出会い3
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何卒よろしくお願いします!
「つまり、この国はいま戦国時代に突入しているということですか?」
「貴方のいう戦国時代という定義は分からないけれど、各地で君主様の命を聞かずに好き勝手に領土を拡大したり、兵士を増やしたりしているもの達がいるわ。」
ここまで話すと、アゼリアは少し顔を紅潮さつつ、少しの間をとり、
「私はこの王国で、必ず功名をあげ君主になるのが夢なの。」
と夢を語る。その目はまさに戦国時代に天下を夢見る武将たちとあるいは同じかもしれなかった。
コンコン、コンコン
「失礼しますよ。アゼリア様いらっしゃいますよね。メディス家のアレクシスでございます。」
「アゼリアさん、お客さんみたいですよ。」
「……あ、あれは客ではありません。あれは、借金取りです。」
ドアが開けられる音がアゼリアたちのいる食卓へ徐々に近づいてくるのがわかる。
「これは、これは、お客様をお呼びしての食事中でしたか。それではまた改めます。失礼いたしました。本当に私もこのような仕事はしたくないのですよ。よろしくお願いいたしますね。アゼリア様。」
突如現れた男は食卓に顔を出したと思うとすぐに出て行ってしまった。
「誰ですか?さっきの男は。」
「借金取りよ。私の家系はの祖先は昔の大戦で功を挙げて代々この街を守護する貴族に任ぜられたの。だけど、私の代になった時にはもうお金もなく、両親もお金を工面しようと首都に出て行く途中盗賊に襲われ死んだわ。……私に残されたのは、この屋敷と借金のみって訳よ。」
「なるほど、さっき僕が言った没落貴族ってのも間違ってなかった訳だ。でも、安心してください。これからは僕がアゼリア様を盛り立てて行きますから。」
「失礼な……。えっ?あなた今なんて?」
勘助からの申し出に聞き返すアゼリア。
しかし、勘助からすれば裸一貫でこの世界に来た訳であり、簡素とはいえ食事をもらったアゼリアの元に身を寄せることができるのは願ってもないことである。
「私はお金もない、ないどころかさっきの男に借りてなんとかやっていってるのよ!あなたなんて養っていけないわ。」
「でも、あなたはいつかこの国の君主になられるお方。私は食事だけで充分です。」
真っ直ぐに、その瞳にはすでにアゼリアが君主になった姿が見えているかのように敬意に満ちている。
「そうよ。私は必ず君主になるわ。でもね、あなたのように得体の知れない家臣はいらないわ。どうしてもと言うのなら、この借金まみれの私をどうにかしてみてごらんなさい。そうすれば、私の第1の家臣として、生涯を保証するわ!借金まみれのままじゃ、諸侯会議でも誰も相手をしてくれないもの。」
(私は何を言っているの。この小寺とか言う奇妙な男に唆されているわ。)
こう思いながらも胸が高鳴っていることが分かる。何もない自分に、家臣になりたいといい、さらには、その男が自分を君主になると言い切っているのである。まさに奇妙としか言いようがない。