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魅惑の少女達

 上之宮学園がある町から一時間程電車を乗り継いで、響、椿、薫の三人は最も近場の海へ朝十時に到着した。

 響達が到着した頃にはまだ午前中であるためか人はまばらで、レジャーシートを設置する場所にも困ることはなかった。


「早めに来たおかげか、空いてるな」


「そうですね先輩、でも他の人達はこの光景見られないですよね……」


「まあ皆用事があるからって言ってたからね」


 響と椿は空いている場所を選ぶと、レジャーシートと日傘を設置し始めた。薫は先に一人で水着に着替えるために、更衣室に先に行っているのであった。

 数分後水着に着替えた薫が、荷物を持って響と椿が座っている場所に到着した。


「響君! 椿さん!」


 薫を見つけた響と椿は大きく手を振って、此処にいるとアピールをする。

 近づいてくる薫の姿は先日選んだ白色をメインとしてアクセントとして紫色が入ったホットパンツの水着、上には響が選んだ上が黒色で下が白色のパーカーであった、そして顔にはいつものサングラスをかけていた。


「うわぁ……」


 水着姿の薫を見た椿は感嘆の声を出す。薫の水着姿はパーカーで上半身が隠れていたとしても、女性である椿が見ても美しいと思う程であった。事実水着姿の薫は周囲の人から、男女問わずに視線を集めていた。


「先輩、宮島先輩は男性なのですよね?」


「え、そうだけど」


 椿は薫に気付かれないように声を小さくして響に質問をする、もちろん響は当たり前のように薫は男だと答えるのであった。 


(もしかして、私より肌が白いのでは?)


 女性顔負けの薫の白い肌を見て、椿は少しショックを受けてしまうのであった。

 響は椿の様子に気づかず、椿の手を取り更衣室に向かおうとする。


「椿君、行かないのか?」


「え、あ、はい! 今行きます!」


 響に手を握られた事に気づいた椿は、顔を赤く染めて足を動かし始めるのであった。


「いやあ青春だねえ」


 顔を赤く染めた椿を見て、薫は誰にも聞こえないように一人呟くのであった。




 着替え終わって男子更衣室から出た響は、椿が水着に着替え終わるのを待っていた。

 数分後、響に「お待たせしました」と声をかけられる、響が振り向くとそこには水着姿の椿が立っていた。


「おおお……」


 椿の水着姿を見た響は称賛の声を上げる。椿の水着はメインはピンク色で縁に赤がアクセントされている水着で、普段制服で隠れている彼女の手のひらでは隠しきれない程の豊満なプロポーションが露わになっていた。


