんな事を聞くのか?というような顔をした。
「色が変わったような気がするんだ」
母親はますます不思議そうに娘を見た。フレイヤは片肌脱いで刺青を見せた。
「確かに色が違っている気がするわ。昔の話だし、はっきり覚えているわけではないけど」
「お母さんのと比べてみようよ」
「私には刺青はないわ。私がここに来たのはオディロン、、あなたのお父さんに会ったからで、、すぐ結婚したのだもの」
オディロンの名を口にして、彼女の気持ちが沈み込むのをフレイヤは感じた。
ごめんね、お母さん。でも聞く必要があるの。
できることなら父の話を二人でして慰め合いたい。だが母の心にはあの瞬間に深い亀裂ができた。もう彼について話すことも聞くこともできない状態なのだろうと思う。心が粉々になりそうなのを、なんとか繋ぎ留めているのだろう。
「お母さんの家ではそういう習慣がないってことだね」
つまり、お父さんの家のしきたり、という言葉は飲み込んだ。なるべく父の名を口にするのは避けなければ。
「、、そうよ。染料は龍の鱗を煮出したものよ。初めのは地龍、二つ目は水龍、三つ目は翼龍の鱗」
「初めのって?十三のときだったよね?入れたのは?」
「三回に分けて入れるって、忘れたの?生まれてから一ヶ月以上あとの新月の日、五歳の半月と十三歳の満月」
ああ、そうだった。覚えているのは十三のときだけだ。そう考えると色が変わったのは、三番目に入れた翼龍の鱗の刺青だ。
「どうして龍族の鱗を使うの?」
カミーユは頭を横に振った。
「習慣に理由なんてないわ。あったとしても知らないわ」
ふ~ん、誰が決めたのかな?サシャに聞いてみよう、、。
「お母さん、水龍の鱗で腕輪、作ってあげるね。ガスパルと作っている額当ての飾りに使おうと思ってるけど、鱗、いっぱいあるから」
カミーユは娘を見つめて静かな微笑みを浮かべた。
「仲良くやっているようじゃないか」
ナディがマティアスの部屋を出て行ったところに、ちょうどモロウがやって来た。
大ババ様の喪が明けて、日常が戻ってきた。ナディはピンクのスカーフを自慢気に首に巻いていた。
「仲のモンダイじゃあない。勝手に入ってきて聞きたいことがある、というから答えただけだ」
大ババ様の葬儀は湿っぽいものではなかった。経験と知恵で次世代を支えた長老を偲び、敬意を表すための厳かで落ち着いたものだった。
三十代、四十代で死ぬことの多いスレイヤーズにはあり得ない年、彼女は年寄りどころか超年寄り。マティアスが知る限り、スレイヤーズで一番長生きだったのは祖母のセリーナ。彼女も五十代そこそこで、この世を去った。マティアスは彼女をよく覚えていない。
「ナディ、顔色も良くなって、ますます可愛い」
とモロウはニタニタ笑う。
「フレイヤが十五のときは可愛いどころか美しかった」
「それはイトコ コンプレックスだ。イトコン!」
「うるさい。イトコンなんてあるもんか、糸こんにゃくじゃあるまいし!」
ツルツルすべり、こんがらがる糸こんにゃくのような自分の想いが視覚化してきた。目を固くつぶって、頭を激しく振った。
イトコン、イトコン!と繰り返すモロウを睨んだ。
「部屋に鍵を取り付けるかな。錠は貯蔵庫にあったな?」
顔をしかめながら、昨日、出来上がったばかりの地図を開いた。新しいバリスタの設置場所を決めるのだ。
「モロウも真剣に考えてくれ」
高い山を軽々超える大翼龍、空からの攻撃に備えるのは難しい。バリスタの数を増やしても、フレイヤが処理してくれた大翼龍の歯には限りがある。
壊滅した「黄土の民」、それを思うと宿営地の防衛強化は待ってはいられない問題だが、だからといって、生業が家畜の飼育である遊牧民、いつ来るかわからない大翼龍のために常時、見張りを立てるわけにはいかない。皆が納得しない。
