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Ep.6-61

説明パートです

「一応断っておくけど、私も暗黒大陸や歴史、魔物の専門家というわけじゃない。今回の戦役の準備のために色々と調べた結果でしかないからあんまり突っ込まれても応えられないからね」


そう予防線を張ったうえで、エリオスはまず、暗黒大陸について話し始める。

そも、暗黒大陸がこんな名前で呼ばれるのは、原初の魔王が支配し、英雄エイデスとの戦いが演じられたからという神話の舞台になったからというわけではない。

原初の魔王が出現した以前からすでに、この大陸は『暗黒大陸』と呼ばれていた。

語源には諸説あるが、最も有力な説はこの大陸が人類にとって、厳然たる未知にして足を踏み入れることすら難しい大地だったからだ、というものだ。

英雄エイデスの時代にしてすでにこの世界においては世界地図というものが、聖教会の指導の下作られていた。山や川、大きな街や村の所在を簡単に示した程度の地図ではあったけれど、それだけでも世界の交易や交通は大きく進歩した。しかし、そんな地図の中で唯一輪郭のみしか描かれておらず、その内部が全て黒一色で塗りつぶされた大地があった。誰も足を踏み入れることはない、もし踏み入れたのならば待つのは確実な死、故にその地理を知るモノ、伝えるモノは誰もいない――そんな人類非可住領域、それが今の『暗黒大陸』である。

すなわち、暗黒大陸の語源は、誰もその内実を知らないが故に、地図上で黒く塗りつぶされた大陸だったから、というのがこの説なのだ。

実際、現在更に世界地図の精度が増している中にあっても未だに暗黒大陸は、黒塗りされている。

では、なぜ暗黒大陸が人類の進出を拒む非可住領域と化しているのか。

それはひとえに、この大陸に満ちる魔力に原因がある。

この世界においては、魔力はありとあらゆるものに宿っている。水にも、土にも、炎にも、草木にも、石にも——生き物が大なり小なり魔力を宿しているように、自然や大地もまた、魔力を宿している。

だが、この暗黒大陸に満ちる魔力は、明らかに他の大陸のものとは違っていた。

この地に満ちる魔力は、魔物との親和性が異様に高いという特徴を持っているのだ。

それ故に、この大陸においては他の大陸にいるものと同種の魔物であっても、その体格や力、保有する魔力量などが大きく異なる。

それ故に、迂闊に冒険家が足を踏み入れれば、他の大陸とは比べ物にならないほどの強力な魔物たちによって殺されてしまうだろう。

しかも、この魔力は人や生き物を『魔』へと近づける力があるとも言われている。今、この行軍においてはユーラリアをはじめとする聖教会の武装神官たちが、結界を張り、浄化の魔術を張り巡らせているために、兵士たちが暗黒大陸の魔力の影響を受けることは無いけれど、もしこの加護が失われたらどうなるかは分からない。

こんな土地だからこそ、エイデスをはじめとする英雄たちがこの地に巣食う魔王を倒しても、誰も定住することはできず、この大陸の開拓自体も進まなかったのだ。

これが、この地が暗黒大陸と呼ばれ、人類から忌避される所以なのだ。

もう少しだけ説明パートが続きます。

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