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Intld.Ⅲ-i

虹のような色とりどりの花々が咲き乱れる庭園。涼やかな風の吹く庭園の一角にある東家には3つの人影があった。

一人は聖騎士、レイチェル・レオンハルト。流れるような白金髪を靡かせた彼女は、普段と違い今日は鎧ではなく、装飾の少ないシンプルな青いドレスを身にまとっている。しかし、その傍らには聖剣シャスールが置かれている。

もう一人は、同じく聖騎士のストラ・ザロアスタ。彼もまた今日は鎧を脱いで、黒い僧衣と神殿仕えの神学者の証である青い大帯(オラリ)を身につけている。

そしてもう一人——


「レイチェル、そして騎士ザロアスタ。この度はお疲れ様でしたね。二人とも無事に戻って来られたこと、嬉しく思いますよ」


東屋の奥でそう言ってにっこりと微笑む少女。

透き通るような白い髪、滑らかな白磁の肌、そして全身を包む滑らかな純白のシルクドレス。「穢れなき乙女」を全身で体現するような少女の姿に、レイチェルは思わずため息を漏らす。


「——勿体なきお言葉です、最高巫司猊下」


そう言いながら頭を垂れて床に傅くレイチェルをアヴェスト聖教国最高巫司、ユーラリア・ピュセル・ド・オルレーズは「あらあら」と声を漏らす。


「強行軍で疲れたでしょう? そんなに動いちゃだめよ。元レブランク王国、ベルカ公国。そして大陸北部の魔王軍侵攻への対応。休むことなく大陸を、正しく縦横無尽してきたのだから——本来なら、私が貴女の部屋に赴いてお話を聞くべきなのだけど」


憂いを帯びた瞳を向けられたレイチェルは、顔を上げその表情を一瞬緩ませたが、すぐにかぶりを振って頭を垂れる。


「御身は聖教会においては神にも等しき存在。一介の騎士の部屋にわざわざ御足労いただくなど、その権威を穢すことにもつながりかねません」


「細かいわねぇ。でも許します、その心配は私に向けられているものですから」


そう言ってにこやかに笑いながら、ユーラリアは続けてザロアスタの方へと視線を向ける。


「ザロアスタ卿も、ご苦労様でした。お身体の方は大丈夫かしら?」


ユーラリアの問いかけに、ザロアスタもその場で膝を折って傅く。そしてニカっと笑いながら答える。


「問題はありませんぞ、猊下。我輩の体力は既に万全! 今朝も調子づけに辺境の森で人食いの熊を2匹ほど狩ってきたところにて、何ら問題はありませんでしたな! ハハハハ!」


「あ、そうですか……化け物じみた体力は歳をとっても変わりませんね」


ユーラリアが僅かに引き気味に皮肉混じりにそう言うと、ザロアスタはその目を爛々と狂喜に輝かせる。


「おお! お褒めに預かり恐悦至極! このザロアスタ、さらに精進致しましょうぞォォ!」


「えぇ……その歳でまだ上があるんですか貴方……」


「信仰に歳による限界など無ァァいのですッ!」


ザロアスタの咆哮が、庭園に響き渡った。

今回のインタールードは10パートくらいで終わるんじゃ無いかと思っております……多分

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