第467話 フリージアの弱点
『俺、王族警護をすることになったんだ』
(大丈夫、メスト様は強いから死なない。カトレア達が助けに来るから死なない。大丈夫、大丈夫……)
星空の下で見た彼の横顔と、カトレア達の言葉を思い出したフリージアは小さく首を振って意識を集中させる。
「まぁ、今から死ぬ貴様には関係ないことか……あっ、そうだ」
険しい顔のままのフリージアを見て、酷くつまらなそうな顔をしたノルベルトは何かを思いつくと傍にいる宮廷魔法師に黒い魔力をかける。
(何をしているの?)
周囲を警戒しつつ、ノルベルトの動きを注視するフリージア。
すると、ノルベルトから黒い魔力をかけられた宮廷魔法師が、観客席の一番奥にいる騎士が構えている弓に風属性の魔法をかけた。
「っ!」
(まさか!)
ノルベルトの思惑に気づいたフリージアは、咄嗟にレイピアに透明な魔力を纏わせると背後に飛んできた矢を弾き飛ばし、その反動で後ろに下がる。
それを見たノルベルトがニヤリと笑みを浮かべた。
「おぉ! やはりか! 人間に力を付与できる俺なら、俺の駒の力を別の駒に与えることだって出来るよな!」
「付与? 改竄の間違いでは?」
「うるさい! この平民貴族が!」
安い挑発であっさり乗ったノルベルトを無視し、フリージアは風属性の魔法が付与された矢を弾き飛ばした反動で痛めた手首に視線を落とす。
(まさか、このタイミングでノルベルトに私の弱点を見抜かれるなんて。もしこれが、リュシアン兄様なら何とも無かったのでしょうけど)
大柄で体格の良いリュシアンに比べ、瞬発力と機動性が高いフリージア。
その反面、リュシアンに比べて筋力が無い。
そのため、騎士自らが魔法を付与した武器での攻撃よりも威力が遥かに高い、プロの魔法師が属性魔法を付与した武器での攻撃は、フリージアにとってとても相性が悪い。
例え、フリージアが無効化魔法で武器に付与された属性魔法を打ち消したとしても、武器そのものにかけられた魔法の威力は打ち消せないため、フリージアに相応のダメージが与えられるのだ。
(次に、宮廷魔法師達に魔法を付与された得物で次々と襲われたら、怪我を覚悟しないといけないわね)
一瞬苦い顔をしたフリージアが視線をノルベルトに戻すと、我に返ったノルベルトがフリージアを見て下卑た笑みを浮かべる。
「だが、貴様の弱点が分かったことで、ようやく楽しめそうだ」
「っ!」
そう言うと、ノルベルトは黒い魔力をコロッセオにいた宮廷魔法師全員にかける。
その瞬間、コロッセオにいた宮廷魔法師が一世に、騎士達の持っている武器に属性魔法を付与した。
「やっぱり、こうなるわよね」
魔法の扱いに優れている宮廷魔法師が、騎士の持っている武器に属性魔法を付与したことで、騎士一人一人の攻撃力が格段に上がった。
苦い顔をするフリージアに、愉悦の笑みを浮かべたノルベルトが駒達に命令を出す。
「よし、やれ。お前達」
「っ!」
ノルベルトの命令を受け、今まで動かなかった騎士達が一斉にフリージアに襲いかかり、頭上から魔法が飛んできた。
それを見て一瞬眉を顰めたフリージアは、騎士達の攻撃を紙一重で避けながらレイピアを持っていない手を胸にあてる。
(こうなったら、体全体に無効化魔法のかけるしかないわね)
魔力を流せば魔道具に付与された魔法さえもあっさり無効化する無効化魔法だが、基本的に外部から受ける魔法に対しては、レイピアのような得物や対価となる無機物が無い限り、魔法を無効化することは出来ない。
そのため、無効化魔法を宿している人でも治癒魔法を受けることが出来る。
そして、いざとなった時は自分自身の血を対価に、自分自身に無効化魔法のかけることが出来る。
ちなみに、フリージアが身につけている服は全て、フリージアの血を媒介にした血術『物理耐性』が付与されたもので、無効化魔法の影響を受けない。
(レイピアに魔力を纏わせる時と同じイメージで)
フリージアが胸にあてた手をギュッと握り締めると、フリージアの体に透明な魔力が纏われる。
(よし、これでいける!)
「後は、騎士達の攻撃を必要最小限に避けつつ、魔力切れを待つだけね!」
(お父様、ロスペル兄様、カトレア、ラピスさん、待っていますからね!)
目の前に迫った騎士の攻撃を躱したタイミングで、大きく後ろに下がったフリージアは、レイピアに透明な魔力を纏わせると、飛んできた魔法を無効化、再びコロッセオを走り始めた。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
というわけで、フリージアが更に追い詰められます。
果たして、フリージアは役割を果たすことが出来るのか!?
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(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)