ガスパルが言っていた。武器がいくら発達しても大翼龍の不意討ちには備えられない、と。彼らの接近を感知できるのはサイキックであるスレイヤーズのみ。
それは必ずしも正確ではない、とスレイヤーであるマティアスは知っている。地龍たちがいる。だが彼らの警告は短い警戒音と地面を叩くわずかな振動。
警戒音や振動はノンサイキックでもわかるはずだが、聴覚や触覚を磨かく特殊な訓練が必要なのだ。小さな特異な音に気づく、研ぎ澄まされた感覚が。
こういった訓練は子供の頃から始めるのがいいのだ。理屈でなく体で覚えさせる。
フレイヤは子供たちを集めてゲームをしていたものだ。このゲームの目的は神経を集中し、感覚を鋭敏にするための教育。楽しく覚える子供たちのお遊びは、実は将来の危険に備えさせるための訓練だ。スレイヤーズなら幼児の頃から受ける教育だった。
しかし子供たちも立派な働き手である遊牧民にとっては、そのような時間はただの遊び、無駄でしかなかった。その意識はすぐには変えられない、変えるのには時間がかかる。
今日を生きるために大忙しの遊牧民族の生活、親たちを納得させられる理由を考えられない、とフレイヤは嘆いていた。
「青峰の民」は一度、大翼龍の攻撃を受けて大打撃を被ったにも拘らず、ドラゴンスレイヤーズの助けに頼っていたのだ。彼らが戦い、自分らは家畜を育てればいい、と。
大翼龍の攻撃が日増しに激しくなってその数も増えている、という現実から目を背けている。数少ないスレイヤーズにできることには限りがある、ということにも。
だが、ガスパルは気がついていた、、。
彼の意見を一笑にしていたわけではない。それどころかマティアスにとっては言わずもがなの意見だった。
家族の中で、ただ一人サイキックでないマティアス。サイキックの必要性を強調したくなかった。
劣等感から生まれた意地だったのかもしれないが、一人ひとりの力は小さくとも、人口の殆どはノンサイキック。
力の弱さは武器の開発で補い、多数の力を結集させれば大翼龍に対抗できる。そうするしかない、と言うのは正論だ。それを皆に知って欲しかった。
とどのつまり、ガスパルの「大翼龍に対抗するには、一人ひとりの心構えが重要だ」という点では一致していたのだ。
再び大翼龍の攻撃の可能性が高まって、お遊びですませられる段階は過ぎた。「守られたい」という意識を変えなければ生き延びられない。
子供どころか大人も訓練が必要だ。
どうやって納得させる?
いつ来るか、本当に来るかもわからない天災のような大翼龍の攻撃。迎え撃つなんて余裕はない。今は防御に集中するしかない。
「まず、ドラゴンクリスタルを櫓に設置する。バリスタを牽制のために配置する余裕はないから、宿営地の周りの高みに二基、櫓のそばに二基。誰が何をするかの訓練は、短時間でもいいが繰り返し行う。戦えない者たちを、いち早く逃がす避難訓練も必要だ」
「短時間なら、余興か娯楽と思って皆も嫌とは言わないだろうから、それは大丈夫だな」
「宿営地を中心に地龍のひすいを配置する。地龍ひすいがドラゴンの接近を感知し、それを中継するクリスタルの警告は僕に届く。僕が起きている間は、、寝ているときがモンダイだ」
「夜番を皆が納得するかな?」
「僕の寝室を酒蔵のそばに移すという手もある。ドラゴンが近づけば地龍たちは騒ぐ」
「でも、、マティアス一人で大丈夫なのか?昼も夜も緊張して過ごすなんて」
それも問題だ。四六時中、意識を集中するなんて可能だろうか?
僕がサイキックだったら、そんなことは簡単だったろうに、、。サイキックなら集中し続ける必要はない。異常があればわかる。
、、サイキック能力があれば!
