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Ep.6-20

翌朝、あと数時間後に出陣式を控えた聖教国の大神殿。最高巫司の玉座の間にて、開戦前最後の軍議が行われていた。参加者は、神殿騎士団長として祭儀神託官所属の軍勢を指揮するレイチェル、教義聖典官所属の軍勢を司るザロアスタ。そして、各国兵団の代表者たち、エリシアやシャールたち聖剣使い、そして最高巫司ユーラリアと統制局長ルーアン。エリオスは、そもそも軍議で決められたことになど従うつもりがないからなのか、この場に出席することなくどこかへと行ってしまっていた。尤も、聖教国としてはレブランクを滅ぼした人間を雇い入れたという事実を他国に知られるのはあまり好ましくないので、ユーラリアやレイチェル、統制局長も特にそれを咎めることはしなかった。

尤も、軍議と言ってもすでに聖教会側で作戦は決定されており、あくまでここ数日に聖教国へと到着した者たちへの作戦の説明会というのが目的だったのだが。

国家レベルの重役たちが居並ぶ中に比較的上座に近い席に座らされたシャールの心中はひどく落ち着かなかったけれど、会議自体はつつがなく進んでいた。


「――それでは、暗黒大陸上陸後の作戦行動については各位お手元の資料の通り、上陸後魔王の居城のある暗黒大陸中央平野へと真っすぐに全軍を進めることとなる。出来ることであれば、軍勢をいくつかの隊に分けて進軍したいところだが、魔王軍の兵たちは強力で、彼の地は我らにとっては敵地(アウェイ)。このような条件下で、もし各個撃破などされてはかなわない故このような仕儀となるがご理解いただきたい」


軍議の進行役であるレイチェルは軍議のテーブルの中心におかれた暗黒大陸の地図を乗馬用の鞭で指し示しながら、各国の代表者たち、そしてシャールたちに説明していた。

作戦についての説明が一通り終わると今度は、話が魔王軍側の話へと移る。


「魔王軍の兵力だが、現在暗黒大陸に潜んでいる斥候の報告によれば少なく見積もって訳七万ほど。うち五万ほどが軍隊として編成された戦力、他二万は魔獣の類を使役しているものだ。しかし、向こうには死霊術師(ネクロマンサー)がいるとの報告がある。もう少し多めに見積もっておくのが良いだろう」


「リリス様。死霊術師がいるとどうして兵力を多めに見積もるんですか?」


シャールはふと気になってリリスに耳打ちして問いかける。彼女の問いに、リリスは他の面々の意識がレイチェルの指し示す地図に集まっているのを確認してから、声を潜めてシャールに応える。


「死霊術師は死者の魂や死体を操る魔術師のこと。高位の死霊術師ともなれば、複数の遺体を——それこそ伝説級の術師なら何百人何千人と操れるのです。そうなれば、完全に自身の思うままになる大戦力の出来上がりですわ」


「——うわぁ……それは……」


シャールは口の端をひくひくと引き攣らせながら、リリスの言葉に応える。彼女の脳内には、腐食した死体や亡霊たちが束になって襲いかかってくる光景が浮かんでいて、そのイメージが詳細になるたびに、シャールは全身に怖気が走るのを感じた。

そんな彼女たちに気がつくこともなく、レイチェルは話を続ける。


「これらは基本的には、各兵士たちで二人一組以上の編成で処理していただくことになる訳だが、この先は彼らでは対応できないであろう者たち。魔王軍の最高戦力たちの話をさせていただきます」

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