03 因縁の決着
シャルちゃんのお話を聞いた後、私達はあらためて協力を誓ったのだ!
さーて、とっても良い子なシャルちゃんのために、がんばるぞーう。
そういうわけで、ルーチェ君と連絡をとりながら、スピナスの調査を続行。
連中をふんじばるどー!
ぱぱっと時間経過、さてさて夜になりましたとさ!
宿をとった私達は、食堂で遅めの夜ご飯をかき込んでるぜい!
あむあむまう。
うまうまうま。
ウォルド様「確か、スピナスのお偉いさんがレゾナンスに来るんだっけな」
そんなのルーチェ君良く調べたよね。
でも、そのおかげで私達ちょっと楽。
私「ですです! なんかやばい計画を実行に移す日ですね。その日にお偉いさんも、アズリーレもまとめてやっつけちゃいましょー」
ウォルド様「あんたが言うと、簡単そうに聞こえるな」
物事なんて結局はシンプルなんですよ、ウォルド様。
好きな人、助ける。
嫌な奴、やっつける。
ね?
かんたんかんたん。
ウォルド様「あんたのそういうところは長所だと思うけど、世の中の人間の皆がそう考えられたら苦労しない」
それもそうですね。
しゅんしゅん、テンションさげさげ。
みんなそれぞれ叶えたい願いがある。
皆が皆、逞しく強くーーはなれないですもんね。
強い人がいれば弱い人もいますもん。
私「安心して下しさい! もしスピナス打倒で恨まれてしまっても、私は永遠にウォルド様の味方ですのでっ!」
ウォルド様「じゃあ、俺はあんたの味方で」
ん?
もしかしてウォルド様、私のメンタル心配してくれた?
人に恨まれちゃうかもしれない私のメンタルを?
やっだー、ちょっと照れるうー。
なんて、やってる場合じゃないや。
言うべきことを言わなくちゃね。
おっほん。
私「私は大丈夫ですよ、ウォルド様、好きな人が傍にいるだけで、どんな問題だってどんなもんだいですから! あ、今のギャグっぽいですけど、ギャグじゃないですからね!」
ウォルド様「へいへい」
ウォルド様のメンタル、少しは強くなったかな。
本編でも平然そうにしつつも、内面ではメンタルちょっとしゅんしゅんしてたし。
数日後。
スピナスが動く兆候あり、とルーチェ君からお知らせがきたので、さっそく行動!
事前にあたりをつけていたスピナスの元へレッツでゴー。
あ、もちろん私戦えないので、応援系するしかないけど。
とりあえず、てくてく移動した私達はルーチェ君と合流。
スピナスの拠点にしてある場所の地図を受け取ったんでい!
ふーむふむふむ。
地下とはこれまた、悪い事する連中の考えそうな場所だこと。
そんなに人目につく場所が怖いんかねーえ。
人目についてたら、すぐお縄についちゃうだろうし。
まっ、堂々としてる悪党なんて、ラスボスくらいか。
あの悪魔は、堂々としすぎだったけど。
ルーチェ君「そういうわけだから、この拠点に少人数で乗り込む事にした。連中が事を起こす前に、少数精鋭でケリをつけるつもりだ」
私「はいはい! しっつもん!」
そこで私が元気に挙手!
ルーチェ君は面倒そうにこっちを見る。
ちょっとショック!
でもそれ以上は気にしない!
私「シャルちゃんはどうするの? 声かけなくていいの? シャルちゃんってレゾナンスの町を守ってるんでしょ? 仲間外れ良くない!」
ルーチェ君「ーーあいつは」
ルーチェ君はだんまり、静まり、困り中。
うーん、かたくなだ。
あんまり込み入った事を無理に聞くつもりはないけど、後でシャルちゃんが知ったら怒るんじゃないかなあ?
少なくとも私が同じ立場だったら、恨んで、ルーチェ君の髪の毛むしり取っちゃうよ?
ルーチェ君「あいつは本来なら体が弱いんだ。おそらくスピナスに願いをかなえてもらったんだろう、それと知らずに。今回の戦いで願いがどうなるか分からない。戦いの最中に願いの効力が切れるなんてことになったらーー」
スピナスが叶えてる願いって、どうなってるのか分かってないんだよね。
効果持続中なのか、叶えたら永久にそのままの状態、なのか分からない。
だから警戒してるって感じなのかな。
ふむふむ。
あ、ちょっと頭使った。
私かしこい?
ルーチェ君「だから、あいつを危ない目に合わせたくないんだ」
ウォルド様「後で頬を叩かれるのもこみで覚悟してるってんなら、俺達がどうこう言う資格はねぇよ」
私も色々思うところはあるけどもっ。
ルーチェ君がしっかり考えた末で、そう行動してるなら文句ないでやんすよ?
ルーチェ君「すまない。本当に」
ウォルド様「気にすんな。天使討伐の時も力を借りた仲だしな」
で、ちょびっとシリアスな話し合いをした後の移動。
少数精鋭の皆さん、プラスルーチェ君とともに、地下通路を歩いてくよ!
うええ、変なにおいするー。
でも、がまんがまん。
大勢の人の安全が私達の肩にかかってるんだもんね!
なんていってる間に到着。
雑にボロ布でカモフラージュされた、小さな目立たない横道に入って、少し歩いていくと、人の話し声が聞こえてきた。
おおっ、もうすぐイベントボス戦ってかんじ。
男性「そうか。準備はもうじき終わりそうか」
女性「使徒様もご到着されるご様子。こちらで合流してから地上にでる予定です」
まだ重要人物は来る前っぽい?