とっぷん、、
また、あの夢のような感覚が戻ってきた。
今度は自分が雫になって落ちた。落ちたくなくて、もがいたが、しがみつく所もなく落っこちた。
落ちた先は何も無い空間なのに、水の中のような圧力を感じた。もがくと揺れが生じた。もがけばもがくほど大きな揺れが生じ、乱れた空間の中に何かが現れる気配がした。
「どうした?」
モロウの声に、頭を激しく振って体を起こした。
「ああ、、急にくらっとしたんだ」
「心配しすぎじゃないのか?ストレスは身体によくない」
マティアスがリーダーになるのを承諾したのは、フレイヤの期待に応えたかったからだ。リーダーシップなんて自分にはない、と思う以上にただ彼女に認められたかった。
「リーダーなんて僕には不向きだったんだ」
「気の弱いこと言うなよ。僕はマティアスならできると思った。今でもそう思う」
ありがとう、、マティアスはうつむいたまま呟いた。
「それに僕がいる」
マティアスが顔を上げると、ニッと笑ったモロウの顔があった。彼の手をしっかり握った。
「ありがとう。頼りにしてる」
モロウの手にも力がこめられたのを感じて、マティアスの心は落ち着いていった。
今宵はブルームーン。
ひと月に満月が二度訪れる、二度目の満月である。会場は館からはかなり離れた野外、森の中の広場だ。
訓練場だろうか?とガスパルは思った。
あちこちに篝火があり人々を照らしているだけではなく、中央の高い櫓にはドラゴンクリスタルが鎮座していて、あたりを柔らかい不思議な光で包んでいた。
櫓の真下には石碑があった。それに刻まれた文字のようなものはガスパルには読めなかったが、もしかしたらここはフレイヤの父親、オディロンが戦って死んだ場所ではないか、と思った。
会場には武器は持って入れない。ゲートの横にズラッと並んだ武器は、剣や槍、クロスボウ、ロングボウはもちろん大槌や斧まであった。
ガスパルとの顔合わせ、という名目で集まった戦士たち。当然、ララバイとの顔合せでもある。
少年少女とも言えるような十人ほどの若い男女、彼らより年上となると男ばかり、四十代前後と思える男たちだ。総勢でも二十人ちょっと。
フレイヤの言っていたよりずっと人数が少ないとガスパルは思ったが、そういえば新しい砦を建設中だということも思い出した。戦士の殆どはそこにいるのだろう。
そして館にいるほとんどの女性は戦士を引退し子育てをしている女性たち、という事だ。
顔合せ、と言っても結局は宴会だ。簡単な紹介のあとはすぐに無礼講。戦士たちの集会、大翼龍と戦う気性を持った人間の集まりだ。酒も入るし、何が起こるかわからない。それが武器を持って入れない理由のようだった。
しかし、ララバイの存在で会場の人々は緊張していた。大翼龍には鋭い爪や牙がある。人間が武器を携帯できないのは不公平にも思えた。
武器は携帯できないとはいえ、お飾りの剣や槍を持っている者たちがいるのにガスパルは気がついた。
「それではまず、拙者が新作の詩を披露しよう」
紹介されたのだが、ガスパルが名前を覚えていない男が、美しい装飾が施された木刀を持って立ち上がった。
余興のお披露目、と知ってガスパルは凍りついた。
な、何をすればいいんだ?
剣技なんて知らない。詩だって作ったこともない。クロスボウは得意だが、そんなものは寝室に置いてきてしまった。第一、会場に持ち込めない。まさか大翼龍との顔見せが、宴会だなどとは想像もしていなかったのだ。
立ち上がった男は、剣を振って独りで短く立ち回った。そして深い雷のような声で、
剣を抜けぇ! 龍が爪研ぐ 牙を研ぐ~! *1
お粗末。
と言って引き下がった。
ガスパルは呆気に取られたが、他の皆は笑い転げてやんややんやの喝采だ。
何だ?今のは?短いなんてものではない。今のが詩?まるでなにかの標語だ。スレイヤーズのスローガン?
