第515話 私を呼ぶ声
最終章開幕です!
※フリージア視点です。
何だろう。
本当は目を開けて、みんなのところに行かないといけないのに。
だんだん目を開けるのが億劫になってきたわ。
どうしてかしら。
早くみんなと合流したいのに、だんだん体が重くなって冷たくなっていく。
まるで深い海の底に沈んでいくみたい。
早くここを抜け出して、みんなのもとに帰りたいのに。
どうしてか、だんだんと気持ちが削がれていくわ。
あぁ、なんだか、眠くなってきた。
瞼が重く感じる。
体も鉛のように重くて冷たいわ。
多分、頑張りすぎたからよね。
そう言えば私、ノルベルトにとどめを刺されそうになったわね。
間一髪でメスト様らしき方が助けてくださったけど。
でも、ここにいる私がこの状態なら、現実の私はもう……
あ~あ、みんなに会いたかったわ。
みんなに会って、7年間にあったことをたくさん話したかったわ。
辛かったことも。
悲しかったことも。
苦しかったことも。
嬉しかったことも。
楽しかったことも。
たくさん、たくさん話したかった。
そして、みんなの話をたくさん聞きたかった。
この7年間、みんな何をしていたか。
私が木こりの平民をしている間、みんなが何を見聞きして、何を感じたかたくさん聞きたかった。
でも、それももう叶わないわね。
あっ、そろそろ意識が無くなりそうね。
ごめんなさい、お父様、お母様、リュシアン兄様、ロスペル兄様、約束を守れなくて。
ごめんね、カトレアにラピスさん。約束を破って。
そして、メスト様。あの日に交わした『隣国に行く』という約束、果たせなくてごめんな……
「フリージア」
えっ?
誰かが、私を呼んでいる?
「フリージア!」
待って、この声って……!
「戻ってこい、フリージア!」
メスト様が、私を呼んでいる!
ならば、ここで立ち止まっているわけにはいかないわ!
その瞬間、冷たくて鉛のように重かった体が、瞬く間に温かい熱が行き渡って軽くなる。
メスト様、今行きます!
重いと思っていた瞼を開けると、眩い光の中から誰かが手を伸ばしていた。
この大きい手……間違いない、メスト様のものよ!
「メスト様!」
みんなに会いたい!
みんなとたくさんお話したい!
そして、メスト様ともう一度あの頃のような恋をして、今度こそメスト様と一緒に幸せな未来を築いてみせるわ!
メスト様の手に触れようと必死に手を伸ばす。
その瞬間、眩い光が私の体を包み込んだ。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
永遠の眠りにつこうとしたフリージアを救ったのは、他でもないメストだった!
物語もいよいよ最終章!
不条理に全てを奪われた者たちの運命は果たしてどうなるのか!?
最後まで楽しんでいただけると幸いです。
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(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)