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原始人(?)な俺とお金持ちのお嬢様  作者: ねこ丸
第一章
10/19

お嬢様はエレベーターが苦手だった

俺は残りの四日を、何とか切り抜けた。

藍子が言った通り、歴史の授業は大変だった。

教科ボードを見ながら、何とか多少の話は分かったが。今の俺はその辺の小学生よりも、歴史に弱い。



縄文時代だの弥生時代がハブられて居た。もう必要ないと言う判断なのだろうか?

そんなことを考えながら俺は。



「こ、ここが藍子が住んでるマンションか」



上を見上げても、首が痛くなるだけで天辺が見えない。



「まぁ、この辺のマンションは軒並み200階建て以上だからね」



俺の後をついて来た美代が言う。

美代と藍子は、まぁこの四日間で多少仲良くなったものだと、俺は思っていた。



「200階建てって、大地震来たらヤバくないか?」



「滅茶苦茶揺れて家具だのがひっくり返るけど、倒壊の恐れはないわよ?」



科学の進歩恐るべし、と言ったところか。



「藍子の部屋は……どうも最上階の220階の様だな」



「結構良いところに住んでるのね、東雲は」



「そうなのか?」



「えぇ、富裕層ほど階数が上がるイメージ、一階とかは庶民の部屋ね」



「ちなみに上の方が内装が豪華だったり、部屋の広さも大きかったりするのか?」



「地域によって異なるけど、この辺だと最上階は一家で貸し切りかしら」



それはそれですごい話だな、と俺は思った。



「取りあえず着いたことを電話で知らせて、入れてもらうか」



オートロック式なので、俺たちはこれ以上先に進めない状況だった。

俺は携帯で藍子に連絡する。



『着いたの?』



「あぁ、今目の前だ」



『どれどれ? あれ?』



カメラか何かで俺たちの様子を藍子は見てるようだった。



『な、なんで神宮司さんも居るのかな?』



「あぁ、こいつも勉強教えて欲しいらしくてな、マズいか?」



『はぁ……』



藍子がため息をつく。



「藍子?」



『ううん、何でもないよ。それじゃあ今ロックを解除したから入ってきてもらえるかな』



藍子が言い終えると同時に、カチン、とロックが外れる音がした。



「じゃあ向かう、後は会ってからで」



そう言って俺は電話を切り、美代と共に中に入った。



「エレベーターは……」



「こっちみたいよ」



俺とは正反対の方を散策していた美代が言う。

俺たちはエレベーターに乗り込み、そして俺はボタンを押そうとした。



「なんだこれ? 電卓みたいだけど」



見慣れないエレベーターのボタンに俺は戸惑った。



「あんたねぇ、まあいいわ、220階だっけ?」



「あぁ」



俺が言うと、藍子は2を二回0を一階押して決定ボタンを押した。

なるほど、昔の自販機にもこういうのあったな。



「景色は……今のところ何も変わらないな」



ビルの窓がスクロールしているだけだった。

まぁ、これだけ建物が立ち乱れていれば当たり前だが。



「うー・・・・・・」



俺が平然な顔をしていると、美代が気持ち悪そうに顔色を変えた。



「どうした?」



「こんな長いエレベーター乗ったの久しぶりだから、なんだか景色見てたら気持ち悪くなってきた」



それはいけない。俺はそう思い。



「遠くを見る、っていうのは出来なさそうだから、着くまで目を瞑ってたらどうだ?」



「そうするわ」



そうして美代が目を瞑ること一分。

ティン、と言う音と共にエレベーターのドアが開かれた。

どうやら着いたみたいだ。



「着いたぞ? 美代?」



「うあぁ・・・・・・」



気の抜けた声を出して、美代が倒れこむ。



「だ、大丈夫か!?」



俺が慌てて駆け寄ると、美代は。



「吐きそう……」



どうやら完全に酔ってしまったらしい。



「仕方ねえな」



俺は美代の肩に手を回すと、持ち上げた。



「何、あたしの体に勝手に触って・・・・・・うぷ」



「これしか移動手段が無いだろ」



生意気な口をきこうとしたが、気持ち悪さが勝ったのか美代は俺にされるがままだった。



「出てすぐにドアがあるじゃねえか」



俺はインターホンを押す。



「待ってたよ~」



そう言って藍子が笑顔で出迎えてくれた。



「……ってどうしたの、神宮司さんは」



「どうもエレベーター酔いになったみたいだ」



俺がそう言うと、美代は、うぅ~、と唸っていた。



「じゃあ、しばらく居間のソファで休んでてもらおうかな、神宮司さんには」



「そうだな、取り合えずお邪魔します」



俺は美代と共に、藍子の家の中へと入った。

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