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Intld.I-v

しれっと投稿時間忘れてました……申し訳ないです

「そうだねぇ——」


口を開きかけたエリオスを、アリアはぎろりと睨みつける。「大丈夫なのか」彼女の目はそう問いかけているように見えた。

エリオスはそんな彼女に心配ないと言わんばかりに微笑んで返す。


「知ったところで別に彼女に何ができると言う話でもないし———」


「なんかあったら責任取らせるから」


そう吐き捨てるとアリアは拗ねたようにそっぽを向いた。そんな彼女の姿にエリオスはくすりと笑って肩を竦めるとシャールの方に向き直る。


「彼女はね、私のご主人様だよ」


「へ———?」


シャールは絶句する。「ご主人様」そんな言葉が、自らを「悪役」と宣うエリオスの口から飛び出てくるなんて言うのは完全にシャールにとっては予想外のことだった。

確かに、彼が誘拐してきたとか、彼の奴隷や使用人の一人とか言うのはしっくりこない。しかし、それ以上にアリアがエリオスの主人というのは——否、そもそもエリオスが誰かに「仕えている」というのは違和感しか感じない——あの悪虐非道で傲岸不遜なエリオスが?

混乱するシャールをにやにや笑いで見つめるエリオスの隣で、アリアが小さく舌打ちする。


「何が『ご主人様』よ。気色悪いわね」


「おや、関係性としては間違ってなくない? 私は先払いで報酬を受け取って、君の願いのために動く———主人と従僕の関係ってそんなもんだろ?」


「カタチの話じゃないわよ」


アリアはそう言って、思い切り肘でエリオスの横腹を突く。それでもアリアの華奢な腕では、彼に対したダメージは与えられないらしく、エリオスは「痛いなぁ」と言いつつからからと笑っていた。

「報酬」だとか「願い」、「カタチ」というのがどう言う意味なのかはシャールには全く分からないが、アリアの言いたいことは分かる。二人の間の関係性は、「主従」なんて固く重いものではない。シャールの知る「仲間」というのも少し違うような気もする。ルカントたちは「仲間」だったのだろうが、この2人の関係性は彼らのものやりもっと気安くて、濃くて、熱い。

恋人とも、友人とも違うような。それはそう、まるで———


「家族みたい」


「は?」


ぽつりとシャールのこぼした言葉に、延々エリオスの脇腹を小突いていたアリアがぴくりと動きを止める。

そしてつかつかとシャールの目の前までやってきて、素早く右手を伸ばして、彼女の頬を押し掴む。


「は、はぁぁ!? 家族って、コイツと私が!? 冗談じゃないわ! 気色悪いわ! その舌引き抜くわよ!?」


「———ふ、ふふぇ?」


「ふふぇじゃないわよこのバカ娘! マジで気持ち悪いからホントにやめなさい!?」


目を剥き、顔を真っ赤にしてアリアは怒鳴り散らす。そんなに的外れなことを自分は言っただろうか?

そんな2人の背後でエリオスは、憮然とした表情を浮かべる。


「おーい、マイフェアレディ? そんなに言われると流石の私も傷つくぞー」


「うっさいわ!」


やはりどこか家族のようだ。シャールはアリアに頬を掴まれながら改めてそう思った。

インタールードはも少し続きます。

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