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Ep.5-26

「炎のような……ボク、が……?」


きょとんとした表情を浮かべるエリシア。そんな彼女の表情を見て、シャールは不意に我に返り、自分が口にした言葉が今更になって恥ずかしく感じられる。顔の内側に炎を飼っているかのように、シャールの顔はみるみるうちに赤くなる。


「あ……すいません……調子に乗りましたごめんなさい……今の忘れてくださいぃ……」


「く、ふふ……あはははは!」


顔を赤らめ、手でそれを隠そうとする彼女を見て、エリシアはいつものように快活に笑って見せる。そんな彼女を、シャールはどこか嬉しそうに、それでいてちょっとだけ恨めしそうに、頬を膨らませながら見つめた。


「あ、あんまり笑わないでください! え、エリシア様は意地悪です!」


「いやあごめんごめん……でも、くく……だって、君が急に恥ずかしがったりするんだもの……ふふ、あはは」


リンゴのように真っ赤な頬を膨らませるシャールを見ながら、エリシアは目の端に浮かんだ涙をぬぐう。そして、目を細め微笑みながらシャールの髪を撫でる。


「――改めて、ひどく愚かで未熟なボクだけれど……君の側で務めを果たしてもいいかな。君の師匠役をこの先もさせてもらってもいいかな?」


穏やかで、それでいてどこか不安そうな声。表情は微笑んでいるけれど、シャールの髪を撫でる手はどこか震えている。シャールはそんな彼女の手を取って、彼女の瞳の中心を真っすぐに見つめて告げる。


「もちろんです! 改めてよろしくお願いします、エリシア様!」


そんな彼女の答えに、エリシアはふわりと笑った。とても嬉しそうな、花が爛漫に咲き誇るような、焔が揺れるような笑みだった。


「ありがとう――ところで、さ。いい加減、そのエリシア様っていう呼び方やめない? ボク、様付けされるようなご立派な身分じゃないし。何よりボク、まだ18だからね、シャールちゃんとそんなに歳変わらないでしょ?」


「え。あ、えと……そう、なんですね。それじゃあ、なんて?」


「いいよ? エリシアって呼び捨ててくれて。それともエリーって呼んでくれたりする?」


くすくすと笑いながらエリシアは目を細める。そんな彼女の申し出に、シャールはぶんぶんと首を横に振りながら、愛称呼びを固辞する。エリシアは半分残念そうな顔をしながらも、期待に満ちた視線をシャールに向けた。

ああ、そんなきらきらとした瞳を向けられたら抗えない。シャールはそう観念したように肩をすくめて、小さくため息を吐く。そして、照れくさそうにはにかみながら口を開く。


「え、えり……エリシア」


「――! 何だい、シャールちゃん」


シャールが自分の名前を呼んだことに、エリシアは感激したように喜びを顔全体に浮かべながら、問い返す。そんなエリシアの臆面もない態度に、シャールは真っ赤になった顔を伏せる。


「こ、今後ともよろしく……お願いします……エリシア」


「ああ、もちろんさシャールちゃん! 大船とはいかない、泥船にすぎないボクだけれど、きっと君を先へと連れて行ってみせるとも!」


エリシアはシャールの手を取ると、そう言って笑った。

ちょっとした試みに、拙作のあらすじを変えてみたいと思います(2021.8.20より)。

だいぶ前に書いたあらすじなので、今見返すと色々稚拙だったり、ズレてるようなところがあるので。

ここまでお読みの読者様方は、今更あらすじなど読み返すことはないでしょうし、影響はないと思いますがご報告までに。

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