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第156話 カトレアの実力

 カミルとメストが宮廷魔法師団の応援に駆けつけていた頃、仲間と共に王都の宮廷魔法師団本部からリアスタ村近くの森に転移してきたカトレアは、周囲にいた魔物を次々と燃やしていた。



「《ファイヤーブラスト》!」

「「「「「ギャ――――!!」」」」」



(ふぅ、一先ずこの辺りの魔物は倒したかしら)


 闇夜に紛れた魔物の群れを一掃したカトレアは、腰に携えていたマジックバックからマナポーションを取り出すと、中身の液体を一気に煽る。

 すると、一際立派なローブを着た大柄の男が駆けてきた。



「カトレア!」

「団長!」



 心配そうな顔でカトレアに声をかけてきたのは、珍しく魔物討伐に出陣している宮廷魔法師団長ルベルだった。

 驚いて大きく目を見開いたカトレアは、空になったマナポーションの瓶をその場に投げ捨てると姿勢を正す。



「怪我はなさそうだな。だが、魔力の方は大丈夫か? 転移して早々、魔物の群れに向かって派手に超級魔法を撃っていたが」

「問題ありません。色々と考慮した上で超級魔法を撃ちましたので」

「そうか。でも、無理だけはするなよ」

「はい!」



 真剣な表情で頷くカトレアに、ルベルは安堵の溜息をつくと、すぐそこにまで迫ってきた魔物達に向かって青色の魔法陣を展開して魔魔法を放つ。



「《ウォーターボム》!」

「ギャッ!」



 巨大な水爆弾を投げて魔物達を倒したルベルは、カトレアを一瞥すると手首につけている銀色のブレスレットに付与された強化魔法を使ってその場から離れ、魔物討伐をしながら別の団員の様子を確認しに行った。



「全く、相変わらず心配症な団長ね」



(でもまぁ、そのお陰で、魔物討伐で戦線復帰が出来なくなった団員の数が圧倒的に減ったんだけど)


 団員のことを第一に考えているルベルの背中を見送ったカトレアは、小さく笑みを浮かべるとすぐさま周囲を警戒する。


 よし、誰もいないこの状況なら。


 周りに自分以外の魔法師がいないことを確認したカトレアは、眼前に迫ってきた魔物の群れを捉えながら空に向かって大きく手を伸ばす。



「《ファイヤージャベリン》!」

「「「「「グガガガガガッ――――!!」」」」」



 カトレアが空に向かって展開した赤い魔法陣から巨大な火の槍が現れ、魔物の群れに向かって一直線に飛んでいくと、直撃を食らった魔物の群れは絶叫と共に魔石に変えられた。



「まぁ、『王国の主砲』と謳われた有能な火属性魔法使いであるティブリー家の人間として、このくらいは当然よね」



 メラメラと燃え上がる森を見て、カトレアが満足げな笑みを浮かべたその時、背後から熊型の魔物が襲い掛かってきた。



「《ファイヤーアロー》!」



 魔物の気配に気づいたカトレアは、すぐさま赤い魔法陣を展開すると、背後にいた魔物へ火の矢を放つ。

 だが、カトレアが放った火の矢を俊敏な動きで躱した魔物は、そのままカトレアの華奢な体を押し倒す。



「な、なんなのこいつ!!」



(この私の……仮にも『稀代の天才魔法師』と謳われているこの私の魔法をあっさりと躱すなんて!)



「離して! 離しなさいって!!」



 だらしなくよだれを垂らしている魔物から両手を押さえつけられているカトレアは、何とかして逃れようと必死にもがく。

 しかし、普段からあまり体を鍛えていないカトレアは、自分より力が強い魔物から逃げられるわけがなかった。



「チッ! 仕方ないわね!」



(こうなったら、このまま魔法陣を展開して魔物を燃やしてやるわ!)


 悔しそうに小さく舌打ちをしたカトレアは、押さえつけられている状態で手に魔力を集めようとした。

 その時、遠くから男が魔法を放つ声が聞こえた。



「《アイスアロー》!」

「っ!?」



 声と共に飛んできた氷矢は、カトレアを組み敷いていた魔物の頭を打ち抜き、あっという間に魔石に変えた。



「君、大丈夫か!」

「え、えぇ。大丈、夫……ってえっ!?」



(どうして、あなた様がここに? それも、平民の恰好をして!?)



「まさか、カトレア嬢か!」



 ゆっくりと上体を起こしたカトレアに駆け寄ってきたのは、木こりの格好をしたメストだった。



 ◇◇◇◇◇



「メスト様!? どうしてここに!?」

「い、いや、それは……」



(そう言えば、宮廷魔法師団の応援に駆けつけたいがあまりに、なんて説明しようか考えるのを忘れていた)


 驚いて目を丸くするカトレアを見て、メストは気まずそうに苦笑いを浮かべ、視線を逸らすと頬を掻く。

 すると、メストの後ろからレイピアを持った平民の男がメストに声をかける。



「それよりも、今は魔物を倒すことが最優先では? もうじき終わるのかもしれませんが、悠長に話している余裕はありませんよ」

「そうだな。カトレア嬢、話は魔物討伐が終わった後にしよう」

「……分かりました」



 メストに手を貸してもらいゆっくりと立ち上がったカトレアは、ローブの汚れを軽く落とすと眼前にいる魔物達へ意識を集中させる。


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


そして、ブクマ・いいね・評価の方をよろしくお願いいたします!

(作者が泣いて喜びますし、モチベが爆上がりします!)


2/12 大幅な修正をしました。よろしくお願いいたします。

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