プロローグ
ボクは親の事情で引っ越すことになった。
最初から最後まで抵抗はし続けた。
今通っている学校、環境がボクにとってこれほどかという程あっており、それに折角受検して入った中高一貫校。わざわざまた受検して別の高校に入るなんて嫌だった。
でも、いくら抵抗してもうまくいかないことが世の中にはある。
ボクが人生で初めてそれを知るにはあまりにも大きな出来事だった。
ボクの友人たちは皆仲のいい人たちと一緒に高校生活を送っていくというのに、ボクだけは違った。
ボクはそれが自分が引っ越しに反対している理由だと思っていた。
しかし違った。
それは別によかった。
ボクは一回決まってしまったことを受け入れるタイプだったから、その現実を素直に受け入れることができていた。
じゃあそんなボクは何に最後まで抵抗していたのか?
それは引っ越し先でWi-Fiが使えないということだ。
ボクには一年前にネット上で知り合い、夜な夜な通話したりするほど仲のいい友人といっても過言ではないほど仲のいい人たちがいた。
その人たちとWi-Fiがなくなったことにより、前より長く繋がっていられなくなることが嫌だった。
そのためにWi-Fiを買ってなんて口が裂けても言えなかったボク。
仕方がなかったのかもしれない。
だが、今のボクからしたら許せないことだった。
ボクはそんな微かな怒りを胸に抱いたまま、新しい学校への通学路を進んでいった。