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Ep.3-12

「私たちの、何ですって?」


アリアは怪訝そうな顔をしてアリキーノに問う。そんな彼女の問いに、アリキーノは満足な答えを得た教師のようにうんうんと頷きながらにんまりと笑う。


「ええ、ええ。ようやく本題に入れましたな。まあ、簡単に言えば貴女――」


「名前なら、アリアよ。口にするときは敬意をしっかりと払うのね」


「ではレディ・アリア――貴女を人質にとろうかと思いまして」


その瞬間、アリアたちを囲んでいた兵士たちが構えていた剣や槍を同時に彼女たちへと向ける。その瞬間、アリアの表情がわずかに強張る。それでもまだアリアは不敵な笑みを崩さないままでアリキーノを睨みつけた。


「ふうん、そう来るんだ。なるほどね。確かに合理的。もしかして、事前にこの館に私がいるの知ってた?」


「ええ、先ほどお話した女魔術師。館の全体を魔力走査していたようでね――エリオス・カルヴェリウス以外にもう一人、何者かがいるということは彼女のご報告から分かっていましたので。我が王は、その者がエリオス・カルヴェリウスにとって重要な存在であり、人質になり得るとおっしゃっていましたが‥‥‥ちなみにレディ・アリア? 貴女とエリオス・カルヴェリウスの関係をご教示してくださる気はございますか?」


アリキーノは薄ら笑いを頬に浮かべたまま、アリアに問う。アリアはわずかに逡巡するかのように目を細め、館の天井にむけて少し視線を右往左往と走らせる。そして、静かに小さくため息を吐くと皮肉っぽい笑みを浮かべて見せる。


「――そうね、アイツは私のコトを『ご主人様』とか言ってるわね」


「ほう、主人。貴女が! それはそれは――人質として申し分ないですなあ」


そう言ったかと思うと、アリキーノは右手を上げる。その瞬間、二人を包囲している兵士たちの中から二つの人影がすっと抜け出してくる。


「―――ッ!」


「アリアさん!」


素早く抜け出てきた屈強な兵士二人はあっという間にアリアの細くしなやかな白磁の腕をねじり上げ、組み伏せる。無理やり床にひざまずかされたアリアは、その痛みを表情に浮かべる。アメルタートを掴んで彼女に駆け寄ったシャールもまた、背後から飛び出してきた兵士二人組の手で組み伏せられる。


「人質の扱いがずいぶんと手荒いのね、子爵サマ。ま、あんな話をする人だもの、丁重な扱いなんて期待してなかったけど」


「殊勝なことで何よりです――ですがその目は、いただけませんね」


そう言って、アリキーノはちらと兵士の一人に目配せをした。すると、その兵士はつかつかとアリアの目の前に立つ。その途端、ひざまずかされていたアリアは上体を無理やりに起こされる。その直後、兵士は鉄靴(サバトン)で思い切りその腹部を蹴りつけた。


「――ッ‥‥‥く、あ‥‥‥あああ、くぷ‥‥‥っくぁ」


苦悶に表情を歪めるアリア。必死で、込みあがって来るものを抑えようとしている顔だ。苦しそうに呻き喘ぎながら、強く兵士を睨みつける。そんな彼女の顔を、兵士は横から思い切り蹴りつけた。

ちょっとアリアさん虐めすぎましたかね。も少し続きます。苦手な方はごめんなさい。


毎度のお目汚しですが、拙作をお気に召していただけた方は、評価・ブックマーク等よろしくお願いいたします。執筆の上で大変励みになります。

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