10 復活の変態
目が覚めると、そこにはパイデカタカメオPダブルキンニクアブラヌキヌキの美女がいた。
完全な朝チュンシチュエーションだが、そこには絶対的な安心感がある。俺、不能。
抱きしめてもらったまま朝まで眠ってしまったようだ。感謝。
「おはよう」
俺は美少女のオPに朝の挨拶をした。
するとおっPはプルルンと振るえるように挨拶を返すのと同じくして、
「あ、おはようございます」
おっPブリーダーのシヤが目を覚ました。
「もう大丈夫なんですか?」
「大丈夫、元気だよ。シャツを押し上げるくらいにはね」
「いえ、誰もB地区の話はしていません」
しかし、俺のティクビンティウスにも困ったものだ。走る奴がいないのに、いつまで友を待っているつもりだろうか。元気を納めたまえ。お前の友である息子は今日も不能だ。走らんぞ、こいつは。
さて、今日はどうしようか。俺はなんでこの世界にいるんだろうか。そういったことを考えていくべきなんだろうか。別にいいか、何かしたいことがあるわけでもないし。
強いて言うなら、シヤを大事にしたいとは思ったかな。我ながら単純だとは思うけど、さすがにあんな状態の俺を見捨てずに、慰めようとしてくれた相手をないがしろにしたいとは思えない。
できれば、恩を返したい。こんな俺にでも返せるものがあるんだろうか。
そう言えば以前に親も奴隷として売られたとか言ってたっけ。なら彼女の親を探そうか。色々情報を集めるにはどうしたらいいかな。
色々と思考を巡らせていると、朝食ができたと伝えられた。まずは腹ごしらえだ。
食事が終わった俺は、色々と店を見て回っていた。シヤも一緒だ。
道行く人のカップリングを行いながら、当てもなく歩いていく。
シヤは食べ物が気になるのか、そちらに視線を吸い寄せられては正面を向き、また吸い寄せられては正面を向き、ということを繰り返していた。
さっきご飯食べたばかりだけど、欲しいのかなと思って買い与えてみると、
「ありがとう……ございます……」
と若干恥ずかしそうにお礼を言ってきた。貢ぐ男の気持ちを知った。
ふと、情報を集める方法に関して、冒険者ギルドに聞いてみようと思い至ったため、冒険者ギルドに寄っていくことにする。
「すみませーん。情報を集められる場所ってどこかないですか?」
「情報ですか?どのような情報でしょうか?」
「人探しをしたいんですけど、どうやって集めたらいいのかわからなくて」
「それでしたら、冒険者ギルドで情報を集めることもできますが、どうでしょうか?」
冒険者ギルドってそんなこともしてるんだ。てかなんで冒険者ギルドとかあるんだろうな。誰が作ったんだろうか。
「あ、やってもらえるというならお願いしたいんですけど」
「わかりました、お代の方なんですが」
少し言いにくそうにしている。それはつまり
「俺の体ですか!?そんな!!不潔です!!エッチです!!」
「え?ええ?ち、違いますよ!いりません!!そんなの!!」
「え、ただで良いんですか!?無料で(紹介)してくれる受付さんって呼んでもいいですか!?」
「お代がいらないという意味ではありません!!というかそんな呼び方されたら、色々誤解されるじゃないですか!!」
俺の発した言葉ににわかにざわめきだす冒険者ギルド内。
耳を澄ませてみれば、「おい、今の聞いたか?」「無料でしてくれるってよ」「嘘だろ!?あの子が!?」「見かけによらずってのはこういうことか」などゲスい言葉が聞こえてくる。
全部、俺のせいだ。
「どうしてくれるんですか!!すごい誤解されてるじゃないですか!!」
「す、すみません、悪気はなかったんです、こうなるという確信があっただけで」
「余計質悪いですよ!!」
「そんなことより、情報の話の続きをお願いします」
「む、かつく……!ああむかつくううううううううううううううう!!」
どうやらフラストレーションの限界を超えてしまったようだ。
「それでは、情報のお話なのですが」
あ、すごい、この人プロだ。まごうことなきプロだ。
「代金のお話でしたね。まず、探す範囲などにもよるのですが、まずは近場から情報を探していくということで良いでしょうか?」
なるほど、情報を探す範囲が狭くなれば、金額が少なく済むかもしれないってことか?
「この近くに奴隷商がありましたよね?その奴隷商の売買なんかの経路近辺で調べてほしいんですが」
「奴隷商の売買関係ですか、となると探し人は奴隷ということでしょうか?」
「そうです。この人の親を探してほしいんです」
俺がシヤの方を見て「この人」と言うと、シヤは不思議そうな顔をしていた。
「ご主人様?私の親、ですか?」
「そう。親の行方気にならない?」
「それは……ですが……」
「親の行方、気にならない?」
俺は言いよどむ彼女に対して、はい、いいえで答えるようにというニュアンスを込めてもう一度確認する。
「はい……」
「というわけで受付さん、お願いしたいんですけど」
受付さんが意外そうな目でこちらを見ている。
「何か?」
「あ、いえ、完全にクソ野郎だと思っていたので、少し意外だっただけです」
「そんな、完全にクソ野郎だなんて……ほめても何も出ないですよ?」
「いえ、ほめてはいません。絶対にほめてはいません」
それから受付さんがシヤに親の特徴を聞いて、俺がとりあえずの捜索費用として大金貨1枚を出し、「この金額なら結構な範囲探せそうです」とのお墨付きをもらって宿屋に帰った。
部屋に入った俺は、自分の足からズキュッズキュッと音が出ていることに気付き、甚く感動した。