第483話 この人達は誰?
「「「「「うわ――――――!!!!!!!」
「っ!!」
(いきなりどうしたんだ!?)
ノルベルトの改竄魔法により、無効化魔法と同じく解呪魔法の存在を記憶から消されたメストとシトリンは、ロスペルの解呪魔法にかけられて呻き声を上げている仲間達に困惑していた。
それでも、苦しんでいる仲間を救おうと一歩を踏み出すメストの肩をフェビルが掴む。
「団長!」
「大丈夫だ。こいつらはそこで寝ている奴にかけられた魔法を解かれ、苦しんでいるだけだ」
(正確には、そこで寝ている奴の父親がかけた魔法を解いているのだが)
「しかし!」
「大丈夫だ、だから大人しくしていろ」
「っ!……分かりました」
「シトリンも、どさくさ紛れに仲間に近づこうとしているんじゃない」
「分かりました」
(団長がおっしゃっているから大丈夫なのかもしれないが……!)
苦い顔をしたメストが、苦しんでいる仲間を涼しい顔で見ているロスペルを睨みつけると、隣にいたシトリンが戦闘の始まる前の会話を思い出す。
「ところで団長」
「何だ?」
「あの方達は、一体誰なのですか? 先程の戦闘で彼らが僕たちの味方なのは十分理解出来たのですが」
『団長。ラピスとカトレア嬢は信用出来ますが、一緒に来たあの人達は……』
『大丈夫だ。あの人達は俺たちの味方だ』
(団長が『大丈夫だ』とおっしゃっていたから信用したし、先程の戦闘でカトレア嬢やラピス、そしてメストのお父さんも信頼を寄せていたから僕たちの味方なのは間違いないのかもしれないけど……)
「そうですよ、団長。俺たちに力を貸してくれたあの方たちは一体誰なのですか! 動きだってどう考えてもただの平民とは思えませんよ!」
(特に、あの銀色の大剣を持った男が使っていた透明の魔力はカミルと同じ……あれ? あの大剣、どこかで見覚えがあるぞ)
その時、カトレアに関する悪い噂がガセであることを証明するために森に入った時のことがメストの脳裏に蘇る。
(そうだ、あの時、実家から来た執事の護衛騎士が持っていた得物が銀色の大剣だった!)
「メスト?」
リュシアンを凝視したメストは、シトリンから呼ばれているのにも気づかず、つかつかとリュシアンのもとに行った。
「お、どうした?」
メストが来て嬉しさを隠せないリュシアンとは対象的に、酷く真剣なメストが問い質す。
「あなた、随分前に会っていませんでしたか?」
(それも、森の中で)
真剣そのもののメストに対し、リュシアンは笑みを深めると静かに答える。
「さぁ、どうだろうな?」
「っ!」
リュシアンから揶揄われたと分かり、メストが僅かに顔を赤くしたその時、ラピスを連れた魔石回収をしていたカトレアが何かを見つける。
「あっ! あの馬って……!」
「っ!」
カトレアの『馬』という言葉にメストがリュシアンから視線を逸らすと、遠くから鞍をつけた馬が見えた。
「ステイン!」
(どうしてここに!? それも、酷くボロボロの状態で!)
ステインの登場に驚きが隠せないメストは、リュシアンを置いて満身創痍で駆けてくるステインを迎えに行った。
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