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Ep.6-70

申し訳ありません、お昼うっかり投稿をわすれていました

「正体の確認……ですか?」


「そう。ボクは一応、あの人影を見て、その背格好から脅威たりえない存在——原生する魔人の子供とかだろうかと判断はしたけどね。小型の魔物、ということも考えられなくはない。それこそ、偵察のために遣わされているとかね」


エリシアの言葉に、リリスは僅かに表情を険しくする。


「そこまで思い至っているのなら、何故レイチェル卿に伝えなかったのです? そうすれば、彼女だって調査隊なりを貴女につけたでしょうに」


「まあ、そうだろうけどね。でも、もしボクの見立てが間違っていなくて、ただの脅威にもなり得ない魔人の子供だった場合どうする? 君ならどうする、リリス?」


逆に問い返されたリリスは、僅かに表情を歪める。それから僅かに逡巡しつつ、何かを口にしようとしてはすぐにそれを引っ込めるように口を閉じる。そんなことを繰り返して、ようやくリリスは躊躇いがちに口を開く。


「……見逃が、す……とは、思いますわ」


「そう、良かった。シャールは?」


「私も見逃します」


エリシアからこの話を切り出されたときから、シャールの脳裏には数刻前にエリオスからされた話が何度も浮かび上がっていた。

それゆえに、シャールの心は既に決まっていた。あの彼の話を聞いた時点で、彼に覚悟を持てと言われた時点で、彼に啖呵を切った時点で。

そう言い切ったシャールに、エリシアとリリスは僅かに驚いたような表情をみせる。それでもすぐにエリシアは笑みを浮かべて満足げに頷く。


「——うん、君たちならそう言ってくれると思ってた。でも、ただの兵士たちにそんな判断が出来るとは思えない。魔人ならば子供であれ殺してしまえ、なんていう結論になりかねないし、そうならないと確認することもできない」


「つまり、先ほどまでの他愛もない会話は、私たちという人間を見極めるためのテストだったと?」


リリスの言葉に、エリシアは頭を掻ききまり悪そうに苦笑を浮かべる。そんな彼女の抜け目の無さにリリスは思わず呆れたような笑みを浮かべた。


「——十割それ、というわけではないけどね。半分半分くらいだったのさ。うん、申し訳ないとは思っているよ?」


言葉とは裏腹にまるで悪びれた様子のないエリシアに、リリスとシャールは苦笑を漏らす。

そんな二人の反応に、わざとらしく頬を膨らませながらエリシアは話を続ける。


「とはいえ、もしボクの見立てが間違っていて、彼らが斥候なり刺客なりだった場合、流石にボクだけじゃあ不安が残るからね。ボクが見込んだ君たちに、同伴を頼見たいんだけど——どうかな? お答えは」


拗ねたような彼女の言葉に、シャールとリリスは顔を見合わせてから、くすりと笑い合って答える。


「もちろん——行きますよ」

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