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02 レゾナンスとシャル



 どうも、こんにちはーー!!


 まいどおなじみの私!


 私ですよ!


 はいはい私! 私です!


 なんて冷静になって振り返ると、オレオレ詐欺の私バージョンみたいな事、やってますね。


 とりあえずこんちわっす、五葉でっす。


 現在は、天使討伐後、つまりエンディング後の日常ですね。


 私はウォルド様と共に世界各地を旅している最中です。


 ウォルド様はエルフの友人やら、知り合いやらを故郷に送り届けた後、どうするか悩んでいたみたいですけど、旅も悪くないなという意見で落ち着きました。


 それで、今は興味のある各地を巡っている最中です。


 とーうぜんウォルド様ラブな私もついていきますよっと。


 困難を終えた先には、これからは推しと楽しい旅ライフが待っている!


 と思ってたんだけど。


 ところがどっこい、どっこいしょ!


 そんな心ときめく旅の中で、きな臭い話がとびこんできたとこですねっ←いまここ。


 それは天使がいなくなった後、急速に拡大した組織スピナス。


 そのまま放っておくとなんかやっかいになりそうな匂いプンプンなんだよねー。









 闘技都市レゾナンス


 私は闘技都市にきていますーん。


 レゾナンスはこう、肉体派な方たちばっかりの都市。


 腕試しとは修行好きにはちょうど良いかもしれないけど、乙女である私にはちょっと退屈かなーっと。


 もちろん強いウォルド様を見れるんだったら、大歓迎ですけどもっ。


 うっひょい!


 ほとばしるパッション、飛び散る汗。


 輝く星の如く、駆け回って舞う推しの雄姿。


 想像だけで、ご飯のおかわり何倍もいけるう!


ウォルド様「お前、そういうとこ全然かわんないのな」


 なんて考えていたらいつも通りウォルド様に引かれちゃってた。


 おっと失礼。


シャルちゃん「ルーチェったら! もうっ、どこにったのよ!」


 おんやあ?

 今夜の宿をとるために探していたら、聞き覚えのある名前が聞こえてきたよーう?


 こっ、これは?


シャルちゃん「まったくもうっ、せっかく久しぶりに会えたのに。ろくに話もしないでスピナスとかいうのを探しに行っちゃうんだから」


 ルーチェ君の幼馴染の女の子。


 シャルロッテちゃんじゃありませんか!


 あの第二の攻略対象の幼馴染で、病弱設定のっ!


 ルーチェ君は、このシャルロッテちゃんの治療費を稼ぐために、お堅くて堅実な職業についたんだよねー。


 だから、出歩けるような状態のはずはないんだけど。


 はて、どうしてだろう?


 首を傾げながら見つけていると、シャルロッテちゃん、愛称シャルちゃんはルーチェ君を探してドタバタ走り待ってる。


ウォルド様「あいつの知り合いみたいだな」

私「どうします? 声かけます?」


 私達この間ルーチェ君と会いましたし。

 でも、今のルーチェ君の行方は知らないんですけどね。


ウォルド様「前ならともかく、今は別に避ける理由ないしな」


 ウォルド様は声かける派に一票!

 なら私めも右にならえ、ではなく推しにならえの精神でそちらに一票!


 賛成多数で、声かける派の祝当選!


 おめでとさん!


 そういうわけなのでっ。


 私達は、シャルちゃんにお声がけする事になったのでした!





 かくかくしかじか。


 双方の事情をかいつまんで自己紹介&事情説明タイム終了。


 ルーチェ君とおっかけっこしたところは『ウォルド様のご意向により』省いて、天使討伐のところを説明。

 

 シャルちゃんはルーチェ君との関係と、その当人を探している事情を話してくれましたとさ。


ウォルド様「死人が生きかえる? そりゃまた眉唾ものの話だな」

シャルちゃん「信じられないのも無理はありませんわ。ですけど、スピナスがこのレゾナンスで計画しているみたいなんですの」


 シャルちゃんはその対策をしたくてルーチェ君を探していたみたい。

 ルーチェ君強いもんね!


