イセクソ。
ーーーなにが異世界だ。
異世界なんて、クソくらえだ。
俺の名前は
遠藤 一馬 (えんどう かずま)
ニート、引きこもり、オタク
最近の異世界ラノベ主人公にありがちな設定を
詰め込んだような男だ!
だがあいにく、
この物語は異世界ものではない
現実世界ものの、なんの変哲もない、
奇跡も、魔法も、転生も、
無駄にミニスカな女騎士も、でかい武器を振り回す
可愛いロリ幼女も、そんな夢みたいなもんは
一切登場しない。
そんなつまんねー要素しかねぇ物語だ!
だが俺は、諦めない!
異世界に行けなくたって!
この現実世界を死ぬ程楽しんでやるぜ!!
ーーーーー
「お兄ちゃん」
ん、、
「起きて、お兄ちゃん」
目を開けると、そこには
白い肌ー、金色の髪ー、青い瞳をした
一人の幼い少女が、俺の上に跨っていた。
「は?お兄ちゃんなに言ってんの?きも」
間違えた、
コンプレックスらしい褐色肌、
腰まで届く漆黒の髪、日本人らしい黒い瞳
紛れも無い俺の妹ー、(JK)遠藤 月が
俺の上に跨っていた。(読めない奴もいるだろうから説明するが えんどう ルナ と読むぞ)
「もう12時だよ、ニートだからってこんな昼まで寝てんなよな〜!」
おいおい妹よ、いくら兄妹だからって
そんなエロい格好でお兄ちゃんを悩殺するんじゃないぞ!
まったくけしからん。
「はあ!?ただの部屋着になに興奮してるわけ!?きもっ!きもっ!きもちわるー!!いいからさっさと起きろよ!く そ あ に きー!!」
いてて!俺の顔を引っ掻き回すな!
さすが、ダークエルフの血を引く者だな。
「ダークエルフ?なにそれ、よく分かんないけど、アタシ友達と買い物行ってくるから、ニートらしく、自宅警備員よろしくね〜」
バタン。
それだけ言うと、月は乱暴にドアを閉め
出かけて行った。
さて、今家には俺しかいない。
親は長い旅行に行っている。
ん、まてよ。この展開、
分かる奴には分かるこの展開。
ニート俺、可愛い妹、親は不在。
これ、俺ってラノベ主人公なんじゃね?!
よし、異世界行こう!
残念ながらこの世に未練はない!
俺はこの世界では最弱のクソニートだが
あっちの世界に行けば
最強の主人公になれる!間違いねえ!
妹よ、悪いが俺は行くぜ!
勢いよくドアを開けると
眩しいくらいの太陽が俺を照らしつけやがった。
「う、眩しい、」
そういえば、外に出るのは何日ぶりだろうか。
おれは家の鍵を閉めると
猫背で当てもなく歩き出した。
異世界ものだと、交通事故で異世界に
飛んだりするんだよな。
うん、却下。
絶対痛い、しかもありきたりだよな。
他の方法で異世界に行こう。
それにしても暑いな、
コンビニでジュースでも買うかな。
そんなことを考えながら歩いていると
目の前に、黒い物体が静止している。
ん?なんだこいつ、よく見たら
マント?を羽織った人間、か?
黒マントはおれの前から動かない。
避けようとしない、微動だにしない。
なんだ、絶対やばい奴だろ、
離れよう。
黒マントから一歩後ずさりをした所で
「エラバレシ者、」
無機質な声だった。
「、、、は?」
俺に、この俺に話しかけてんのか?
こえー!?
「イセカイニモ行ケヌ、アワレナ男」
、、、?
今こいつ、異世界って言ったよな。
「オマエニ、チカラ、神ノチカラヲヤル。
コノ世界ヲ支配デキルチカラ。」
神の、力!?
ほしい!!めっちゃ怪しいけど
こういう展開めっちゃ好きだ!!!!
「おい!黒マントさん!俺異世界に行きたいんだ!
こんな世界はもう、うんざりなんだ!
だから、異世界に行く力をくれないか!?」
黒マントは無機質な声で言う
「アワレナ男、イセカイナド、存在セヌ、オマエハ、コノ世界デ生キレ。コノチカラヲドウ使ウカハ、テメエシダイダ。」
黒マントは右手を勢いよく上げたかと思うと
後ろへ振り返り、歩いて消えてしまった。
「、、、なんだっ、たんだ?あいつ。
俺、神の力貰えたのかなあ。」
あ、なんか鼻がムズムズする。
くしゃみ出そうーー、、
は
っふぁ、、
ックション!!
ゴォオオオッ!
「うぇー、すっきりしたー、。っておい!?
なんだこれ。は?あ、。え?うそ、だろ?」
目の前には、炎の海が広がっていた。