フレイヤが近づいてきて耳元で囁いた。
髪を半分上げ、きれいに着飾っている。彼女の正装姿など見たことなかった。紅をさしていて、ますます美しい。
「少し前に、クロシスの岬に異国から数隻の船が漂着した。その人々が使う詩の形式なんだそうだ。彼らは万葉島からの避難民で、京葉という国に攻められて政権が変わって逃げ出してきたという。
スレイヤーズは新しもの好きなんだ。皆、夢中になって彼らの詩を研究していた。ガスパルはお客様だもの、ただ見て、聞いてればいい」
そうか、皆、宴会に備えていたのか。
裏を知って少しホッとした。しかしシャロンに睨まれているのに気づいてまた緊張した。
学校なんて行ったことはない。無教養な田舎者、とフレイヤの兄に思われたくないが、その事実は変えられない。やっぱり、なにか余興になるようなものを披露しなくてはならないのだろうか?
「それでは私めも」
と他の男が立ち上がった。彼は、やはり美しいがお飾りの槍を手にしている。
「恒例、ドーナツの穴を貫く妙技を披露する」
四っつから始めろ~と、ヤジが飛ぶ。
男は頷いて四つのドーナツを一度に放って、穴を次々とで槍で通した。そして、五つ、六つ、、。
冗談のようだが、大した技である。九つで彼はつまずいた。
落ちて転がってきたドーナツをララバイが素早く爪に刺し、火を吹いて焼いてから食べ、
_珍味である。
とすまして言った。
皆、呆気にとられたが、ララバイはまたドーナツをとって酒に浸して食べ始めた。
サバランの感覚かな?美味いかもしれない。
ガスパルは思った。彼の眼の前の大皿に、青黒いなにかに覆われた淡黄色のものがあった。ブルームーンチーズだと言われた。珍味と言われる貴重なチーズ、かけらを口に入れた。そのものすごい味に吐きそうになったが、なんとか飲み込んだ。
貴重品!? こんな物、食うくらいなら、、あ、そうだ。
名案を思いついた。大したことでなくていい、誰も考えないことをすればいいのだ。隣のララバイを小突いて協力を求めると、快く承諾してくれた。彼もなにかしなくては、と考えていたのかもしれない。
「それではララバイと俺は、人龍一体の曲乗りを披露する」
そう言って立ち上がると、ララバイも尾を長々と伸ばして準備した。
尾の先から頭に向かって駆けだした。ララバイが驚くほど静かに地面を離れた。彼の首を登れるだけ登ってから宙返りして背中に着地。
ララバイは超低空飛行で会場の上を飛ぶ。なんだか下では翼の作る風に吹かれて、色々なものが飛んでいるような気がしたが、もうあとに引けない。ガスパルはかまわずララバイの背の上で、とんぼ返りしたり大車輪の連続技を披露した。
そのうちララバイは体を捻り、水平錐揉み飛行を始めた。ガスパルは丸太回しの要領で小走りに走った。丸太回しと言っても飛んでいる龍の上だ。バランスの取り方もスピードも、一歩ごとに微妙に変わってなかなか難しい。会場をもう一度回ってから、物音もたてない群衆の中に降り立った。土埃もたっている。
う~ん、ダメか。ウケなかった、、。
スゴスゴと龍を降りたガスパルに、フレイヤが走り寄って来た。
「すっごく、勇壮だったよ!」
と言って彼の頬にキスし、手をとって高く上げた。沈黙の会場はすぐに大きな歓声で包まれ、ララバイも尾を上げてそれに応えた。
あ~、よかった、、。うまく行った。
ガスパルはフレイヤに導かれて、席に戻ってくつろいだ。
次に余興に立つものは暫くいなかった。ガスパルとララバイの人龍一体の技に圧倒されたのだ。
しかし、やがて一人の男が立ち上がった。
彼は扇子を開き、詩を口ずさみながら舞を優雅に舞った。
君がため~ 春の野にい出て 龍を狩る~
わが衣手を 血に浸しつつ~
わが衣手を 血に浸しつつ~ *2
初めのスローガンよりは長いが、これまた短い。舞いはキマっていたが、なんだかわからん。
要するに体より頭で勝負、ということだろう。
わからなくて当然。異国の詩なのだ。聞いていればいい、、。
ガスパルはともかく自分の番は終わった、とホッとしていた。何よりフレイヤが喜んでくれた。
席を立って歩く彼女を見た。その後ろ姿に見とれた。
スレイヤーズの中では赤い髪はあまり目立たない。男女共に赤毛は結構いた。
でもやっぱりフレイヤの髪が一番キレイだ。
ガスパルは木々の間に消えて行くフレイヤを見送った。若い男女が集まっている。
_それでは、吾輩も詩を詠むこととする。
ララバイの心話に、全ての者が動きを止めた。彼は酒樽を一つ抱えて、少し酔っているようだ。ガスパルは何故か嫌な予感がした。
_あしびきの~ 山の紅葉も 衛士の火も~
フレイヤの髪に まさるものなし~
フレイヤの髪に まさるものなし~
字余り、お粗末。
えええ~!?