「ううう、恥ずかしいです先輩」


 響の視線を感じとったのか椿は、羞恥で赤くなった体を恥ずかしそうに両手で隠し始める。それを見た響は流石に悪いと思ったのか、申し訳無さそうに頭を下げるのであった。


「ゴメン、椿君」


「流石に人が見ているところでは恥ずかしいです、二人っきりならいいですよ」


 自分が言った言葉に恥ずかしくなったのか、椿は「やっぱり今の聞かなかった事にしてください!」と響に突っかかるのだった。




 着替えが終わった二人は、薫がレジャーシートで待ってる場所に戻ろうとする。しかしその場所に近づいていくと、人が集まっていきどんどん騒がしくなっていく。


「何でしょうか先輩?」


「早く薫の所に戻ってみるか」


 不安になった二人は人をかき分けていき、薫が居るであろう場所に進んでいく。

 そこには日傘の下で腕を掴まれていて嫌がってる表情の薫と、薫に絡んでいる三人組の男であった。


「離してください!」


「いいじゃないか、一人より四人の方がいいだろ!」


「そうだよ」


 薫は男達から離れようとするが、三人の男達に囲まれていて離れることが出来なかった。

 現状を理解した響は急いで薫の元に走っていく、そして薫の腕を掴む男に静止を呼びかけるのだった。


「家の連れなんで止めてもらっていいですか」


「あ?」


 声をかけられた男は眉間にシワを寄せて響の方へ向く、そして響が男と見るや語尾を強くして威嚇するのであった。


「いきなり何話かけてるんだ?」


「薫は俺の連れなんでその手、離しても……」


 そのまま薫を開放させようとした響の言葉を、薫の腕を掴んでいない男が遮る。


「へー、薫ちゃんって言うんだ可愛い名前だねー」


 男に可愛いと言われた薫は、サングラスで目を隠していても分かるぐらいに露骨に嫌な顔をした。

 もう一人の男も薫に近づいていき腰に手を伸ばしていこうとする、しかしその手を掴む者がいた。


「あああ?」


 男は伸びてきた手の方に視線を向ける、そして腕の持ち主を見ると顔をだらしなくニヤけさせた。

 腕を掴んだのは水着に着替えたレライエであった、彼女の姿は上は豊満な胸を見せびらかすように首元で紐を結ぶ水着で、下はきわどい逆三角形である。


「おいおい、姉ちゃんが代わりに遊んでくれるのか?」


 人ならざる美貌を持つレライエの姿を見た男は、掴まれていない腕をレライエに近づけていく。


「はっ、言ってろ。お前たちでは遊びにもならん」


 レライエは鼻で男を笑うと腕を回避する、そして掴んでいる腕を捻りそのまま男を投げ飛ばすのであった。

 レライエにちょっかいを出した男が投げ飛ばされるのを見て、最後の男が舐められると思って激昂する。その瞬間ソプラノボイスがその場に居た全員の耳に聞こえるのであった。


「レライエ、君だけが大立ち回りするなんてどういう事だい?」


 その声の持ち主は水着に着替えたキマリスであった、キマリスは白色のビキニに下はさらにパレオを巻きつけたスタイルであった。

 激昂した男はそのままキマリスに走って近づいていくが、キマリスは足で男の足を払うとそのまま両手で押し飛ばす。


「てめえらなめやがって!」


 薫の腕を掴んでいる男が連れの二人の男の不甲斐なさに苛つき、勢いよく響に掴みかかる。

 しかし響は男の腕をうまく受け流し、そのまま流れるように背負投をするのであった。

 砂浜に倒れ込む男、それを見た衆人観衆は「ぷ」と小さく笑う。

 第三者に笑われたことで羞恥する男達、すぐに立ち上がると「覚えてろ!」と言い残しその場を去っていく。


「大丈夫か薫?」


「うん、ちょっと腕が痛いだけで後は大丈夫」


 腕を掴まれていた薫を心配する響であったが、薫は笑いながら軽く掴まれていた箇所を撫でて返事をする。


「ならいいけど、それでキマリスとレライエは何で実体化してるんだ?」


「そりゃあ僕たちも海を楽しみたいからね、せっかくだし水着に着替えてみたよ」


 腕を組み胸元を強調するキマリス、すると普段の服装では分かりづらい彼女の形の良い胸がギュッと強調されるように押し上げられる。

 キマリスのセクシーポーズを見て響は顔を赤く染めてキマリスから視線をそらす、それを見たキマリスはニマァと笑う。


「ふふ、僕だけじゃなくレライエの水着も見てきたらどうだい響? 彼女のスタイルは凄いよ」


 キマリスの言葉を聞いて響は、思わずレライエの方に視線を向けてしまう。視線を感じたレライエは響の方に体を向けると、片腕を胸の下に挟み込んで上に押し上げ、もう片方の腕は首元に伸ばして胸元を強調するような姿勢をとる。

 扇情的なレライエの姿を見て響は、股間を足で見えないように隠し始める。男の性であり、生物的な反応なので仕方がないとはいえ響は恥ずかしかった。


「そ、そういえばキマリス、ハルファス達は?」


「彼女達かい? それならあっちで遊んでいるよ」


 キマリスが指差す方向に響が視線を向けると、海辺で遊ぶ水着姿のハルファスとマルファスの姿があった。

 ハルファスとマルファスの水着は同じもので、いわゆる旧スクール水着といわれる紺色の水着を着ていた。

 旧スクール水着を着ているハルファス達を見た響は、だらりと額に汗を流しだす。


「あの体型で旧スクはヤバいだろ、おまわりさんに連行されそう。ってゆうかお前ら水着なんてどうしたんだ?」


「悪魔にからすると見た服を元に、自分の服を変えるなんて朝飯前さ。君のパソコンを借りて大手通販サイトを皆で検索させてもらったよ」


「おいキマリス、パス……」


 ワードはどうした、と聞こうとした響は気づいてしまう、何度もキマリス達の目の前でパソコンのパスワードを入力していたことを。

 パソコンを勝手に使われていた理由が分かった響は、頭を抱えて後悔しだす。ついでに言えば最近入力した覚えのない単語が履歴に残っていたのも、彼女達がパソコンを使ったからである。


「ほら響、頭抱えてないで遊ばないかい? 椿や薫も海に行ってるよ」


 響の手を取ったキマリスは「早く行こう」と海に誘う、しかしすぐにキマリスは手を絡ませると猫のように笑う。


「この光景を知らない人間が見たら、恋人同士と思うのかね?」


「な!?」


 キマリスの言葉を聞いた響は、羞恥で頬を赤く染めてしまう。そんな響の様子を見てキマリスはカラカラと笑うのであった。


「さあ行こう響! 遅いと椿に怒られちゃうよ」


 赤く染まった響の手を引っ張ってキマリスは、響を海に連れ込むのであった。

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