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第262話 引き起こされた事態

「ギャハハハッ! ここは、歪んだ魔法陣がある森だからな! 魔力が集まる夜でなくても簡単に魔物の大群を呼ぶことが出来るというものだ!」

「歪んだ魔法陣?」



(こいつは一体、何をさっきから言っているんだ?)


 高笑いをするリアンを見て、顔を顰めるルベル。

 その近くで、険しい表情をしたフェビルが後ろにいるメストに目を向ける。



「メスト! 行けるな?」

「はっ、はい!」



(そうだ、いつまでもダリアのことを引きずっているわけにはいかない!)


 フェビルの声で己に喝を入れたメストは、小さく頭を振ると険しい顔で剣を構えると、ジルがフェビルの横にいたザールに近づいて話しかけた。



「ザール、こちらに来る魔物の数は分かるか?」

「はい。大方、100匹は超えているかと」

「「「っ!?」」」



(この距離から分かるのか!? この護衛騎士、何者なんだ!?)


 ザールの返事を聞いて驚くメストやシトリンにルベルだったが、リアンは愉しそうに笑みを浮かべたまま口を開いた。



「ほう、愚民の分際で姿も見えない魔物の数が分かるというのか?」

「えぇ、大方な数字でありますが」



 淡々と答えたザールに、リアンが小さく鼻を鳴らすと、ザールの後ろにいたジルが再び小さく溜息をついた。



「少し数が多いな……やれるか?」

「えぇ、この場に腕の立つ騎士様達と宮廷魔法師様がいらっしゃるから問題無いかと」

「そうか」



(あれっ? この護衛騎士の返事の仕方、どことなくカミルに似ているな。それに佇まいも少しだけ似ている気が……)



「ほう、言ってくれるじゃないか。でもまぁ、どっちみちお前らは魔物の餌になるだろうけどな!」



 ジルの問いに淡々と答えるザールとカミルが重なって見えたメストが首を傾げた時、得意げな笑みを浮かべたリアンが大ぶりな宝石が施されたブレスレットに魔力を注入した。

 すると、リアンの足元に白色の魔法陣が現れる。



「それじゃあ下民共。せいぜい、魔物の良い餌になってくれよ」

「まっ、待て!」



 ルベルの制止を聞かぬまま、下卑た笑みを浮かべたリアンが姿を消すと、召喚された魔物達が飛びかかってきた。





「メスト! シトリン! お前たちは前衛に出ろ! 俺とルベル殿が後衛でお前らが撃ち漏らした分を討伐する!」

「おう!」

「「「はっ!!」」」



 ルベルと共に飛びかかってきた魔物を一掃したフェビルは、後ろにいる後ろにいたメストとシトリンに声をかけて2人を前衛に出す。

 すると、ジルがフェビルに話しかける。



「フェビル団長、私たちも協力させてください」

「っ! ですが、あなた方は騎士でも無ければ宮廷魔法師でも……」

「ご安心を」



 小さく笑みを浮かべたジルは、懐から使い込まれた杖を取り出した。



「これでも『王国の剣』と謳われているヴィルマン侯爵家の屋敷を任されている者。いざという時のための訓練を怠ってはいません」

「ですが……」

「それに、私にはザールという頼もしい護衛騎士がいます。ですので、あなた方の足を引っ張るような真似は致しません」



 じっと森の奥を見据えるザールを一瞥し、大きく息を吐いたフェビルはジルに視線を戻す。



「では、ジル殿は遊撃隊として魔物討伐をお願いします」

「分かりました。ザール、聞いたね? 君はいつものように前衛を頼む」

「かしこまりました」



 ジルの命を受けたザールは、透明な魔力を足元に纏わせた。


(っ!? あの魔力は!!)



「ザール様、あなたは一体……」

「来るぞ! 気合を入れろ!!」



 フェビルの言葉で意識を魔物に向けたメスト。

 その横で、ジルは前に立つザールに命令を下す。



「ザール、騎士達が飛び出したらあなた前に出なさい」

「はい」



(立場が立場とはいえ、友人の君にこんな風に命令なんてしたくないな)


 目の前にある頼もしい背中を見て、ジルが少しだけ苦い顔をした時、森の奥から魔物の大群が姿を現す。



「行くぞ!!」

「「ハッ!!」」

「おう!」

「ザール」

「はい」



 フェビルとジルの合図で、2人の若い騎士と足元に纏わせていた魔力を爆ぜさせたザールが魔物の群れの中へと飛び込んだ。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


そして、ブクマ・いいね・評価の方をよろしくお願いいたします!

(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)


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