26. 腐女子とパンチ
よろしくお願いします!
「それで今日もその有様というわけか」
「あ”ぅ~…(うう、うわ~ん!)」
滂沱の涙を流しながらリビングの机に突っ伏していると、セレスティアがため息をつきながら言った。
「申し訳ありません、まさかあんなことになるだなんて思わなくて…」
「あ”ぅ~…(うっうっうっ)」
泣きながらも、エレンのせいじゃないと首を振る。
私だってあんなことになるだなんて思わなかったのだ。エレンのせいではない。むしろ爆発の瞬間、とっさにエレンが障壁を張ってくれたおかげで、大惨事を防ぐことができた。二人とも怪我はなく、部屋も無事だ。だが、無傷というわけにはいかなかった。
「あ”~!(私の髪の毛が…っ!)」
というわけだ。身体はほぼ無事だったが、どういうわけか髪の毛は無事とはいかなかった。アフロからようやく脱することができそうだったのに、今の私の髪はパンチパーマにアップデートされていた。昨日よりなおひどい。
「なんというか、斬新な髪形だな…くっ」
「あ”~!!(セレスティアひどい!!)」
人の不幸を笑うとは、騎士の風上にもおけないと思う。
おそるおそる頭部に触れると、ちりちりとした感触が私の心を悲しみに染める。
今なら哀愁漂う演歌を歌えそうだ。
「それにしても、なぜ爆発したんだ?」
「サクヤさんは、魔力自体はすごくあるので、練り上げようとしたのですが…」
そうなのだ。アンデッドにはほとんど魔力がないとのエレンの話だったのだが、どうやら私には魔力があったらしい。それも、普通に比べてかなり大きな魔力であり、容量自体なら大魔術師に匹敵するだとか。それを知って興奮した私は、通常の魔術師がするように魔力を練り上げる術を教えてもらったのだが、そうしようと力を込めたところで爆発した。
通常、魔法は練り上げた魔力を発散させることで使用する。ところが、私の場合はなぜか練り上げること自体ができず、結果溜まった魔力が爆発してしまうのだ。何度か試してみたけれど、結果は全部同じだった。エレンに見立ててもらったところ、練り上げる瞬間から魔力が放出されているのが原因ではないかとのことだった。つまり、穴が開いた風船のような感じで、どんなに空気を入れても空気が抜けてしまうようなものなのだろう。
「つまり、魔法は使えないってことだな」
「あ”ぅ~!!(セレスティアの馬鹿~!あっさり言わないでよ~!)」
じたばたしながら抗議をするが、セレスティアは取り合わずに肩をすくめる。
「まあ、アンデッドは魔法が使えないのが普通だからな。お前は特別な存在だと理解しているが、その特性からは逃れられないのかもしれん」
「あ”ぅ~(は~ぁ、やっぱり無理かぁ…)」
せっかく異世界に来たというのに。エレンの使っていた風魔法を使用して、気になるあの男子に男子をぶつけて「あ、ごめん」「お、俺こそごめん」なんて意識させてみたかった。
「まあそうがっかりするな。お前には魔法が使える仲間がいるじゃないか」
芋虫だけどね。それに治療と解毒しか多分できないし。
「他の魔法を使える芋虫を呼んだらどうだ?」
『却下。私は自分が魔法を使えるようになりたいの!』
これ以上芋虫を増やしてどうする。私が卒倒してしまう。
「じきになんらかの方法が見つかるかもしれないし、それまでは我慢しろ。というか、家で爆発するのはやめてくれ。エレンも、無茶はさせるなよ」
「はい…」
「あ”ぅ…」
セレスティアにそう言われ、私とエレンはそろって頭を下げた。
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