シャルちゃん「組織を動かせるルーチェがいてくれたらと思うんですけども。やっぱり、こんな話をされても迷惑ですわよね」


 そんな事ない!

 迷惑なんてかけてなんぼ。

 人は人によりかかって、生きてるもんだい!


私「私は信じる! シャルちゃん嘘つかない! はいはい、じゃあウォルド様! ルーチェ君を探しましょう!」


 私はシャルちゃんのかーわゆい、おててをがしっと握って、安心させるためににっこり。


 おん? 思ったよりおてて、がっしりしてますねー。

 なんかウォルド様の尊いおて様とちょっと似てるような?


シャルちゃん「ありがとうございますわ。五葉様」


 シャルちゃんがお礼を言ったら、ウォルド様も私にならえ的に賛成意見を言ってくれちゃう。


ウォルド様「ま、知らねー仲じゃねーし、乗りかかった船だからな」


 う、ひょーい。

 さっすがウォルド様、孤高を気取りつつも、気取り切れない優しさがこんな場面でにじみ出ちゃう。


 イケメンがでちゃう。





 そういうわけで私達は、レゾナンスをあっちゃこっちゃ走り回る事に!


 ルーチェくーん。


 おーうい。


 ルーチェ君やーい。


 なんてうろうろしていたら、思わぬ顔ぶれと遭遇!


 うえっ。


 見たくない顔。


 私は一緒に行動していたウォルド様の脇をつんつん。


 ちょっと静かめなボイスでお話しますん。


私「ウォルド様、ウォルド様、あれ」

ウォルド様「どうした? なんかテンション低いな……って、あいつは」


 私達の視線の先にいたのは、アズリーレ。


 あのおっさん、この間も出くわしたばかりなのに。


 ちょっと、遭遇頻度高くない?


 アズリーレと会うくらいなら、ミュセさんとか、ウォルド様のご友人様に会いたいのにね。


ウォルド様「この間も、スピナスと一緒にいたよな。一体何を企んでるんだか」

私「たぶんこの都市で犯行計画中の死者復活と関係あるんじゃないですかね?」


 アズリーレは大切な人を亡くしているから、その人物を生き返らせたいと考えていてもおかしくはない。

 性格的に人間全体が屑って感じだけど、そういう所は理解できなくはない。


 けれど、あいつはウォルド様の敵だ。


 ウォルド様に余計なことをふきこむ枠だった奴だ。


 だから私的には、評価点マイナス100点。


 分ける慈愛などないでやんしょ。


 おっ、視線の先でアズリーレが裏路地に入っていく。


 うーん。なんかものすごい不穏。


私「どうしますん?」

ウォルド様「あいつも放ってはおけないだろ。つけるしかない」


 そういう事になりましたとさ。

 





 アズリーレを追いかけて路地の奥深くにいくと、ルーチェ君の姿が。


ルーチェ君「なんだ、お前達もこの件を調査していたのか」

ウォルド様「調査っつーか。お前の幼馴染に頼まれてな」


 ウォルド様ってば、だいぶはしょった説明をしてる。

 まあ、この状況じゃ、クビつっこまずにはいられないから、どう転んでもスピナスやアズリーレの調査はしなくちゃいけんですし?


ルーチェ「シャルか。あんまりあいつをこの件には関わらせたくはなかったんだが」


 シャルちゃんは今、このレゾナンスの警備兵みたいなことをしてるみたい。

 

 でも、荒れくれものの仲裁って大変そうだけど、大丈夫なのかな。


 シャルちゃんって、病弱だったんじゃ?


