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第7話 推しの神姿!? ありがてぇありがてぇ



 そんなこんなな経緯で、どうやら私達は幻影の世界にとりこまれてしまったらしい。


 なんでこんな不思議ビックリ現象が起きるのかって?


 うん、分からん。


 ストーリーとかはしっかり楽しんでプレイしてたけど、専門用語とか世界設定はざっくり理解したままだったからね。


 細かい事気にしすぎるの良くない!


 えっ?

 勉強の成績?

 赤点ですよ。


 それがどうしましたーぁ?


ウォルド様「意識飛ばしてねぇで戻ってこい」

私「はっ。失礼」


 はい、敵にしてやられました。

 それで、幻の世界にとりこまれてまっす。


 目の前には学園の風景。

 しかも私の知ってる光景だ。

 まさかの学園!?


 幻惑の魔法ですね。


 魔法とか不思議な現象を起こせる人は少ないんですけど、この世界にはたまにそういう人がいるみたいです。


 私達がかけられた幻惑の魔法。基本は魔法をかけた人の思念が影響するらしいけど、対象の思念が強すぎるとそれに引きずられてしまうらしい。


 なんか、そんなよーな事ゲームでゆってた!


 誰の思念だって聞くまでもないですね!


 私の思念強すぎぃ!


ウォルド様「何だ? この服。変わった服だな」


 そういうわけだから、元の世界の学生服を着たウォルド様が目っの前に!


 すかさず私ーー(これもまた学生服バージョン)は、写メ(幻影だけど)を連射した。


ミュセさん「私のこの服は何でしょうか」


 あっと、清楚風教師の美女も目の前に!


 ありがてぇありがてぇ。目の保養じゃい。


 パシャパシャパシャ(連写)。


ウォルド様「よく遊んでられるなあんた。こんな状況で」


 いえ、これが自然な行動なのです。


 推しの尊い姿を収めるのは、ファンとしての作法、いえ常識ですからねっ!


 ああっ、この携帯が幻でなければなぁ。


 あっ、ポーズお願いします。


 そこっ、そこに立つとちょうど角度が尊いっ!


 動画もとっとこ!


 ミュセさんもうちょっとこっちに立ってねー。

 うん、かわゆいかわゆい。げへへへへ。


ウォルド様「あんたの人生、常に幸せそうでいいな」


 そんな事ないですよぅ。

 最近はちょっと自分のへっぽこ具合を顧みて、シリアスに落ち込んでましたし。


 ウォルド様と一緒にいるから、幸せなんです。


 せっかくだから体操服とかも着てくれないかな?

 ジャージもお願いしやっす!


ウォルド様「一応敵地だぞ。着るわけないだろ」


 ですよねー。







 とりあえず落ち着いた頃に私は、戸惑うウォルド様に向けて、学校とは何たるかを述べた。


私「学校は、いたいけな少年少女を監禁して、洗脳する場所でっす」

ウォルド様「嘘言うな」

私「ごめんさいっ」


 と、途中途中で茶番を挟みつつも。


 しっかりと説明。


ミュセさん「つまり、イツハさん達みたいな歳の人たちが勉強をする場所なんですね」


 いえっす。


ウォルド様「ふーん。この世界があんたの地元を参考にして作られたわけか。変わったとこだな」


 はい、異世界ですんで。


 文明も違いますし、センスもちょびっと違いますよ。

 わふーです。わふーにっぽん。


 ちょんまげでお侍で、武士で、お寺!


 まあそれぜんっぶ、現代よりちょっと昔ですけど。


ウォルド様「変に構えて損した気分だ。とりあえずさっさと脱出するか」


 おや、ゲーム内で不思議空間に転移するシナリオの時は、ちょっとうろたえてたのに?


 呆れた様子のウォルド様は、目を閉じて集中。

 この世界は偽物だという事実を強く思う事で、抜けだせるらしい。


 あっ、でもちょっとやり残したことがっ。


私「その前にぜひっ、隣の席で教科書みせあいっことか、部活の先輩・後輩プレイを!」

ウォルド様「清々しいほど、ぶれないな。ちょっと黙ってろって」


 ごめんちゃい。








 目をぱちくりすると、次の瞬間には即現実世界。

 楽しかったのに、ちょっと残念。


 幻の世界から元の世界から戻ったら、縛られてた私達は、馬車で運ばれてる途中!


 だからとりあえず眠ったままのふりをして、兵士に隙ができるのを待つよ!

 やがて、馬車の中にいる見張りが、船を漕ぎ始めたのを見た。

 それを見たウォルド様が、一気に反撃。


 その他の兵士もばったばったとなぎ倒したので、私達は無事に逃げることができましたとさ。


 しばらく逃げ続けた後、追手がいない事を確認して、一休憩。


 している間に、推しがシリアスな顔で話しかけてきた。


ウォルド様「あんたはそれで良いのか?」

私「何がです?」

ウォルド様「元の世界に帰れないのに、良いのかよ」


 何を今さら、ですね。


私「ウォルド様がいますんで」


 推しがいます。

 愛がそこにあります。

 そして私、幸せ。


 これ以上望んだら罰が当たるってもんでい。


ウォルド様「あんたは俺以上に弱音を吐かないやつなんだな」


 常に前向き。

 いつまでも前のめり。

 それが最大の長所ですんで!


ウォルド様「やばいって思ったら、少しは寄りかかれよ。あんまり気張ってばっかりだと疲れちまう」

私「ウォルド様には言われたくないですーん」

ウォルド「はぁ? 何急に機嫌悪くしてんだ?」


 一人で抱え込んで、一人で背負い込んだまま全部を解決して、最後に消えちゃうような人にそんな荷物あずけられないにきまってんじゃないですかっ。


 ウォルド様こそ、私にどしーんと寄りかかってくれればいいのに。


ミュセ「イツハさんもウォルドさんも優しい方ですよね」

ウォルド様「そういう話だったか?」


 一人だけミュセさんが温かい視線になってますが。ですがっ。


 つんけんモードに入っていた私には余裕がないので、かまってあげられないのですっ。


 はぁ、失態ばっかりだなぁ。


 これでウォルド様が「二人を巻き込んだのは俺のせいだ」とか言って一人で単独行動しだしたりしなきゃいいけど。


『追手に囲まれたイツハ達は無事窮地を脱したようだ。彼らは少しだけすれ違っている。ウォルドがもう少し、素直に弱音を吐いていたら。イツハに寄りかかっていたら。そうしていたらイツハは、彼の事を心配に思って、自分の事情を胸に秘めたりはしなかったかもしれない。彼に寄りかかっていたかもしれない』



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