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原始人(?)な俺とお金持ちのお嬢様  作者: ねこ丸
第一章
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初めての、登校

美代と家を出てすぐ、俺は辺りの風景に圧倒された。

東京タワー並みの高さのビルがあちこちにあったり、ビルの中をくり抜いたような形でモノレールが走っていたからだ。



それと、今歩いている道。

一見昔と変わらない様に見えたが、安全性が格段に上がっている。

車が飛び込んでこないように、よくわからない半透明のフェンスでバリケードされていた。



車も走っているが、その走行音はとても静かだった。



「あれって電気自動車なのか?」



「ん? そうだけど」



2018年の世界にもあったが、それが当たり前に普及されているとは。



「あれ? という事はガソリンを使った自動車は……」



「がそりん? なんだっけそれ、聞いたことあるような」



美代がう~んと唸る。



「石油燃料って言った方が良いか?」



「あ、それなら小学校で習ったわ! 確か2400年位に無くなって、エネルギー問題が起きたって」



やはり枯渇していたようだった。

では今はどのように電力を作っているのだろう。



「発電所は原子炉とかか?」



「原子炉って……確か危ないやつよね。そんなものじゃなくて、風力発電、水力発電、あと軌道エレベーターにつけられた太陽光発電と……」



「き、軌道エレベーター・・・・・・」



ある意味ファンタジーの世界に来た気分になった。



「なんなら、今度宇宙に連れて行ってあげる? 軌道エレベーターで1時間半くらいだし」



「すげえな、興味あるし是非」



宇宙に行けるというのが当たり前になっていることに驚き、そして素直に宇宙から地球を眺めてみたいと俺は思った。



「と、ここを渡るのよ」



そう言って信号の手前で美代が立ち止まる。

しかし、目の前はバリケードが貼られていて通れそうもない。

どうやって渡るのだろうと考えていると、信号が青になった。



「これ、バリケードが多面的に貼られてるのか」



車が飛び込んでこないように、横断歩道の周りにバリケードが貼られた。

目の前のバリケードはふっと消えていた。



「うわ~、すげえな~」



俺がそう言って歩きながら周りを見渡してると、美代がクスクス笑っていた。



「なんだよ」



「こんなもんで子供みたいにはしゃいでるの見たら面白くってね、いやぁ、原始人を起こしてちょっとは良かったかなって」



「うっせえ、気を紛らわしてるようなもんだ、学校へ行く前にな」



俺がそう言っても、美代はまだニヤニヤしていた。



「なんだよ。まだなんかあるのか?」



「いえ? べっつに~?」



そう言って美代は振り返った。



「ここが駅」



そう言って横をびしっと美代が指さす。

駅は、何というか思っていたより変わっていなかった。



「さて、モノレールに乗るわよ、どう? ワクワクする?」



「いや、俺の時代にも多少はあったし……」



俺が言うと美代はつまらなそうな顔をした。



「モノレール内できゃっきゃして注目あびる原始人見たかったのに」



「お前最悪だな!」



「あははっ、半分は冗談♪」



と、ここで俺は違和感を覚える。

こいつ、家を出てからめっちゃ機嫌よくないか?

昨日だったら殴りかかってきてもおかしくない言葉を投げつけているのに、怒る仕草すらない。



「~♪」



それどころか鼻歌を歌っている。

なんか昨日の対応に慣れてしまい。正直気持ち悪い。



「電子マネーか何かで支払するのか?」



俺はそのことには触れずに話を続けた。



「あー、携帯で全部出来るわ」



便利過ぎて困るぜちくしょう。



俺たちは携帯を改札にかざして駅構内へと入った。

肝心の構内はというと……。



「なんか、思ったよりぐちゃぐちゃしてないな」



「まぁ、モノレール使うの大学くらいまでだし」



「え? そのあとは?」



「オート操作の車と、在宅の仕事が豊富だからたまに乗るくらい?」



仕事の内容も大きく変わっていそうだった。



「そんな事よりあと3分で来るから乗りましょ」



美代はエスカレーターに乗る。続いて俺も乗った。

周りを見渡すと、同じ制服を着た者が結構いる。

確かに、美代が言ったように大人は少なかった。



そうしてホームドアでこれまた高い安全性を持った通路で少し待っていると、モノレールがやってきた。

俺たちはそれに乗り込む。そうして少しすると、扉が閉まって発進した。



「お前、人少ないとは言ったけど……」



「?」



美代が首をかしげる。



「同じ高校に通うやつら多くないか? 座る席さえないぞ」



「あー、だって3000人の学校だし」



「さ・・・・・・3000」



未来の学校はなるべく一つにまとめられているようだった。

そうして10分くらいすると、アナウンスで経済特区東京第二高等学校前、と言われた。



「ささ、降りて降りて」



「危ないから押すなって」



そんなやり取りを交わしながら降りると、ふと、辺りから視線を感じた。

ひそひそと話す女子生徒、羨ましそうに見ている男子生徒。

おい、これってもしかして……。



「美代」



「何?」



「俺ともうちょっと距離置いた方が良いかもしれないぞ」



「はぁ? なんで?」



こいつはどうにも鈍い。

だから俺は殴られるの覚悟で言った。



「多分俺たち恋人同士だと思われてる」



「んなっ!?」



見る見るうちに美代の顔が赤くなる。そうしてキョロキョロと辺りを見渡す。



「~~~~っ!」



あっという間に前髪で赤面している顔を隠して。



「ふんっ!」



案の定俺は殴られた。

まあ、これは覚悟していたのでそこまで痛く感じなかった。



そうして3メートルくらいの距離を開けて、俺たちは学校へと向かった。


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