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第478話 いざ、助太刀へ!

「ジルベール殿下!? ど、どうしてこちらに……!」



 レクシャに言われた通り、3人を連れて転移魔法で屋敷に来たロスペルは、兄と一緒にいるジルベールに思わず声を上げ、3人と一緒に慌てて跪く。


 それを見たジルベールは苦笑しながら答える。



「僕も未来の国王として、君達と一緒に戦うことにした。だから、楽にしていい」

「は、はぁ……」



(父上なら真っ先に反対すると思ったけど……この様子だと、宰相として殿下の意思を尊重したって感じなのかな)


 険しい顔をしたレクシャをチラ見したロスペルは、小さく息を吐くと3人と一緒にゆっくりと立ち上がる。


 それを見計い、レクシャがジルベール達に現状を説明する。



「現在、陛下が乗っている馬車の行く手には、リアン・インベックが待ち構えている。大方、目的は陛下の暗殺だ」



『暗殺』という言葉に部屋に重苦しい空気が流れる中、レクシャはこれから起こりうることを話す。



「大方、リアン・インベックは得意の召喚魔法で魔物を召喚し、加えてノルベルトが改竄魔法で教えた隷属魔法を使い、フェビル団長を除いた護衛騎士達を全員自分の駒にするつもりだろう」

「「っ!!」」



(となると、メスト隊長もシトリン副隊長も……!)



「ラピス」

「……大丈夫だ。覚悟はしている」



 強く拳を握り締めたラピスを一瞥し、僅かに目を伏せたレクシャは小さく息を整えると話を続ける。



「はっきり言って予断を許さない状況だ。だが、これも想定内のこと。我々は作戦通り、転移魔法で陛下や王妃様、第一王女殿下のもとに馳せ参じ、リアン・インベックを速やかに鎮圧した後、コロッセオに急ぐ」



 そう言うと、レクシャはこれからコロッセオに行く者達に役割を伝えていく。



「私はティアーヌと共に殿下の護衛につく。リュシアンとラピス君、そしてディロイスは騎士達の無力化を」

「分かったわ」

「ハッ!」

「了解! 久しぶりに暴れられるぞ!」

「ハッ!」



 小さく頷くティアーヌと、綺麗に敬礼をするラピスに、やる気に満ち溢れているリュシアンの頼もしい返事。

 そんな中、1人黙っているディロイスにレクシャが声をかける。



「すまんな、ディロイス」

「いえ、これも覚悟の内です」



 ノルベルトの傀儡になったかもしれない息子を無力化しないといけないことに、悔しさを滲ませつつも深く頷いたディロイスを見て、小さく拳を握ったレクシャはロスペルとカトレアに視線を移す。



「ロスペルとカトレア嬢は上空から魔物討伐。恐らく、魔物は広大な草原地帯で召喚するだろうから、ロスペルの飛行魔法を使えば上空からでも魔物討伐が出来るはずだ」

「そういうことでしたら問題ありません。カトレア嬢、フリージア救出前に重い仕事になりますが、魔法師としてお互い協力しながら頑張りましょう」

「はい、師匠!」



 気合十分の笑顔で頷くカトレアを見て、今まで黙って聞いていたジルベールが静かに手を上げる。



「宰相、少し良いだろうか?」

「はい、何でしょう? ジルベール殿下」



 視線を移したレクシャに、一瞬口を噤んだジルベールは意を決して口を開く。



「僕のために護衛を付けてくれることはありがたい。だが、僕もそれなりに腕に覚えがあるし、このように戦うための武器もある。だから、無理をしない範囲でヴィルマン侯爵達に加勢してもいいだろうか?」

「…………」



 その時、レクシャの脳裏に全てが奪われて1週間後に届いた手紙を思い出す。



『レクシャ、私のためこのような腕輪を送ってくれたことを感謝している。だが、この国の王として、民を救うためにはやはりノルベルトの油断を与えるようなことをしなければならない。だから、私は自ら傀儡の王になろうと思う。大丈夫、死ぬような真似はしないと約束しよう』



 インホルトが持ってきた手紙で国王の覚悟を知ったレクシャは、悔しそうに涙を流しつつも国王の覚悟を無駄にしないよう、ノルベルトから全てを取り戻す決意を改めて固めたのだ。


(全く、こういうところはお父上に似ましたね)


 笑みを浮かべるレクシャに、ジルベールが不思議そうに小首を傾げる。



「宰相、何かおかしいことを言ったか? やはり、加勢するのは止めた方がいいだろうか?」

「そうですね、確かに止めて欲しいですが……」



 一瞬目を伏せたレクシャは、視線を戻すと今のジルベールが王太子時代の現国王と重なった。



「陛下ならばきっと、止めるようなことをされませんでしょうから、私もそれに倣って許すとしましょう」

「ありがとう、宰相」

「ただし、私とティアーヌの指示には従ってくださいね」

「分かっている。僕の護衛をしてくれる2人を危険に晒すような真似はしない」

「そうですか」



(こういうところも父上に似ましたね)


 自信に満ち溢れた表情で頷くジルベールに、レクシャが思わず苦笑した時、連絡役の騎士から報告が入った。



「レクシャ様! 今、旧都の監視部隊から王族を乗せた馬車とリアン・インベックが対敵したと報告が入りました!」

「分かった」



 一瞬で笑みを潜めたレクシャは、傍に控えているインホルトに視線を向ける。



「ではインホルト、後は頼む」

「かしこまりました」



(エドガスから様々なことを叩き込まれているインホルトならば問題なくことを進められるはずだ)



 当主に忠実な若き有能執事に屋敷を任せたレクシャは、鎧姿で銀色の片手剣を腰に携えた姿でロスペルに合図を送る。



「では、行くぞ!」

「「「「「「はい!!」」」」」」



(陛下やフリージアを救い、ノルベルトから奪われたものを取り戻すために!!)


 こうして、レクシャはラピスのいる街道へと転移した。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


そして、ブクマ・いいね・評価の方をよろしくお願いいたします!

(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)


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