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Ep.6-54

暗黒大陸の海岸線に陣取っていたサルマンガルドの軍勢がユーラリアの神聖魔術によって一掃され、サルマンガルドもまた撤退すると、魔王討伐のための連合軍たちは直ちに上陸を開始した。

長時間の船旅を終えた兵士たちは、陸地で土を踏む感触を楽しみながら続々と暗黒大陸に降り立ち、船室に積み込んだ荷を下ろしている。この調子で人やモノを積み下ろし終われば、彼らが乗ってきた軍艦たちは沖合で停泊して、作戦の終了を待つこととなる。

一般の兵士たちが荷下ろしの作業をしている間、ユーラリアを中心とした討伐軍の首脳と聖剣使いやリリス、エリオスは仮説のテントの中で軍議を開いていた。

議題は、ここまでの航海の中で発生した魔王軍側の攻撃についての総括。

海上で襲いかかってきたアルカラゴス、そして海岸線で待ち受けていたサルマンガルド。その二者についての被害の報告と今後の対応の話し合いが行われた。

アルカラゴスとの戦いについては、被害としては軍艦二隻が半壊、一つが全壊して沈没したとのことだった。シャールや周囲の艦に乗っていた兵士たちの協力もあって、犠牲者は最小限に押さえられたが、それでも百人余りの兵士たちが物言わぬ遺体となり、五十名近くは遺体やその遺品すら発見されなかった。

エリオスがあれだけアルカラゴスを抑え込み、被害を抑制したというのに——その凄惨な被害状況の報告に、シャールは思わず表情を硬くした。

とはいえ、被害者の多くは船の破損に伴う外傷や海への落下に伴う溺死が死因となっており、直接アルカラゴスの攻撃によって命を落としたものはいないことから、今後のアルカラゴスとの戦いは聖剣使いを基軸として、魔術師を中心として対空攻撃能力のある者たちで対処することとされた。

そして、サルマンガルドについては、彼の操る軍勢の練度について話が及んだ。あれだけの強弓を、兵士たちが皆扱える——あるいはそのようにサルマンガルドが彼らを操れるというのはかなりの脅威だ。

事前の軍議では、死霊術によって操られる不死者の兵士たちは他の魔物よりは戦闘力は低く、数のみが脅威であるという認識だった。

しかし、先の交戦でその認識は見事に覆された。兵士としての能力だけで言えば、彼らは皆全員が一様に一騎当千の兵と言える。今回の交戦においてはあくまで海を挟んでの対峙であったことと、ユーラリアとレイチェルの活躍により人的な被害は出なかったが、各国の将官たちの視点からは、アルカラゴス以上にこちらの方が脅威だった。

サルマンガルドの軍勢との戦いを経て、将官たちの間では当初の作戦を堅持して、一般の兵士たちが彼の軍勢を押さえている間に、ユーラリアたち聖剣使いによる少数精鋭がサルマンガルドを直接叩くという方向性に疑問を呈し、せめてユーラリアは本陣に残り、先ほどのような神聖魔術で不死者の軍勢と対峙してほしいという意見が浮かんでいた。

しかし——


「雑兵たる不死者たちならば、我ら聖教国が連れてきた神聖魔術に秀でた魔術師団で対処可能でしょう。しかし、指揮官たるサルマンガルドを不死者として処理するのなら私でなくては難しいでしょうね」


そんなユーラリアの一声で、当初の作戦の堅持が決定され、軍議は解散した。

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