27 馬並み
いっぱいの「い」を「お」に変えると?って聞かれたら「おっぱい!」と元気おっぱいに叫ぶくらい元気な俺は、シヤが冒険者ギルドからもらってきたシヤパパ情報について情報共有することにした。
「はい、では第1回、シヤパパ捜索会議を始めたいと思います」
「「わーいぱちぱちぱちー」」
完成された棒読みだ。ここまで完成されていると、むしろ何も言えなくなってしまう。
そんなことよりシヤパパの話だ。
「よし、ではまず、シヤパパの情報について共有しておきたいと思うので、シヤさん、情報の共有をお願いします」
「はい。まず、お父様らしき人物の情報ですが、別の王国、ビュリングル王国の方での情報とのことです。場所はブラムルという町らしいのですが、お父様は今は奴隷ではないそうです。自力でお金を稼いでいるとのことでした。私とお母様を探すための資金を作っている最中だそうです。ただ、捜索にかけられるほどお金を稼げていないのが現状だそうで、捜索に乗り出せるのがいつになるかわからないと」
なるほどな。となると、こっちから会いに行った方が早いかもしれないな。
それに捜索するために資金を稼いでるんだとすれば、母娘を養うくらいの金はあるだろう。あると思いたい。
というか稼ぐ方法が確立しているのであれば、その場所を離れない方が得策だろう。
まあシヤパパが騎士として国に仕えることに誇りを持ってて、他国でやっていくなどごめんだ!とか言うような感じだとどうしようもないんだけど、金稼いで家族探そうとしてるんだから、誇りよりも家族を大事にしてくれる人柄だと思っておきたい。
「じゃあ、こっちから会いに行こうか。どんな感じの道のりになるか確認して、準備して行こう。道のりに関してはシヤが冒険者ギルドに確認してほしいんだけど良い?」
「わかりました」
「じゃあお願い」
「じゃあ私もシヤについていきます」
まあシヤママに関しては好きなようにしてもらってて構わない。
「了解です。あと、二人とも馬って乗れる?」
「はい、問題ありません」
「私も大丈夫です」
シヤもシヤママも馬には乗れるみたい。
「俺は乗れないからシヤの後ろに乗せてもらおうと思ってるんだけど、大丈夫?というかできれば乗り方を教えてもらいたい」
「わかりました。では乗り方をお教えしながら乗ることにしましょう。馬を購入されるのですか?」
「そうしようと思ってる」
とりあえず、馬車でも良いかなと思ったんだけど、馬車引かせるより、普通にのって行った方が早いだろうと思って、結局馬を買おうと考えている。
それにビュリングル王国でシヤパパ発見したとしたら、その後俺1人になる可能性もあるから、馬だけの方が楽そうだしね。
というわけで、基本的な方針は決まったので、それぞれが動き出す。
俺は馬を買いに来た。
「どんな馬をご所望ですかい?」
どんな馬ってどういうことだ?でっけえ馬をくれって言ったら良いのか?
「いちもつのでっけえ馬が欲しい」
「い、いちもつのでけえ馬ですかい?そいつはまた珍しい注文ですな……」
「ごめん、どんな馬って言われてこんな馬っていうのが思い浮かばなかったから適当に言っただけなんだ。これから他国まで行かないといけないから、そういう旅に合う馬が欲しいんだが」
「わかった。じゃあ、足が速いとかよりは長距離に耐えられるような馬を用意しよう。それでいいかい?」
別にとにかく急いで行きたいってわけでもないし、そもそも俺馬に乗れないし、2人乗りするのも考えると、その方が良いのかね?
「それで頼む。2頭欲しい」
「わかった」
馬について店の人から色々と教えてもらった。
元いた世界では馬はそんなに距離的には移動できなかった覚えがあるが、この世界の馬は、そもそも魔物化した馬を飼いならしているらしく、普通の馬よりも、走るのは早いわ餌は少なくて済むわ持久力はあるわでいい事だらけだとか。
まあその分値段は高くなるらしいんだけどね。まあ当然だよね。
結局2頭で金貨6枚とんでった。果たして餌代とか考えた時にどちらの方が安く済むんだろうかという気持ちは少しあるが、旅としてはこちらの方が楽だからお金があるなら、魔物化した馬を買ったほうが便利だと言われたのでそっちにした。
上手い事買わされているだけのような気もするけどね。
乗馬用の馬具もその値段で一式揃えてくれるってことらしいから、まあ手間にお金を払ったということで納得しておこう。
とりあえず目的の馬は購入できたので、そのまま馬を連れて歩いて宿まで帰った。
魔物と聞いていたので、気性が荒いのを想像していたのだが、そんなことはなく、おとなしいものだった。
普通の馬もこんなもんなんだろうか?普通の馬を引いて歩いたことなんてないから知らないんだけどさ。
というかこの馬どうしたらいいんだろうとか考えてたら、宿屋の人が出てきて馬小屋があるからそこに預けさせてくれるってことらしい。
何て話を聞いていたらそこにシヤとシヤママが帰ってきた。
「ご主人様、それが購入した馬ですか?」
「そうそう。魔物化した馬らしいよ」
「え、魔物化した馬ですか?……それは乗ったことがありませんね……」
これはしくじってしまった。どうやらシヤもシヤママも普通の馬にしか乗ったことがないらしい。
完全に乗ったことがある前提で買ってしまったけど、これは早まったかもしれない。
そうだよね、あの値段だもんね、気軽にホイホイ帰る金額じゃないもんね。
そりゃ乗ったことがないって可能性を考えないといけなかったわけだけど、そんなの考えもしなかったわ。ミスったね。
「乗れないかな?」
「わかりません。乗ってみないと何とも言えませんが、少なくとも出立の日にいきなり乗りこなせるかと言われると、無理ではないかと思います。1度は乗っておきたいですね」
どうなんだろう?これで乗り方とかも全然違うとかになったら本格的にやばいな。
「じゃあ、とりあえず外で試しに乗ってみようか。乗ってみようかっていうか乗ってみてくださいになるんだけど……」
「わかりました。では今から参りましょうか」
「シヤママも大丈夫?」
「ええ、問題ありません」
というわけでお馬さんに試し乗りしに行くことになった。