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第509話 あの方を止めてきます

「行きますよ、カトレア嬢」

「はい、師匠!」



 ラピスとシトリンが飛び出したタイミングで、飛行魔法で宙に浮いたロスペルとカトレアは、観客席から飛んでくる魔法を紙一重で躱しつつ、観客席に杖を向ける。



「分かっているとは思いますが、彼らは敵ではなく我らが同志であり守るべき者達。くれぐれも命を奪うようなことをしてはいけません」

「分かっていますよ、師匠!」



(私も師匠の弟子! そして、フリージアの親友! 2人を悲しませるようなことは絶対にしないわ!)


 やる気に満ち溢れているカトレアを一瞥し、内心少しだけ心配したロスペルは、弟子がやり過ぎないように祈りつつ視線を観客席に戻す。



「では、手早く終わらせましょう。私たち2人なら、無詠唱で魔法を撃っている彼らを無力化出来るでしょう」

「はい、師匠!」



 力強く返事をしたカトレアは、ロスペルと背中合わせになると頭の中で相手を無力化する魔法を頭に思い浮かべる。


(相手をの命を奪わず無力化する魔法。そんなの、たった1つしかないじゃない!)


 静かに魔力を練ったカトレアは、ロスペルと同じタイミングで魔法を撃つ。



「「《ウインドアロー》!!」」



 威力を下げた無数の風の矢は、2人に向けられた数多の魔法を打ち消し、同時に観客席にいる宮廷魔法師達や貴族達を一気に無力化した。



「ふぅ、一先ず無力化ですね」

「えぇ、さすが、私の弟子です」

「ありがとうございます! これも全て師匠の教えがあってのことです!」



 ロスペルに褒められ、嬉しいそうに笑ったカトレアは、眼下に視線を移す。


 そこには、金色の鎧を纏った騎士達が誰一人として立っておらず、シトリンとラピスが一息ついている光景が広がっていた。


(さすが2人とも! 改竄魔法で弱体化しているとはいえ、大勢の騎士達を無力化するなんて!)


 双剣を下ろしたラピスの顔を見て、カトレアが一安心していると、観客席を凝視していたロスペルが険しい顔をする。



「それにしても、ノルベルトの改竄魔法の影響があるとはいえ、我が国の宮廷魔法師達が貴族達と同じレベルの魔法しか使えないとは……これは、全て終わったら一から叩き直さないといけないですね」

「うっ!」



(師匠の『叩き上げ』って本当に容赦が無いから、毎回病院送りになる人が出てくるのよね)


 宮廷魔法師団副団長ロスペルが不定期に行っていた『叩き上げ』を思い出し、カトレアの表情が一気に青ざめる。


 その時、強烈な魔力が2人を襲う。



「っ!! 師匠! この魔力!」

「えぇ、間違いなく……」



 その時、コロッセオに轟音が響きわたる。



「な、なに!」



 驚いた2人は、轟音が聞こえた方に視線を向ける。


 そこには、壁に打ちつけられたリュシアンがいた。



「兄さん!」



 ボロボロの兄を見て、動揺するロスペル。


 だが、リュシアンに向かって杖を向ける黒い外套を纏う男を見て、冷静になったロスペルは、兄を守ろうと眼下に杖を向ける。



「《ウインドウォール》!」



 ロスペルの作り出した風の壁は、リュシアンに駆け寄ったシトリンとラピスを守った。


(良かった、間に合った)


 安堵したロスペルは、兄に魔法を撃った人物を一瞥すると、愉しそうに嗤っているノルベルトを睨みつける。



「まさか、本当にあの方を駒にしていたとは……ますますノルベルトのことが許せなくなりましたね」

「師匠……」



(あなただけは……誰よりも魔法を極め、魔法を愛しているあなただけは、彼の呪縛から逃れると信じていたのに)


 いつになく殺気立つロスペルを見て、カトレアの表情が強張る。

 そんな彼女に、ロスペルは静かに指示を出した。



「カトレア嬢、あなたはラピス君とシトリンさんと合流して、兄を父上のところに連れて行ってください」

「師匠は?」

「私は……」



 眼下に視線を戻したロスペルは、銀色の杖を強く握り締める。



()()()を止めてきます」

「っ!」



 ロスペルの言う『あの方』とは、ロスペルやカトレアか魔法師として尊敬している人物だった。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


そして、ブクマ・いいね・評価の方をよろしくお願いいたします!

(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)


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