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第44話 魔物討伐へ!(side 騎士)

「「っ!?」」



(この警鐘、もしかして魔物が現れたのか!)



「メスト!」

「あぁ、分かっている」



 静寂な夜を突き破るような警鐘が駐屯地に鳴り響き、外の様子が慌ただしくなってきた時、執務室から外に出たメストとシトリンは、足早に隊長と副隊長が集まる会議室に入る。


(ほう、早速訓練の成果が出ているのということだろうか)


 顔を引き攣らせながらもこの場に来ている王都の騎士達を見て、メストとシトリンが少しだけ感心していると、厳しい顔をしたグレアが入ってきて、会議室の中央に置かれた大きなテーブルの上に駐屯地一帯が書かれた地図を広げた。


「では早速、作戦会議を始めます。先程、駐屯地奥にある監視塔からの報告が入り、今回魔物が現れたのはここから少し離れた森で、数はここからでは特定不可能だそうです。ですので、これから皆さんには……」



 この短時間で立てたグレアの作戦を聞き、各部隊の隊長と副隊長が揃って頷くと会議室を出てすぐ、正門前に集まっている部下達に作戦を伝える。

 そして、最後に会議室を出たグレアが、副団長らしく整列している騎士達の士気を上げる。



「駐屯地に来て早々でありますが早速実践です! 昼に行ったのはあくまで訓練! 今から行うのは正真正銘の魔物討伐! 皆さん、自らの命が惜しいのであれば死ぬ気で魔物を倒して国民を守って下さい!!」

「「「「「「はっ!!!!!!」」」」」」



 松明に煌々と照らされた正門前で、銀色の鎧を纏った騎士達が一斉に敬礼するとすぐさま馬に跨り、グレアの号令で魔物の出た森に向かって一斉に駆けていった。



 ◇◇◇◇◇



『副団長、報告です』

「何でしょう?」



 大勢の部下を率い、魔物の群れが出没した森の中に入ったグレアのもとに、監視塔から報告が騎士達に配布されている通信魔法が付与されたブレスレット型魔道具から届いた。



『魔物の大群は『リアスタ村』と呼ばれる小さな村に向けて進んでいたのですが……突然、動きを止めて数を減らし、3つの集団に分かれました』

「動きが止まったんですか? しかも、数が減らしている? そして、3つに分かれたのですか?」



(何かの原因で仲間割れでも起こしたのでしょうか?)


 不可解な魔物達の行動を聞いて、グレアが不思議に首を傾げているは知らず、監視役の騎士は副団長に報告を続ける。



「はい。しかも、3つに分かれた集団のうちの1つが副団長達のところに向かっています!」

「何ですって!」



 監視役の報告に声を上げた瞬間、前から複数の禍々しい魔力を感じて、グレアは左手首につけていた通信用魔道具に魔力を流し込む。


『全騎士に告げます。今入った報告で、魔物達が何かしらの原因で動きを止めて数を減らすと、3つの群れに分かれたのこと。そして、その群れの1つがこちらに向かってきています。魔物の姿が見えた瞬間、戦闘になると思ってください!』

「「「「「「ハッ!!!!!!!」」」」」



 後ろから聞こえてきた返事に小さく笑みを零し、グレアは眼前に迫ってきた異形の大群を静かに見据える。


(さて、久々の魔物退治といきましょうか)


 鞘から片手剣を引き抜くと、一番後ろで殿を務めているスト達にも伝わるような大声で戦闘開始の合図を告げる。



「さぁ、魔物討伐の開始です!!!!」



 ◇◇◇◇◇



「《ファイヤーアロー》!」

「《トルネード》!」

「《アースバレット》!」

「《ライトニング》!」

「これでもくらえ!!」



 グレアの合図で左右に展開した騎士達は、連携を取りながら魔物達の退路を塞ぎつつ、襲ってきた魔物達に攻撃魔法を撃ったり得物で切り伏せたりして、次々と屠って行った。

 その姿は、正に王国を守護する騎士らしい勇ましいものだった。



「《アイスバレット》」



 部下達と共に熊のような姿の大型の魔物を追い込み、最後に得意の氷魔法で倒したメスト。

 そんな彼のもとに、彼と同じように部下達と共に大型の魔物を倒したシトリンが駆け寄る。



「やぁ、メスト。もうすぐで終わるね」

「そうだな。王都勤めの奴らも長い間、ぬるま湯のような生活を送ってきたとはいえやはり騎士だな。誰一人としてこの場から逃げ出さず、恐怖で足が竦みながらも果敢に魔物に立ち向かっている」

「そうだね。その割には、スタミナが尽きかけているみたいだけど」



 そう言って、シトリンはここから少し遠くの方で魔物討伐をしている王都勤めの騎士達に目を向けると、疲れた顔をしながらも騎士として磨いてきた魔法や剣技で中型の魔物を次々と倒している。


(まぁ、スタミナに関しては残りの訓練日程でどうにかなるだろう)


 すると、最後に残っていた魔物が倒され、安堵から息切れを起こした王都勤めの騎士達は全員、その場にしゃがみ込んだ。

 それを見たメストとシトリンが揃って苦笑すると、左手首につけていた通信用魔道具が熱を持った。



『魔物討伐を終えた全騎士に告げます。一先ず、ここ一帯の魔物の群れは討伐され、監視役の報告では2つあった群れのうち1つが消えました。しかし、最後の1つが『リアスタ村』と呼ばれるに向かっています。全員、強化魔法を使って最後の群れを追いつき、一匹残らず殲滅させましょう!』

「「「「「ハッ!!!!!!」」」」」



 グレアの命令を聞いて、一瞬顔を引き攣らせたメストは、シトリンと共にすぐさま魔道具を使って強化魔法を自分にかけると、すぐ近くにいた部下達を集める。



「お前達、リアスタ村に魔物の群れが到達する前に殲滅するぞ!」

「「「「「ハッ!!!!!!」」」」」



 隊長として誰よりも周囲を警戒しつつ、他部隊と連携を取りながら、部下達を率いて夜の森を駆けたメスト。

 その彼の脳裏には、幌馬車を引いて村を出た木こりの後ろ姿が蘇り、悔しさのあまり思わず下唇を噛む。


(頼むから、生きていてくれ!)


 だが、この時のメストは知らなかった。木こりが既にこの森に入って、銀色のレイピア一本で魔物の数を減らしていたことを。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


そして、ブクマ・いいね・評価の方をよろしくお願いいたします!

(作者のモチベが上がりますので!)


2/10 大幅な修正をしました。よろしくお願いいたします。


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