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大罪踏破のピカレスク~人間に絶望したので、女神から授かった能力で誰よりも悪役らしく生きていきます  作者: 鎖比羅千里
Episode.1 The fate of people who Enter into the palace of Villain...
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Ep.1-9

絶叫が響く、悲鳴が響く。


青白い炎の揺れる広間に、割れんばかりの悲鳴が2つ。

一つは魔術師・リリスのもの。半身だけ残された、勇者の成れ果ての足元に縋るように、涙を流しながら目の前の現実を受け入れられないと言った表情、取り乱したように叫びながらその場に座り込んでいる。

もう一つの悲鳴は、ミリア。愕然とした表情でその場に立ち尽くし、ただ茫然と幼馴染であった王子の無残な姿を見つめている。リリスと違い一度きりの悲鳴ですべてを出し尽くしてしまったかのように、抜け殻のような有様。


「いや、いや、いやあああッ!! ルカント様、ルカント様ルカント様ルカント様‥‥‥どうして、どうして、どうしてぇぇえ!!?」


「――どうして、と言われてもなぁ。殴れば殴り返される、殺しにかかれば殺し返される――自然の摂理、あるいは正当防衛というやつではないかな?」


泣き叫び、狂乱するリリスに、エリオスは淡々と告げる。その表情は目前の邪魔な石を端に寄せただけとでも言わんばかりに、死に接した不快感も殺戮と悪逆の愉悦すらもない、凪の表情。

唯一見せた表情はリリスの泣き声に対して煩わし気に眉の端を動かしただけだった。エリオスは精神的支柱を失った一行を嬲るかのように言葉を続ける。


「――それとも自分たちだけは絶対的に狩る側であるとでも思っていたか? 勇者の御一行?」


「許さねえ」


低い声が響いた。

口の端を小さく吊り上げて嗤うエリオスを、アグナッツォは睨みつける。荒れる呼吸、食いしばった歯、青筋だったこめかみ。その全てが、今の彼の言葉が本心からのものであることを指し示していた。

シャールはそんな彼に驚きを隠せない。いつも、人を食ったように、本当の感情を表に見せることのなかったアグナッツォのこれまでの姿からは想像もできない表情だった。


「ゆる、さない‥‥‥許さない、許さない許さないッ!!」


「‥‥‥ルカント様の‥‥‥仇‥‥‥ッ!」


アグナッツォの言葉に突き動かされたようにリリスもミリアも正体を取り戻し、憎悪と赫怒をその瞳にたぎらせながら武器に手を伸ばす。リリスは杖を、ミリアは槍を―――握る拳に力を込めてその矛先をエリオスに向ける。武器を持たないシャールはせめて彼らの邪魔にならないよう、広間の端へと退避して見守る。


「――おや、お怒りかい? 悪いことをしたつもりはないんだが、まあそれも悪役らしくていいか‥‥‥それで、どうするんだい君たちは」


くつくつと笑いながら問いかけるエリオス。それを睨みつけながら、武器を構えて三人は声をそろえて叫ぶ。


「――殺すッ!!」


短い言葉――しかし、様々な思いが混じりあって複雑な色彩を持った言葉。その響きが鼓膜を揺らした瞬間、エリオスは小さく目を閉じて笑う。彼らの心を舐りつくすように。


「いいね――では、殺して見せなよ御三人方。私も、殺し返してやるさ」

とりあえずストックが尽きるまで(今月いっぱいくらい?)は1日3話投稿を続けようかなと……


それ以降? まあ反応を見て……笑

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