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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

机上の食う論

作者: 竜Ryu


私はいつも通りの日常を送るはずだった。


いつものように、朝食を食べ出勤をする。そして、夜になれば夕食を食べ就寝をする。


そのような日常を送っていたはずだった。




ふと、周りを見るとおかしな事に気が付いた。


周りの建物はどこか不気味さを感じる。

看板は見れなれない文字で書いてあったり、建物が歪んでいて明かりがついてない。


また、その不気味さは建物だけではなかった。

周囲に人の気配が感じられない。


スマホを出しても電波が繋がない。

大声を出しても何も返ってこない。


私は混乱した。

いつからこの場所にいた?何故ここにいる?


様々な疑問が頭の中に浮かび、急に不安が高まった。

私はこの場から逃げ出したいと思い、走り出した。




気が付くと辺りの様子が変わっていた。

建物が歪んでいたり、人の気配がないのは同じだが、唯一明かりがある小屋があった。


その建物は古びた小屋だった。

苔が生えていたり、蔦が生えていたりし、人が住んでいるようには見えない。

周囲の建物がビルなのに対し、明らかに不自然だった。


私はあの小屋が唯一の希望に思えた。

走り続けても周囲の建物は歪んだまま、ならこの小屋に希望をかけた方がいいと思えた。


小屋に入ってみると内装は椅子が2つと机、その上に置かれたランタンのみ。

ただ、明かりがあると言うのは安心するものである。

私は少し休むために椅子に座った。


休んでいた時に突然、声が聞こえた。


「やぁ、こんにちは」


「こんな場所にいて不安だよね?」


その声の人物はもう片方の椅子に座っていた。

姿は男性にも女性、どちらにも見える容姿をしていて、パーカーを着ていた。


そんな人物から突然話しかけられ返すことが出来なかった。


「うんうん、やっぱり不安か、帰りたい?」


まるで心を見透かしたかのように言われ、私は何とか声を出した。


「帰りたいに決まっているだろ…」


そう言った瞬間、その人物はその言葉を待っていたかの如く


「僕と話をしないか?」


「少しの時間で済むから聞いてくれない?」


と言った。


明らかに不自然であるが、帰れる希望と、突然話かけられた恐怖で、頷くことしか出来なかった。


「君はさ、この場所から帰れる手段があると思ってるの?」


私はその言葉を聞いて背筋が凍りついた。

嫌な想像ばかりをしてしまい、恐怖が高まる。

そんな思考をしていて返事をするのも忘れていた。


「ここは誰も出ることの出来ない場所だよ」


その言葉を聞いた瞬間、絶望しかなかった。


「いやー、僕って優しいよね。わざわざ教えてあげるってさ。」


「えーと、そういや君って帰りたいんだよね?」


嫌だ、それ以上聞きたくない。


「帰れないよ、一生ね。」


何も考える事が出来ない。これ以上何も考えたくない。


私はその小屋から飛び出した。

帰ることが出来ないと言われたが、それを振り切るようにして走った。




しばらく走り続けても何も景色が変わらない。

見えて来るのはビルだけだ。さっきまであった小屋も見当たらない。


私はいつまで走り続ければいい?

死ぬまでなのか?


何の判断もつかないまま、私は走り続ける。



そして、体力が無くなり、足を止め、辺りを見るとそこは


最初と何も変わらない、建物だけがそこにあった。

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