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原始人(?)な俺とお金持ちのお嬢様  作者: ねこ丸
第一章
6/19

なんか知ってる人っぽいの、居るんですけど

学校に着くなり、俺はそのデカさに圧巻した。

10階建ての校舎、横幅はかなり広い。



なんというか、デカいマンション、そんな感じ。



「何ぼーっとしてるの? 中に入るわよ」



俺から相変わらず3メートルの距離を置いた美代は、そう言って中央にある入り口に向かった。



「中は……普通だな」



そう言って俺が靴を脱ごうとすると。



「あ、この学校は土足だから脱がなくていいわよ」



と、美代が止めてきた。

俺は靴を履きなおすと、美代の後を追う。

それにしたって入り組んでいるし広すぎる。これでは移動が大変ではないか。



「とりあえずあんたは職員室ね。特別に案内してあげる」



良かった。案内されなければきっと俺はたどり着けない。

そう思いながら廊下に足を踏み込むと。



「どわぁ!」



いきなり床が動いて、俺は転んだ。

ここも美代の家のエスカレーター見たく、どうやら自動で動くようだった。



「……なにしてんの?」



美代が呆れた顔で言う。

俺は起き上がると。



「動く床とか聞いてねえぞ、説明しろよ危ないじゃないか」



「当たり前・・・・・・、あ、原始人の居た頃はそうじゃなかったかしら」



そう言ってクスクス美代は笑う。



「この札がある所は自動で動くわ、これだけ広い校舎、歩いてたら足が痛くなっちゃうし」



そう言って札を指す美代、見るとご丁寧にAUTOと書いてあった。



「覚えておくよ」



俺がそういうと、再び床が動き出した。



恐らく中央入り口だったであろう場所から、右に移動する事3分。



「ここ」



美代が言う。

少し上を見上げると、職員室と書いてあった。



「担任の先生の名前は宮藤先生。中に入ったら近くの先生に言えば、案内してくれるから」



「お前は一緒に来ないのか?」



「あー、遠慮しておく」



そういう美代の顔はどこか苦々しかった。



「じゃああたしは先に教室に向かうから、じゃあね~」



動く床で移動して、美代は遠くの方まで行ってしまった。



「しゃーないか」



俺はネクタイを締めなおしコンコンとノックすると、職員室のドアを開けようと……。



ガーッ



自動で開いてくれた。



「あ、あのすいません。今日転入してきた・・・・・・関亮太って言うんですけど、宮藤先生いますか?」



俺が言うと、一番近くに居た中年太りの男の先生が。



「関・・・・・・、あぁ、君が昨日話題になった……。こっちだ、ついて来たまえ」



男の先生は立ち上がると、ゆっくり歩きだす。

どうやら職員室内は自動で動く床ではないらしい。



「広いっすね」



置かれた机の数を見て、俺はそう言った。

しかし、未来の机の上には書類だの資料だのが置いて無くて、さっぱりしていた。



「3000人の学校だからな、ちなみにここは第二職員室だ。生徒数が多いため、職員室も複数ある。覚えておきたまえ」



「はい」



そう言って、少し歩くと。



「この人だ」



そう言って先生は、机の上に頭をのせて寝ている、ボサボサのセミロングヘアの女性らしき人を指さした。



「……後は任せるよ」



先生は大きくため息をつきながら、戻って行った。



「任せるって……」



とりあえずどうする・・・・・・起こすか。



「すいません、すいませーん」



声を掛けて見る。起きる気配が無い。



「先生、宮藤先生ーあの、起きてもらわないと困るんですけど」



俺はそう言って、先生を揺さぶった。



「んあっ!?」



そんな声を上げて、先生は起き上がった。



「いやぁ、寝てないっすよ! ちょっと休憩していただけ・・・・・・」



そこまで苦笑いで言って、俺の顔を見た先生は。



「あー、誰お前?」



見事なまでに乱暴な口調だった。



「きょ、今日から転入してきた、関亮太、なんですが」



「関? ・・・・・・ああっ! 神宮司の家に居候し始めたって言う奴か!」



そう言って宮藤先生は笑う。

なんだか服はヨレヨレだし、さっきも言ったが頭はボサボサだった。



「まぁ、そうですね」



「いやー、2000年代生まれなんだってな? 面白くてよ~、昨日教室の生徒たちに急遽情報集めるように宿題出したんだわ! メールで!」



なんだ……この人、って



「え!? ばらしちゃったんですか!?」



「だってよ~、嘘ついてもボロ出るじゃん? だから正直に嘘無く伝えといたぜ」



そう言って誇らしげな顔するが、俺は冷や汗ダラダラだった。



「それ、マズくないですか? 俺、質問責めに……」



「仲良くなるためだって~! 気にすんな!」



ガハハと笑って俺の背をたたく宮藤先生。

美代があんな顔した理由がなんとなく分かった気がした。



「取りあえずこの後もうホームルームだから~、自己紹介、よろしくぅ!」



「あ、あはは……」



心の中で泣きながら、俺は笑った。



「んでこれなんだけど、送信・・・・・・っと」



「なんですか?」



「携帯見てみ」



宮藤先生がそういうので、俺は携帯を取り出す。



「これは、地図ですか?」



1F第二職員室と書かれた部分に点がある地図だった。



「それこの学校のGPS付き地図だからな! 慣れねーうちはそれで頑張って移動しな~」



「は、はぁ・・・・・・」



俺が呆気にとられながら返事をすると。



「んじゃついて来い、ホームルームだから、最初は案内してやっからさ!」



正直。逃げ道が全くない。仕方がなく俺は着いて行った。



5分一階を移動して、エスカレーターで3階へ、そしてまた二分、移動して。



「ここだ」



2-11、と書かれた教室の前に、俺たちは立っていた。



「あの、まだ準備・・・・・・」



「ようお前ら! おはよう!」



人の話を全く気にせず。宮藤先生は教室に入っていた。

後に続いて、俺も入る。



入るなり、教室内がどよめいた、しかし、生徒たちは各自の席へと座っていく。



「ホームルーム終わったらメールで出した宿題、提出な! んで、こいつが噂の転入生!」



そう言って宮藤先生は俺の背を押して、一歩前に出させる。



「え、えっと……」


じとりとした視線を感じながら、俺は自己紹介を始めた。



「2018年から起きて、今日からこのクラスの仲間になります。よ、よろしく」



「まぁそんなもんで良いだろ、んで席は……」



宮藤先生が教室内を見渡す。

俺もそれに合わせて、クラスの面子の顔を見て行った。



「ん!?」



俺は、美代が居る事よりも、見知った顔が居て、それに驚いた。



「なんだぁ、変な声出しやがって、神宮司の隣の席なー」



「は、はい」



言われて俺は移動する。

生徒たちはまるで動物園のパンダでも見ているような顔でこっちを見ていた。

そうして、見知った顔。



東雲藍子? も俺のことを見ていた。

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