くつろいでいたガスパルの心が、、心臓が跳び出しそうになった。
「こ、こ、心は読めない、といったじゃないか!第一、何がお粗末、だ。俺の心にお粗末なんて勝手につけるな!」
_心など読んでいない。そんなにボケラッとして、心の障壁の概念すら消え去ったお前の心象が伝わってきた。フレイヤの赤い髪のイメージ、険しい山の奥でいつか見た真っ赤な紅葉、揺れる篝火の炎の赤さ、、それを詩にしただけだ、友よ。
な、何が友よ、だ、、あ~。穴があったら入りたい、、。穴を掘って埋まりたい、、。
だが、誰も笑わない。皆、ララバイが詠ったことにショックを受けていて、その出来などは二の次なのだった。
「り、龍が即興で歌を詠んだ!?」
「龍が、異国の文芸に通じているのか!?」
これらは、龍には人の心に浮かぶイメージが伝えなくとも伝わる、という驚愕すべき事実を見過ごしたお門違いな戯言であった。
その後、ますます大きくなるざわめきを破って、サシャが静かに言った。
「大翼龍がスレイヤーズの宴で異国の詩の形式で即興の歌を詠むとは、ご先祖様でも想像しなかったことであろう。
芸術の追求には肉の満足だけからは生まれない、知識と教養そして何よりも情熱が必要なのだ。芸術を追求するそれらの資質を持った大翼龍、それを自分自身の目で見た今、龍と人間の共存共栄も不可能ではない、と確信した。皆のもの!盃をあげよ。乾杯!」
さすが家長、しっかりしている。
「乾杯!」
皆も盃をあげ、乾杯した。
乾杯、龍に完敗、、、。
ガスパルはたいして飲めない酒をぐいっと飲みほした。
しかし会場はずっと和やかな雰囲気に包まれた。皆、くつろぎだした。ララバイは、とぐろを巻いて酒樽の上に頭を載せ幸せそうだ。
音楽に合わせ、女戦士たちが扇でそよそよと風を送りつつ美しい舞を舞い始めた。フレイヤも一緒だ。
皆、なんてきらびやかで美しいのだろう、、まるで空を舞っているようだ。龍と戦う女たち。でもフレイヤがやっぱり一番、輝いてる、、後光が差してる、、ガスパルは思った。
助ける必要もない遊牧民を助けてくれた。死を目前にした俺を助けてくれた。荒くれ者と呼ばれているが、新しもの好きで、教養もあり心優しきスレイヤーズ。
心地よく酔い始めたガスパルの心に、大翼龍に襲われたときの記憶が蘇ってきた。浮かんできた、といったほうがいいかもしれない。恐怖も苦痛もない。ただの遠い日の情景。
夕陽が沈んでいく、、その日、最後の光が地上を照らしていた。
すぐ隣でセカンドリーダーがうめいている。意識ももうないようだった。彼を先に死なせたくなかった。よそ者の息子、と未だに一部の人々から見下される自分をかばい、引き立ててくれた。自分を認めてくれる心強い味方。失いたくなかった。
彼の盾になる、そう覚悟を決めて立ち上がった、、手に残った槍にすがり、立ち上がろうとした。
大翼龍が近づいてくる。まるでハリネズミのように身体中に矢を打ち込まれているのに、逃げもせずに向かってくる。なんと凄まじい生き物なのだろう?