じゃ、今の内にちゃちゃっとやっちゃう?
ルーチェ君は、みんなとアイコンタクト。
数秒して気配を消した皆がばっと前に飛び出してった。
おおっ、プロっぽい。
それぞれ信徒らしき人達を無力化していくけど、何人か護衛の荒れくれ者がいたみたい。
その人たちと戦ってる。
で、私のウォルド様はっと。
あ、アズリーレと戦ってる。
アズリーレ「しつけーな、てめぇは。俺の邪魔をすんじゃねぇよ」
ウォルド様「それはこっちのセリフだ。お前の好きなようにはやらせるか」
見事な感じにやりあってる。
さすがウォルド様、戦ってる姿もかっくいー。
まったく見てて飽きる気がしない動く絵画って感じ。
私は邪魔にならない場所で、眺めてよっと。
だいじょび、何かあったら肉壁になるんで。
ウォルド様「大人しく武器を置いちゃくれねぇか」
アズリーレ「たりめーだろ。ふざけてんのか」
ウォルド様「ふざけてこんな事するわけないだろ」
アズリーレ「はっ、てめぇも丸くなったもんだな。人とつるんで、こんなお節介焼くとは」
ウォルド様たちは会話しながら戦うという高度なあれをやってる。
あれってゲームでみてる分にはかっこいいけど、実際にやると大変そうなんだよね。
思考、こんがらがったりしないのかな。
ウォルド様、がんば!
なんて言ってるうちに、ウォルド様がアズリーレの武器を蹴っ飛ばした。
おっと、推しのケリがさく裂!
アズリーレが追い詰められた!
アズリーレ「ちっ、ここまでか」
アズリーレは、負けを認めたらしい。
潔いあんちゃんは嫌いじゃないけど、でもたぶんそれだけじゃない。
ゲームで見たアズリーレは、負けて素直に現実を認めるような人間じゃなかったからだ。
私「ウォルド様! 気を付けて!」
アズリーレ「願いが叶わねぇってんなら、生きてる意味がねぇんだよ」
アズリーレは、拠点の床を蹴り上げる!
おっとお前さんもケリ技使うんかい!
二番煎じは目立たないよ!
なんて言ってる場合じゃなかった。
床の石畳がめくれて、その裏からこんにちはしたのは爆薬だあああ。
あ、これやば。
私「ウォルド様! ルーチェ君!」
今度ばかりは死ぬかも。
なんて思った私は、せめてウォルド様だけでも助けるために、前に飛び出そうとしたけど、シャルちゃんがやってきた。
おん。
ナイスタイミング。
ファンクラブシステムのメッセージが間に合ったみたい。
シャルちゃんは、特殊な盾を展開して、アズリーレの前に飛び出た。
シャルちゃん「皆さん、私の近くに! もう守られるだけじゃない。今度は私が守りますわ!」
そして、ものすっごい爆発がして、なんだか耳やら目やら頭の中がしっちゃかめっちゃかに。
でも、生きてる!
ぐわんぐわんする頭が落ち着いた後、あたりは阿鼻叫喚になってた。
けが人多数って感じだけど、私達は全員無事。
よかったー。
シャルちゃん「全員無事のようですわね。ありがとうございますわ。五葉さん」
ウォルド様はルーチェ君の肩を持つ事だけを決めたみたいだけど、私はちょっと違う。
私はルーチェ君の意志を尊重するけど、シャルちゃんの味方でもあるからね。
その後、倒れていたスピナスのメンバー達は回収、一応息があった者達もいたんで、治療をほどこしてあげた。
あとは、スピナスの拠点にやってきたお偉いさんもとっつかまえたとさ。
アズリーレはうん、消滅していた。
あの爆弾、爆心地でどんな爆発起こしたんだろうね。
跡形もなくなってたよ。
びっくりだわさ。
近くにいたウォルド様が道連れにならなくて、本当によかった。
これがもっと他の人だったら、思うところがあったりするんだろうけど、私は私でしかないからねーえ。
申し訳ないけど、ウォルド様が生きてくれてるんならそれで万事おっけーですわい。
レゾナンスで起きるはずだった惨劇は、不発ですんだけど、願いの行方についての詳しい取り調べはこれからみたい。
シャルちゃんのこと、良い方に行くといいな。
あっ、ちなみにウォルド様やルーチェ君にくっついていった私も一応お仕事お役目あったのですのよ?
ゲームでレゾナンスの情報はちょこちょこっと触れてたから、マップの変化をしてきしたり、ちょっとした地殻変動で駄目になってる区画を迂回したりしたときにねー。
1週間後
レゾナンスを離れた私達は、ミュセさんが働いている協会にお邪魔虫!
ミュセさんに最近の事をお話したでやんす。
ミュセさん「そんなことがあったんですね。五葉さんが無事で本当に良かったです」
私「心配してくれてありがとう! ミュセさん!」
ミュセさんは変わらないオーラで、実家の様な安心感がありますなー。
でも今回の事でわかったけど、ラスボスたおして全部終わりっていうわけにはいかないねっ。
影響ってもんがあるみたい。
天使なんて大仰なもんを討伐しちまったばかりに。
なんにも知らんぷりっていうのも悪くないけど、そこまでは切り捨てられないからなー。たぶん私もウォルド様も。
きっと、これからもこういう事が起きるんだろう。
そんな時に、ウォルド様を守れるようにしなくっちゃ。
今までの私も楽してたわけじゃないけど、これまで以上に推しに力になれるように頑張らなくちゃいけないな。




