焼肉への布石
また事故ってました。
不定期で更新していきます。
二日後。
「はい……それで火は使えるように……電気でも大丈夫です」
昼休み、俺は館内リフォームの為に、咲さんからの質問を受けていた。
「それで、どれくらいで完成しますか?」
『今は火曜日ですので……日曜日には食材確保とすべての準備が整います』
電話先の咲さんがお辞儀をしながら言った。
「早いですね……分かりました、俺はそろそろ授業再開なんで切りますね」
そう言って電話を切り、俺は教室に戻った。
「何やってたのよ、原始人」
まだ足の傷が癒えておらず、あまり身動きの取れない美代がふくれっ面で話しかけて来た。
「あー……、館内リフォームの話を咲さんとしてたんだが」
「そういえば、そんな話あったわね」
そう言って、美代は教室内を見渡す。
「なんだ? 藍子が用事あると暇なのか」
「そ、そそそそ、そんなわけ」
分かりやすい奴だ。俺はそう思いつつも。
「委員長の役目があるんだろ? 帰ったら遊べるんだし、少しだけの我慢位しろよ」
「ふ、ふんっ! あたしは寂しくないし!」
口に出してしまうとは……、よほどだったのだろう。
「わりぃな、俺も藍子も今日はたまたまなんだ」
そう言って、俺が軽く頭を下げると
「……そう言う事情なら、仕方ないわね」
と、なんとか納得してくれた。
「ふぅ、ごめんね美代ちゃん、話し合い長引いちゃって」
ここで、藍子が帰ってきた。
「別に平気よ、んで何の話し合いだったの?」
「生徒会に入らないか? って先生に言われて」
「へぇー」
と、だけ美代は言った。
「へぇー、って生徒会って結構大役だろ?」
俺がそう言うと、藍子は。
「まあ忙しくはなっちゃうね……まだ悩んでる」
とだけ言った。
そんなことをしていると、午後の予鈴がなった。
「じゃあ、美代ちゃんのお家で続きは話そう」
「了解」
「分かった」
俺と美代はそれぞれ反応する。
そうして放課後。美代の家にて。
「生徒会の話って具体的にどういうのなんだよ」
俺が藍子に聞くと。
「うーん、最初は書記からで、ゆくゆくは生徒会長目指してくれないか? って」
お茶を飲みながら藍子が言う。
「まぁ、学年トップに任せたい先生たちの気持ちは分かるけど」
と、美代。
「でも、入ったらここに来れる頻度も減っちゃうし……」
ばつが悪そうに言う藍子に向かって、美代は。
「良いことでしょ? 将来を見据えたら、私に構ってばかりで好きな仕事につけなくなったりしたら、それこそ嫌よ」
なんの躊躇いもなく、美代はそう言った。
「ありがと……」
藍子が少しだけ何かを堪えるような声を出しながら言った。
俺も、美代にしてはいいことを言ったと、素直に思った。
「じゃあ、入る方向で決めようかな」
「藍子、それと美代、俺から提案だ」
俺が言うと、二人とも首を傾げて。
「機材が揃ったらお祝いと言うことで焼肉パーティーだ」
「ヤ、ヤキニク」
「パーティー?」
藍子と、美代が何とも言えない顔をする。
「あぁ、俺の生きていた時代は、お祝い事と言えば美味いもの食ってたんだよ、だから、藍子の生徒会加入祝いだ」
「せ、関くんが言うなら」
と、頬を赤らめながら言う藍子だった。
「本当に美味しいんでしょうね? 不味かったら承知しないわよ」
「大丈夫だ! 俺に任せろ!」
そうしてその後解散となり、俺は咲さんに肉の詳細などを聞いた。
「ふふっ、これは最高の焼肉になりそうだぜ」
一人、俺は口元をあげながら、呟いた。