立ち上がらなければ、、横たわったまま死にたくはない、、。
その時、眼の前に降り立った赤い炎、、そんなふうに見えた。突然、空から降りてきたその炎は人の形をしていた、、ヴァルキューレ、、戦士の魂を乗せて飛ぶ天の女たち、、自分は死ぬのだ、と確信した。最後の力を振り絞って、向かってくる大翼龍の頭に槍を突き立てた。
俺はただの遊牧民だが、戦士として戦って死ぬ。
ヴァルキューレが天に連れて行くのは、勇敢な戦士だけなのだ。
どこに刺さったかは覚えていない、、だが突き刺さった。強固な大翼龍の鱗を破って突き刺さった。血しぶきが飛び散る。
今まで感じたことのない力が自分を包んだ。後でドラゴンクリスタルの力だと知った。龍の血から彼を守ってくれたのだ。
力尽きて倒れたガスパルの目に映った若い女性の顔。
やっぱりヴァルキューレ、、優しく微笑む美しい顔。
自分は夢を見ているのだと思った。夢でいい、と思った。大した楽しみもなかった生活が終わり、最期に見る美しい夢、、、終わり良ければ全て良し、というではないか?
夢でいい、夢なら醒めるな、、このまま逝くのだ、、。
しかしガスパルは死ななかった。夢から醒めもしなかった。
フレイヤ、舞を舞う美しいヴァルキューレ。お前の隣で俺は戦う。いつかお前の盾となって死ぬ、、。
「今夜はブルームーンだ。青い月。見ると不幸になるって言うけど、そんなことない、幸福になるのだ、と言う人もいる。結局は五分五分。どちらにもなるって、いい加減だけど真実でもある」
モロウが空を見上げてながら言った。
「めったにないこと、と言っても二、三年に一度はある。そんなものを見たせいで世界に不幸せになる人間が増えたらたまったものではない。幸福になる方がいいと思う」
マティアスも櫓から体を乗り出して月を見た。クリスタルを櫓に設置したところだ。
青い月。なんか今夜の月は本当に青っぽく見える。気のせいかな? あ、、
「ウチに昔、青月の書という予言の本があったよ。僕の祖母が書いたんだ。彼女は未来が見えたと言う」
「ふ~ん、何が書いてあった?」
「残念ながら覚えていない。本はそのうちなくなっちゃったから」
「その方がいい。良い未来ならいいけど、悪い未来なんて見たくないよ。もっとも、ブルームーン、みんなで見れば不幸も幸せ、って大ババ様は言ってた」
「そんなバカな事あるもんか。不幸は幸福になんてならない」
「僕は結構、的をついていると思うよ。皆が幸せそうなのに、自分だけが不幸だと思うと、そこに嫉妬や怒りが生まれる。皆が同じように不幸なら、そこから生まれるのは連帯感や同情心だ」
なんかすごい考え方だな、とマティアスは思った。
さすが長く生きていた大ババ様、悟りの境地、とでも言うのだろうか?
ナディの傷のことをふと思い出した。
ナディの体を洗った女性たちに聞いてみたが、彼女らはともかく小さい傷が沢山あった、ということしか覚えていなかった。特別、注意をひくような傷はなかった、ということだ。
大ババ様は何を言いたかったのだろう?
