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Ep.3-36

投稿遅れまして、申し訳ありません

焔の竜から現れた少年――エリオスの軽く放った言葉に、どよめきが兵士たちの間に生まれる。


「王国を……滅ぼしに――?」

「馬鹿なことを……」

「一体何者だ――!」


兵士たちの口々から漏れる困惑の声に、エリオスは肩を竦めて苦笑を零す。

そして、口の端を吊り上げながら名乗りを上げる。


「――私の名はエリオス・J・カルヴェリウス。あえて自己紹介をするならば、ベルカ公国のはずれからやってきた一魔術師にして一悪役(ヴィラン)……とでも言っておこう」


エリオスはそう言いながら、羽織ったマントの裾をつまんで慇懃無礼にお辞儀を()める。その名を聞いた途端、兵士たちの間に更なる動揺が走る。そんな彼らに追い打ちをかけるようにエリオスはさらに言葉を続ける。


「嗚呼、君たちにはこう名乗った方が通りがいいのかな? 君たちのあこがれの的――ルカント第二王子殿を殺した男。それが私」


わざとらしくにっこりと笑ってエリオスがそう言い放つと、その瞬間兵士たちの間に異質な緊張感が奔る。そんな中、誰かがぽつりとつぶやいた。


「――ルカント王子の、仇……?」


その一言が生み出した波紋は、燎原の火のように兵士たちの間に瞬く間に広がっていく。恐怖の声、悲しみの声――そして何より、どす黒いまでの怒りの声。


「許さない――」

「仇を取らなくては……」

「報いを――!」


兵士たちはエリオスを睨みつけながら、口々に怨嗟と怒りの声を上げる。

それをエリオスはしばらく黙って聞いていたが、不意にある瞬間小さく乾いた笑いを零した。

そんな彼に向かって兵士の一人が怒鳴りつける。


「何がおかしい!」


「何が――? ふふ、少なくともそれが何なのかを言われなくては分からない、君の頭がおかしいのは間違いないね」


「な――」


くつくつと喉の奥で笑いながら云い放たれたエリオスの言葉に、兵士は絶句する。エリオスは、そんな彼を冷たい目で見ながらも、言葉を続ける。


「頭がおかしくてお弱い君たちに説明してあげようか。君たちは私のことを第二王子サマの仇だなんだと言うけれどね、そもそも先に私の屋敷に忍び込んで来たのは彼らだ。そして、先に牙を剥いたのも彼ら――そこを考えれば、私は被害者だと思うけどね」


「そんなことは――ッ! た、たとえそうだったとしても……お前は、王子であり我が国の勇者でもあったルカント様を殺した――それは許されざる大罪だ!」


また別の兵士が異を唱える。エリオスは、そちらをちらと向いて、皮肉っぽく、冷ややかに笑う。


「殺されそうになれば、抵抗する。それは自然の摂理だと思うんだけど? それとも、私のような下賤の者は大人しく王子で勇者なルカント君に殺されてろってことかな――それは、御大層なことだ!」


エリオスはそこまで言うと、すっと表情を消してぎろりと兵士たちを睨みつける。凍てつくような冷たい目だった――そんな瞳で、兵士たち一人ひとりの顔を見回しながら、エリオスは吐き捨てる。


「やっぱり君たちも、あの日の()()のように怠惰で愚かで、それでいてその罪に無自覚でいる――ああ、本当に腹立たしい」

エリオスの自己紹介。実は元ネタがあったりします。


あと、久々にエリオスがミドルネーム付きで自己紹介しましたね。ミドルネームの「J」については、そのうち説明する機会があればいいなと思いつつ。

なんか、そのうちインタールードとかで、そう言う話をできたらな――などと。


明日は普段通りに投稿できるように、今夜のうちに書き溜めしておきます笑


最後にご報告とお礼なのですが、本日(2021.5.13)で総合評価ポイント(評価ポイント+ブックマーク数×2)が300ポイントを達成しておりました。応援してくださっている皆様におかれましてはありがとうございます!

今後ともお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

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