Ep.5-119
お昼の投稿しようと思ったら、まさかのなろうメンテとは……知らんかった……職場で思わず笑いそうになりました。
「——は、ものは言いようだね」
「だとしても、間違ってはいないはずです。貴方にはこんな人たちに構っている暇などないんでしょう?」
シャールは一歩前に踏み出して、エリオスと教徒たちの間に立ちながらそう言った。
シャールの言葉にエリオスは目を細める。彼女の力強い瞳、言葉。エリオスは小さく唇を噛んだ。
「……ふん、お見通しってわけ?」
「まあ、貴方の反応を見ていれば、大体のことは」
彼女の返答に、エリオスはきまり悪そうに明後日の方角を向きながら、深くため息を吐きた。
「……良いだろう。この場所と、彼らのことは君に任せる。実際私には時間が無いしね」
そう言うとエリオスは腕を下ろす。それと同時に彼の頭上に形成されていた黒い球体は夜の闇に掻き消えていった。
それからエリオスは聖剣を身構え、向かってくる教徒たちと対峙する。その剣が若草色に輝くのを見ながら、エリオスは苦笑混じりに口を開く。
「——君にこう言うことを言うのは悪役としてひどく気分が悪いが……ここは任せた、頼んだよ」
「私もこんなことを貴方に言うのは悪寒が走るけど……どうぞ、ここは私に任せて先へ行ってください!」
皮肉混じりに様式美な科白を吐き捨てながら、エリオスとシャールは視線を合わせて、そして別れる。エリオスは、喰らった男の記憶と、そして自分自身の古い記憶を頼りに「あの場所」へと駆ける。
そんな彼を見送りながら、シャールは聖剣を地面に突き立てて、真っ直ぐに教徒たちを見つめる。
「この私、ディーテ村のシャール・ホーソーンが貴方たちの相手です。どうぞ痛い目に遭いたい方からかかってきて下さい」
冷たくそう言い放ったシャールに、教徒たちが一斉に動く。シャールを取り囲むようにしながら円陣を展開して、じりじりとにじり寄ってくる。袋の鼠とでも言いたげな笑みが浮かんでいる。
でも、それをいうのなら彼らこそ、この場所で戦いを挑んだ時点でまさしく袋の鼠なのだ。
「アメルタート、『萌芽』の理の銘の下に貴方の権能を——!」
彼女がそう叫んだ瞬間、教徒たちの足元が大きくひび割れ、うねる木の根が隆起して暴れ出す。
「な、なんだこれは——!?」
「き、木が……ぐぁ!?」
「ひぃぃ!?」
それはしなる鞭のように、あるいは鋭い槍のように、果ては獲物を絞めあげて飲み込む蛇のように、荒れ狂いながら教徒たちを弄んでいく。
狂乱の只中へと落ちていく教徒たちを見ながら、シャールは冷たい表情で告げる。
「私、あの人のことは好きじゃない……もっと言えば嫌いです。大嫌いで許せない人です。でも、あの人にあんな顔をさせるほど、あの人の大切な人にひどいことをした貴方たちもやっぱり許せない」
シャールに近づくこともままならない中、教徒の一人が方向を転換して駆け出す。その先はエリオスが向かった方向。
それを一瞥して認識するとシャールは手を大きく横に払う。
その瞬間、駆ける教徒の背後から鋭く硬い木の根が地面から飛び出して、その脛を貫いた。
「ぐぁぁぁ!?」
勢いを殺すこともできず、ゴロゴロと転がりながら血の吹き出す傷口を押さえて、彼はのたうち回る。そんな教徒の姿を横目にシャールは告げる。
「言ったはずです。貴方たちの相手は私——彼ではない。あの人の邪魔はさせない。それが私なりの彼への誠意です」
一応このパートは本日のお昼分の投稿ですので、後ほど夜の投稿もさせていただきます。