ナディはまだ包帯を巻いている。フレイヤだったら彼女の体を見ることもできるだろうが、、
「そういえばフレイヤは、幸福とは満足することなんだ、と言ってた」
「ふ~ん、それもなかなか奥深いや」
「家族で焚き火囲んで、トカゲの姿焼き食って幸せに思うやつもいれば、遊ぶ金ほしさに息子たちが共謀して両親殺した、なんて話もある」
「まあ、そういう子供を育てたのはその親だし、、」
「育て方が悪かったのか、育ち方が悪かったのか?」
「子供、持つのが怖くなってきた」
モロウは秋には結婚する予定だ。考えがちょっと先走りしすぎているようにも思うが、、。
「脅かすつもりはないよ。君はセカンドリーダーというより僕の右腕。大切にする」
モロウは、えっというようにマティアスを見た。
「一生、君を大切にする、とメリッサにプロポーズするつもりだったんだけど、、大切にするより、幸せにするの方がいいかな?」
大切、という言葉に疑問を持ったようだ。
「プロポーズ、まだしてないのか?秋に結婚するんだろう?」
「するつもりだ、と言ったんだよ。まだしてない」
断られない自信があるのだろう。他部族の中から相手を見つけない限り、部族内ではあまり結婚相手の選択はできない。
「幸せは満足することだから、、」
「一生、君を満足させる?それとも、君を必ず満足させる、かな?」
あまり女性の心を動かす名文句とは言えない。
「あ~!君のせいで、考えることがまた一つ増えちゃったじゃないか!」
「僕の考え事より楽しいことだと思うよ」
あ、メリッサに頼もうか?ナディの傷、、。
何かおかしな傷があるかどうか見るのと、痛くないように洗おうとしてみる傷では見えるものが違う。おばさんたちに、繰り返しナディの傷について聞きたくなかったのだ。
櫓に設置したばかりのドラゴンクリスタルが摩訶不思議な光を放っていた。クリスタルに込められたフレイヤの祈りにも似た力の結集。
フレイヤ、今頃どこにいるのかな?
来るか来ないかわからない大翼龍のことより、宿営地のことより、ずっと考え続けていたいのは、フレイヤのこと。
心を照らす太陽の炎、フレイヤ。
僕が幸せなのは君のことを考えている時だけだ。
続く
*1 小林一茶の句「やれ打つな ハエが手をする
足をする」のもじり。
*2 本歌は光孝天皇「君がため 春の野にいでて 若菜つむ
わが衣手に 雪はふりつつ」
「なろう」の規約に「引用には出典を記す」というのがあるので、(著作権のない俳句や和歌のもじりに必要かどうかは不明ですが)記載します。
五人の英雄から始まるスレイヤーズの家系図
マックス === ミリアン* ======シュリンク*=== F
Ⅰ Ⅰ Ⅰ
Ⅰ Ⅰ Ⅰ
Ⅰ Ⅰ Ⅰ
Ⅰ Ⅰ Ⅰ
ーーーーー Ⅰ Ⅰ
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
Ⅰ Ⅰ セリーナ======M Ⅰ
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
Ⅰ Ⅰ Ⅰ M F Ⅰ
ハンス* マクシー* === Ⅰ ===== エダー*
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
? Ⅰ Ⅰ F F Ⅰ
Ⅰ Ⅰ Ⅰ
Ⅰ Ⅰ Ⅰ
サシャ==ミューズ オディロン=カミーユ
Ⅰ Ⅰ
ーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーー
Ⅰ Ⅰ Ⅰ I Ⅰ Ⅰ Ⅰ
マティアス M パ フレイヤ シャロン バロン アロン
ブ
ロ=====F
Ⅰ Ⅰ Ⅰ
ダイアナ M M
*は「五人の英雄」と呼ばれるドラゴンスレイヤーズ。
スレイヤーズ初代と呼ばれることもあるが実際には二世代に跨って
いる。
系図と名前の記載は「龍の生き血」と「龍の血族」第五話までに登
場する人物のみ
登場人物以外の男性はM、女性はF、彼らの子孫は省略。
家系図のわかりにくい部分は本文を参照にご覧ください。
本作品は龍の生き血 ドラゴンスレイヤー族誕生秘話 (syosetu.com) の後日譚であり、全国書店とネット上で発売中の「龍のささやき」の前身でもある物語です。
「龍の生き血」に登場したドラゴンスレイヤー族が、後に名門と呼ばれる「ソラリス家」と「クレセント家」として血統を確立して行く過程を描いた愛と憎しみの冒険ファンタジー。
連載形式で月に1-2回、新しいストーリーを追加する予定です。
「龍のささやき」については下記のリンクをご利用下さい。
https://www.bungeisha.co.jp/bookinfo/detail/978-4-286-24840-0.jsp