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Ep.3-27

明日からまたお仕事デイズ!

書き溜めができてねぇ!

「極大消除魔法――『太極接触・混沌原初(インテリ―トゥム)』」


機械的な声で、頭目の魔術師兵は大魔術の詠唱を完成させた。

その最後の一音が消えるのと同時に、エリオスの足元の魔法陣の外円から薄紅に輝くの光の壁が立ち上る。それは次第に高くなり、館の尖塔ほどの高さにまでそびえ立ち、エリオスを取り囲んだ。

エリオスはそんな極光の壁を、どこかとろんとした瞳で見上げていた。


「――これは」


「威力が強すぎるのでね。強力な魔力障壁を張っておかない事には危なっかしくて使えないんですよ、コレ――」


頼まれてもいないのに、アリキーノは誇るようにそう言った。

そんな間に、エリオスの足元――魔法陣の中では変化が起こっていた。一方の端からは青い月のような光で、もう一方の端からは赤い太陽のような光で徐々に魔法陣が染め上げられていく。

そして、ついに青い光と赤い光が接触する――その瞬間、その接触点から白い光が漏れ出して、みるみるうちに光の壁の中を満たしていく。

そんな様を見つめながら、エリオスは


「――そうか、太極。へえ、ここにもそんな二元論(システム)があるのか……いや、彼女の存在を考えればありえないことではない、のか……?」


「遺言ならもう少し大きい声でどうぞ――まあ、もう遅いですがね!」


アリキーノは醜く口の端を吊り上げて嗤う。青い光と赤い光の接触は広がり、その接触から生まれた白い光が空間を支配していく。

白い光の奔流は光の壁の中を駆け巡り、やがてエリオスの姿を覆い隠した。そして、赤と青の光が完全に融けあい、壁の中を白い光が支配した瞬間――


「さようなら、エリオス・カルヴェリウス。嗚呼、貴方の力、欲しかったですねえ――」


アリキーノはそう言って、背を向ける。

その瞬間、すさまじい轟音と共に壁の内側を満たしていた白い光が色を次々に変えていく――赤、緑、紫……次々入り乱れるように変わっていく光の様子は、まるで極光(オーロラ)が暴れ狂っているようで、幻想的でありながら底知れない宇宙的恐怖を与える。

荒れ狂う光の奔流、それに巻き込まれて抉られ、粉砕される大地。極光に包まれた光の中をうかがい知ることはできないが、アリキーノも、彼の部下たちも確信していた――エリオス・カルヴェリウスは、あの光の中で死に絶えたと。

極光の奔流が薄れていく。光の壁が徐々に崩れ、中の光も外へと霧散していく。

アリキーノはその様を見ることなく、馬にまたがる。


「――帰還します。後始末は任せましたよ」


「え――も、もうお帰りですか?」


マントを整えて帰り支度をするアリキーノに近くの兵士が駆け寄って問いかける。アリキーノは、小さくため息を吐いてから兵士を見下ろす。


「ええ、死体の確認は不要でしょうから。どうせ、肉片も残っていないのですし――」


「ええ! それはあんまりにもツレないじゃないか、子爵殿」


アリキーノの言葉を遮るようにして響いた声。その声、その言葉にアリキーノは思わず落馬しそうなほどの勢いで振り返る。

彼の視線の先――『太極接触・混沌原初(インテリ―トゥム)』で破壊され、抉り穿たれた焦土の中心。そこには、()が立っていた。


「もう少し楽しみたまえよ――具体的には()()()()、さ」

後ほど(2021.5.9)、picrewで作ったシャール・ホーソーンのビジュアルイメージ(NOTデフォルメ)をTwitterの方で投稿しようかな、と。

よろしければ、覗きに来ていただけると幸いです。


最後に毎度のお願いではありますが……

ここまで読んでいただけた皆さま。お気に召されましたら、評価・ブックマーク等お願いいたします(既にしてくださっている方はありがとうございます!)。

また、拙作に対するご意見・ご感想は「感想」「レビュー」等でお送りいただけますと、今後の拙作執筆のうえでの励みや指針となりますのでなにとぞ!


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