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第510話 腹心を助けに行ってきます

 リュシアンがノルベルトを引きつけ、ロスペル達が傀儡を無力化した頃、国王とジルベールはサザランス夫妻とフェビルに護衛されながら、アリーナ出入口のノルベルトから見えない場所で戦いの行く末を見守っていた。



「さすが、サザランス公爵家の次期当主。他の4人が動きやすいようノルベルトをしっかり引きつけている」

「それに、ロスペル殿の短時間での作戦立案も相変わらず凄まじい。さすが、宮廷魔法師団副団長」

「えぇ、特に今のロスペルには立派な弟子がいますから、大勢の傀儡相手に負けるはずがありません」



(幼い頃は、2人とも違う方向で手のかかっていたが……今では、己の役目をきちんと果たせるようになったな)


 王族から2人の息子の活躍が褒められ、誇らしくも寂しさを覚えるレクシャ。


 そんな彼の横顔を一瞥した国王は、視線をシトリンとラピスに移す。



「フェビル君が育て上げた部下も素晴らしい。たった2人でエリート騎士達を無力化するとは」

「恐れ入ります」



(なにせ、あの2人は俺が第二騎士団長だった頃から育て上げてきた2人だからな。傀儡相手だろうと負けるはずがない)


 傀儡騎士達を次々と無力化していく部下達を国王から褒められ、深々と頭を下げたフェビルもまた、レクシャと同じく誇らしい気持ちを抱いた。


 その時、鋭い殺気を感じたフェビルが頭を上げる。


 そこには、リュシアンと戦っていたノルベルトが嫌な笑みを浮かべていた。


(何だ、あの余裕は? 駒達は全員、倒されたはず。それに、今の殺気……)


 その時、アリーナに突然、2つの強烈な殺気が現れ、フェビルそのうちの1つに思わず目を見開く。



「っ!」



(この闇から這い出た纏わりつくような嫌な殺気! やっぱり……!)


 覚えのある殺気と、リュシアンの前に現れた、黒い外套を纏ってフードを深く被った細身の男の背中を見て、フェビルは思わず顔を歪める。


 魔法陣奪還作戦前、レクシャから報告を聞いた時、フェビルはほんの少しだけ『嘘であってくれ』と願った。

 なにせ、王都を出る前、彼は至って普通だったのだから。


 だから、嘘であってくれと願った。


 何かの間違いであると思いたかった。


 例え、他の騎士達が奴の傀儡になったとしても、彼だけは傀儡にならないと。


 いつものように、自分のいる執務室で涼しい顔をしながら淡々と仕事をこなし、自分達の帰りを待っていると。


(お前だけは、お前だけはならないと思っていた!)


 レクシャから事前に『ノルベルトの魔の手が伸びる可能性がある』と言われても、フェビルは『ノルベルトのことだから、きっと手を出さない』と思っていた。


 そのための対策として、彼を王都の騎士団本部に置いてきた。


 けれど、結果としてノルベルトの魔の手は彼に伸びてしまった。



「あの野郎、本当に人の嫌なところをつつくのが得意だな! 絶対にぶっ潰してやる!」

「フェビル殿、一体どうした?」



 心配そうに聞いてきた国王に応える余裕が無いフェビルは、憤怒と威圧と殺気を解き放ちながら前に出ると、短剣を持ったフード男と戦っているリュシアンを見て、ニヤニヤと嗤っているノルベルトを鋭く睨みつける。


 そして、背後にいる国王に向かって深々と頭を下げた。



「陛下、この場を離れてもよろしいでしょうか?」

「構わないが……一体どうしたというのだ?」



 周りを威圧するような殺気を放つフェビルを見て、国王が眉を顰めていた時、コロッセオに轟音が響き渡った。



「な、なんだ!」



 轟音に驚いた国王達がアリーナを見ると、そこには壁に打ち付けられたリュシアンがいた。



「「リュシアン!!」」



 ボロボロになった息子を見て、サザランス夫妻に動揺が走った時、短剣を構えたフード男がリュシアンに接敵するところが見えた。


(マズイ!)


 鞘から大剣を抜いたフェビルは、自分に強化魔法をかけると、背中越しに国王に離れる理由を伝える。



「ノルベルトの傀儡になってしまった私の右腕を助けに行ってきます」

「っ!」

「それって、もしかして……」



 フェビルの右腕。それは、彼が近衛騎士団の団長を引き受ける条件として、わざわざ引き抜いた誰よりも頼りになる腹心だった。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


フェビルの言う『腹心』とは、もちろんあの人のことです!


そして、ブクマ・いいね・評価の方をよろしくお願いいたします!

(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)


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