私「あ、ルーチェ君。ウォルド様、向こうぴかって光ってます。たぶんなんか起きてますよ」

ルーチェ君「話は後だな。ついてこい」


 色々言いたい事ありそうだったけど、状況が状況だしねっ。


 しゃーないっすわ。





 さらに奥へ進んで。

 私達は物陰からひょっこり顔をちょい出し。


 すると、袋小路の壁の前で数人がたむろしてた。


 なんか白い服をきたあやしそうな男女と、そしてアズリーレ。


 で、アズリーレが渋い顔してる。


 私、難しい話分からないんだよねー。


 でも、やばそうな話してるっていうのだけは、空気で分かる。


 空気読めないってよく言われるけどっ。


アズリーレ「お前らの奇跡に頼れば、本当に死んだ人間でも生き返るんだろうな」

男性「当り前だ。天使様の力を使えば、それくらいたやすい」


 むむっ?

 天使ですと?


 それはウォルド様が倒したはずじゃあ?


女性「倒された天使の力をとある特別な道具に封じ込めた。だが、いますぐにお前に願いを叶えさせるわけにはいかないな。


 ほーん、ほーん。


 天使のなんか残った力とかが悪用されちゃったパターン?


 続編としてはお約束ですな。


 というか、あのゲームってどうなったんだろう。


 私が異世界に来ちゃった後、続編とかが作られちゃったり?


 うーん。


 考えても分からないことは、放置しておくしかないね。


 あれこれ考えていたらアズリーレがいきなり背後を向いた。


アズリーレ「盗み聞きされてやがる」


 げっ、気づかれた!


 ウォルド様。

 どうしちゃう?

 ゴーしちゃう?

 

ウォルド様「引くぞ、相手の規模が分かんねぇんだ」

ルーチェ君「そうだな。無暗に突っ込んでいっていい相手じゃない」


 なるほど、なるへそ。

 わっかりました。


 じゃあ、退散でっ!






 路地裏からすたこらさっさー、した後。


 私達はシャルちゃんとごーりゅう。


 でも、ルーチェ君は気まずいのか、シャルちゃんとあんまりお話したくないようで。


 部下と話し合う必要がある。


 なんて言って、気難し気な顔してどっかいっちまったよい!


シャルちゃん「そうですの。危険な目に遭わせてしまって申し訳ありませんわ」

私「いえいーえ。好きでやって事ですからー。ご近所さんの飴くれるおばちゃんのように」

ウォルド様「気にすんな。俺達だって、スピナスには因縁があるんだ。頼みを引き受けた時点で、こうなることはある程度想像していた」


 シャルちゃんは、なぜかもじもじ。


 うーん、と数秒悩んでから私達にとある事を打ち明けてきた。


シャルちゃん「実は私、スピナスの正体を知らないうちに、彼らに願い事を言ってしまいましたの」


 ほうほう。

 ちょっと驚き。

 でも、知らなかったんならしょうがないし、何か困ってたらすがりたくなるもんだよね、そういうの。


 私だってあっちの世界で、そういうのに数秒くらい気がもっていかれる事たまにあったしね!

 結局は入会しなかったけどもっ。


シャルちゃん「私、少し前までば病気でベッドの上から動けないような体でしたのよ。ルーチェはそんな私のために高額な治療費をたてかえてくれていましたけれど、そんな自分が嫌で仕方なくて……」


 わかる。

 全部とは言えないけど、不甲斐ない自分に苛立つ気持ち。

 すっごくわかるよ。

 私も、ウォルド様みたいに戦いの力があればなーって思う事あるし!


シャルちゃん「でも、スピナスを頼った事は間違いでしたわ。私は今回の件で罪滅ぼしをするつもりですの。このレゾナンスを守り切って、スピナスを捕まえて、願いを元に戻してもらうつもりですわ」

ウォルド様「あんたはそれで良いのか?」

シャルちゃん「もともと、なかったものが期間限定で手に入っただけですもの。仕方ないと思っていますわ」


 シャルちゃんっ。

 あなたってば、なんていい子なの。


 うおおおおおおん。


 私にできる事があったらよかったけど、どんなに考えても何にも! だった。


 ううっ、思いつかないんだよね。

 こうなったら、せめてシャルちゃんのお手伝いをするくらいしか、できないのかな。



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